第6話「ぎゃー、トカゲだ」

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エロールちゃん「メルビル寮の治安問題の解決に貢献したそうですね。ありがとうございました」
ミルザ&オイゲン「・・・・・・・・・・」

結局トホホな結果になってしまったと思っていたミルザくんとオイゲンくんでしたが、
その後突然生徒会長室に呼ばれ、今、生徒会長エロールちゃんと面会をしている真っ最中なのでした。
オイゲンくん「あんたはメルビルの怪事件について知っていたのか?」
エロールちゃん「学園を愛する生徒会長として学園内の事柄について把握していることは使命ですもの」
ミルザくんは怪訝な顔でオイゲンくんを見つめました。彼の質問の意図がよく掴めなかったのです。
騎士団寮にまでのぼってくるほど大きな噂になっていた事件を、生徒会長が知らないはずは
ないではありませんか。しかし次の言葉で彼のいわんとしていることがわかりました。
オイゲンくん「あんたは知っていながら何もしなかったんだな!」
エロールちゃんはオイゲンくんの言葉にも微動だにせず、微笑を絶やさず言葉を返します。
エロールちゃん「学園の全てを愛する生徒会長という座にあるもは、心苦しくもおいそれと生徒の
    日常と自由を侵せないのです。私は生徒会長とは名ばかりの無力の何も出来ぬ者。そこで
    あなたたちに目一杯のお礼がしたい!という訳で謝礼のジュエルです」
二人「おお!!!」
二人は頬と頬をくっつけて謝礼へと前かがみになりました。ジュエルの入った封筒が輝いて見えます!
正義の戦いだって無償じゃやってらんねー二人の本音の姿がそこにありました。
ミルザくん「いえいやははははそんな僕達はそんなもののためではなく正義と言う名の輝きの為に
    いやははははしかし人の恩義の念を無下にするなんて人道を外れた真似はとうていはははは」
オイゲンくん「(バコッ)恐れながら頂戴いたします。光栄の至りです」
ほっぺを抑えながらプルプルしているミルザくんを尻目に、オイゲンくんはさっと謝礼の封筒を
懐に入れてしまいました。エロールちゃんは微笑みました。
エロールちゃん「これからもその精神をどうぞ大切に。私もあなた方同様、この学園、この街の
    全てを愛していますわ・・・私ももう生徒会室を出るところです、御一緒に出ましょう」
そうエロールちゃんに言われて、ミルザくんとオイゲンくんの三人で部屋を出ようとして
ドアを開けた瞬間、「そうそう、」とエロールちゃんがぼやきました。

エロールちゃん「サルーインちゃんは飾らぬ姿でも十分美しい洗練されたセレブですけれど、
    ところがなにやら最近、蛇皮のグッズにはまっているとか・・・」

ミルザくん「はふう!?サルーインちゃんが蛇皮のグッズにはまっているだってぇ!!?」
オイゲンくん(ばか!)
扉もすでに開きさえぎるものも何もない状態で恋するミルザくんが大音量で叫んでしまった
サルーインちゃん新情報は、学園中に響き渡り、彼のライバル達にとてもよく伝わりました。
男A(蛇皮のグッズ!)男B(蛇皮のグッズ!)男C(蛇皮のグッズ!)男D(蛇皮のグッズ!)
オイゲンくん(このばかあ〜・・・自分だけの秘密の情報にしとかなきゃ意味ないだろ・・・)
エロールちゃん「ふふ・・・それではごきげんよう、わたくしの愛する学園の生徒達」
ミルザくんはサルーインちゃんのことで目をきらきら輝かせて忘我のうちにいましたが、
オイゲンくんはエロールちゃんの後姿を目で追って考えていました。

(生徒会選挙ね・・・えぐいねえ・・・あんたが無力で何も出来なかったのは
 『サルーインちゃんの支持率急降下を止められなかった』ことだろ?・・・これが選挙か・・・
 しかし次は何だってんだ?この謝礼、そしてあのタイミングを計ったような『蛇皮』の情報・・・
 ・・・ミルザ、おれたちゃすでに戦場のど真ん中にいるのかも知れないぜ・・・)



ヘイトちゃん「キイエェェエエェェーーーーーーーーーーーーーーイ!!!★f☆★」
ストライフちゃん「うるさいぞ公害」
ヘイトちゃん「だってだってあのゲッコ族のやつらぁあアこのちっとも参戦の示談に応じようと
    しないのよォオーーーーームキャつく!!☆★このヘェイトがわざわざ僻地に出掛けてヤッテルノニ
    ヒィーーーー茶と柿の種くらい出せよコラ!!」
デスちゃん「それが本音かよ」
シェラハちゃん「本音と聞くと悲しいことを思い出すわ・・・君の本音を言って欲しいって
    観覧車の中で言った男の人のこと。黒髪の絶世美女は彼の誠意に答えないことなんて
    出来なくて、誠実に「ぶっちゃけ存在自体消えて欲しい」と伝えたら、ちょうど観覧車の頂上に
    来た辺りで彼は華麗にダイブしてしまったの」

今日もセレブ三姉妹は優雅に作戦会議。(ワイルちゃんは謹慎中です。)今回はモンスター学部の
『ゲッコ族』を説き伏せるという議題でした。

ヘイトちゃん「なああんであんなに頑ななのよオオーーゥてめーらじじいか!?鎖国しとんのかコラ!!」
サルーインちゃん「まああいつら絶滅寸前みたいなもんだし」
デスちゃん「サルーインちゃん、ゲッコ族を侮るのはいけないわ。奴らは絶滅危惧種とはいえ
    その能力はとても高い。あれを味方に付けられるかどうかでこの戦局は大きく変わってくるだろう」
ストライフちゃん「しかし奴らの排他主義は徹底してるぞ、最近とみにだ。
    こちら側にもなびかなければ、エロールちゃん側にもなびくとは思えないな。
    前はもう少し他の生徒とも接触してたんだが、今は自分達の洞窟に引きこもりっぱなしだ」
シェラハちゃん「なにか悲しいことがあると引きこもりたくなるのよ、ねえデス姉さん・・・」
デスちゃん「・・・・・・。・・・まあ、何かがあると考えてもおかしくはないだろうな、
    サルーインちゃん、お前はゲッコ族を最初に統一させたいわば主だ」
サルーインちゃん「ふっまああいつらも私にぬかずくべく生まれた奴らってことよ」
デスちゃん「そのあとほったらかしにしてこういうことになったんだがな」
サルーインちゃん「・・・・・・・・ふっ災いを呼んでしまうほどの美貌は罪ね」
デスちゃん「話がつながってないがまあ突っ込まないで進めるぞ、お前がゲッコ族の内情を
    調べに行くのよ」
サルーインちゃん「また私が行くの!!もうこりごりよ〜、メルビルで散々な目を見たのよ!」
デスちゃん「よいか、最近いくつか興味深い情報は手に入っているのだ・・・なんでもいるはずのない
    ワロンの人間寮でゲッコの鳴き声が聞こえた、とか」
サルーインちゃん「どうせワイルの変わりに調査に行ってたヘイトの奇声でしょ!!!」
ヘイトちゃん「あひゃー」
デスちゃん「その可能性も否めないが保留するぞ、それでだ、最近蛇皮の商品の人気が
    急激に伸びているとも・・・」
サルーインちゃん「蛇皮?はっ!下らないわーダッサ・・・蛇の?」
デスちゃん「蛇皮の主な売り場はワロン寮の方だ、サルーインちゃん、お前は
    蛇皮を物色しに行く振りをしてこの二つの情報の関連性を調べてくるのだ、
    お前が一番適任なのは分かるな?ストライフじゃ聞き込みが駄目だし、ヘイトじゃ
    逆に色物屋に売られるし、シェラハじゃワロンの男子生徒を絶滅させてくるだけだし、」
サルーインちゃん「デス姉じゃあ蛇皮なんて一生懸命物色してたら笑われそうってことね!」
デスちゃん「・・・・いやだって人は似合う似合わないがあって私はさあなんつーの喪服系?・・・
    あーもういい!!とっとといってこいこの不肖の妹!!!」

こうしてサルーインちゃんは締め出され、ワロン寮に向かうことになってしまいました・・・。

ヘイトちゃん(あひゃーんヘェイトもこっそり行かなきゃぁ★ワイルちゃんがいないうちに
    株上げとこッとオオ☆★☆)



ミルザくんは顔をピカピカさせてワロン寮の市場にやって来ていました。もちろん懐もあの生徒会長からの
報酬ジュエル入りでポッカポカ。今回相棒のオイゲンくんはこっそり内緒で置いてきてしまいました。
ミルザくん(暮らしもやばい奴がやっとの収入を女の子へのプレゼントなんていったら
    小一時間説教されそうだもんなあ〜・・・でもすまんオイゲン!僕は愛の騎士なんだ!)
適当に何でも「騎士」をつけるのがミルザくんの常套術です。
ミルザくん「それはさておき、さあ物色しなければ!蛇皮って言っても何がいいんだろう?
    バッグ?ベルト?・・・うーんまあ色々見てみるか!・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・
ミルザくん「・・・う(クラッ)」
(高い!これではバッグだのベルトだの言ってる場合じゃないよ!!随分値段にばらつきがあるとはいえ
 あの報酬ジュエルでも全然手が届きそうにない・・・あ、諦めるしかないのか・・・)

???「あひゃぁぁぁー・・・相変わらずボッタクリお値段・・・」

ミルザくん「ん?」
ミルザくんが変な声に振り向くと、前どこかであったような女の子が・・・。
ミルザくん「君・・・・・ワイルちゃん?」
ヘイトちゃん「人違いも大概よっ!!私はヘェイトちゃあぁぁあアん!あんたどこらへんのダレよォオ!!」
ミルザくん「う・・・(ど、どうしようなにこの子・・・)僕は騎士団寮のミルザっていうんだ」
ヘイトちゃん「ミィルザ・・・アーーアーーアアアー!そんな奴いたわね★☆!!わsっすれてた」
ミルザくん「忘れてた??」
ヘイトちゃん「(あっヤッベ)いえーあなた様の御高名は学園中に響いていりまするん♪⇔
    ところでこォんなところで何をなすってらっしゃいますのん?」
ミルザくん「え・・・(ポッ)へ、蛇皮の商品を探してるんだよ・・・いや・・・ここだけの話なんだけど
    僕の好きな人が今ほしがってるらしくてさ・・・」
ヘイトちゃん「・・・へえーィ?(サルーインちゃんが蛇皮の商品を欲しがってるなんてこのヘイトでも
    一向に聞いていないぞ?確かに今ワロン辺りで選挙活動しているが、どこから出た噂だそれは・・・)」
ミルザくん「・・・でも駄目なんだ、値段にやたらばらつきはあってもとても僕の手の届く値段じゃないんだよ
    ・・・一番安いのでもましてや最高級のなんて・・・」
ヘイトちゃん「・・・・・・・・あぁっヒャヒャはyミィルザさあ〜んここはヘェイトにお任せをン♪
    このヘェイトに策がありまっすルン♪♪」
ミルザくん「えっ!?一体それは何!?・・・いや、でもヘイトちゃん君どうしてそこまでしてくれるの?」
ヘイトちゃん「(ヒヒヒ、お前に協力するフリをして動向を探れ、そしてこの不可解な噂の元へとの糸も
    手繰れるというもの・・・)いえいえだって一生懸命恋する人が頑張ってるのはつーい
    協力したくなってしまうのがにんじょおぉぉう!!でしょっ☆?で、策とはこうですわん♪
    問屋から直接仕入れるのです。値段が半分以下に下がり、
    加工を殆ど施していないものなら三分の一にはなりましょう。値の交渉も出来ます」
ミルザくん「・・・おお!成る程!」
ヘイトちゃん「理解はよろしいですかしらアアぁ!?では早速問屋を探すとしましょう」
ミルザくん「はいっ付いて行きます!!(強力な味方が出来た!!・・・色んな意味でっぽいけど)」



サルーインちゃん「さて。ワロン寮とやらに来たわけだけど・・・あっついのねーここ・・・
    くそっ扇ぐ役でワイルちゃんでも連れてくればよかったわ!!ストライフじゃ絶対やんないから!
    ・・・で、「蛇皮」と「ゲッコの鳴き声」の関連性ねえ・・・なんでもこじつけずぎだろう全く。」
そうぐちぐちいいつつサルーインちゃんは蛇皮商品を物色し始めました。ミルザくんとは違い、
生まれついて超セレブがアビリティに付いているサルーインちゃんには値段の高価安価など全く
分かりませんでしたが、値段にバラつきがあるのは見て取りました。
サルーインちゃん「にせものとほんものということだろうか?ふん、まあ私には関係のないこと・・・
    どちらを付けても付けるのがこの私ならばこの世でただ一つの秘宝となるのだから、ふっ」

???「星のダイヤも、涙の石も、君が付ければ永遠にきらめき続ける・・・」

サルーインちゃん「!?」
サルーインちゃんが振り向くと、ジャジャーンというギター音と共に謎の人物がそこに立っていました。
サルーインちゃん「・・・何だお前は?お前の名などに興味はないが、私の前に立ったからには
    その名を私に捧げてもらおうか」
詩人「おお!他の何を捧げられようとも、私はあなたに捧げられる名はないのです。・・・どうぞ、
    詩人とでもお呼びください。ところであなたは、何かお探しのようですが・・・?」
サルーインちゃん「お前に関係など・・・(いや、こいつなんか詳しそうだな?)・・・そう、
    今蛇皮が大流行してると聞いてやってきたのよ。ついでに知人のゲッコ族にも会いにね。
    ところがどうなの、蛇皮は見渡すばかりにあるけれど、ゲッコ族は一人も見当たらないわ。
    なんでも自分達の巣に引きこもってしまってるというじゃない。ゲッコ族は蛇皮がお嫌いなのかしら?」
詩人「そうですねえ・・・そんなことはないんじゃないですか?自分達の巣に引きこもってたら、
    ゲッコの鳴き声を聞いたなんて報告がいくつも入ってくるはずないでしょうから」
サルーインちゃん「・・・あの、それは「あひゃー」とかいう声じゃなくて?」
詩人「は?いえ、私も聞きましたからね、見えないところで人間寮生と仲良くしてるんじゃないでしょうか?
    そう、ちょうどあの武器屋の近くで・・・」
詩人さんが指差した先には、確かに武器屋があり、その隣には洋服店がありました。
サルーインちゃん「洋服店か・・・」
詩人「どうでしょう!あなたに似合う蛇皮のドレスがありそうです。行って見る気はありませんか?
    どうか私にあなたをエスコートさせてください」
サルーインちゃん「なに?興味がない・・・んー?でも、まあ行ってやってもよい♪アハハ」
すぐに調子にのるサルーインちゃん、詩人さんのおだてに乗せられて洋服店へと向かってゆきました・・・。



ワロン寮のジャングルの鬱蒼とした木陰・・・
問屋「駄目だ駄目だ、これ以上は下げられねえよ」
ミルザくん「そこをなんとか・・・!」
ヘイトちゃん「ここで売っとかなきゃあんた後悔するよぉオオう?!フォオオオウ!?」
問屋「(うっ)・・・じゃ、じゃあこっちのでどうだ!?まだ全然加工もされてないそのまんまの奴だが」
ミルザくん「ええ?それじゃあプレゼントにならな・・・」
ヘイトちゃん「よしキタァアア!!これで決まりだァ!」
ミルザくん「ええーっ!?」
問屋「毎度!それじゃ!・・・(もうあんなんに関わってらんねーよ!ソソクサ)」
問屋は怪しく暗いジャングルから去ってゆきました。

ミルザくん「ちょ、ちょっとヘイトちゃん!これ皮剥いだそのまんまのやつだよ!
    こんなのプレゼントしてもただの嫌がらせじゃないかァ!」
ヘイトちゃん「分かってないわアア!!乙女心を分かってないのよミルザさあぁあん!!
    せっかく手の付いてないありのままのものが手に入った!『手作り』すればいいじゃなーい」
ミルザくん「フォゥッ!!?」
手作り!!なんとロマンチックな言葉かー!ミルザくんは成る程!と感動し、ヘイトちゃんに感謝しました。
二人も目当てのものを手に入れたということで、早速ジャングルから出ようと歩き出しました。
ミルザくん「手作り・・・何がいいかな・・・サルーインちゃんに似合うものだからやっぱりネクタイ!?
    いいや!日用品としてお弁当箱入れなんていいんじゃないか!?そ、それとも・・・
    ふたりのイニシャル入り『S&M』のマスコット・・・フォオオオオオウ!!・・・ゥ?」

ハア・・・ハア・・・

ミルザくん「・・・ヘイトちゃん、何か聞こえないか?」
ヘイトちゃん「へえ?30歳の妖精さんの声?」
ミルザくん「いやちがう聞こえる!・・・息切れのような・・・?(キョロキョロ)そこか!?」
ガサッ!灌木をかき分けると、そこにはゲッコ族の青年がいたのです。しかも、肩を負傷していました!
ミルザくん「君は!大丈夫か!?一体・・・」
???「私はワロン寮のゲッコ・・・はっ!あなたの持っているその皮は!
    寄るなけだものめ!!私達の仲間をそんなものの為に使って!・・・うっ」
ミルザくん「!?なんだって!?これはまさか・・・あっおい君!」
ヘイトちゃん「ゲッコ族ねェー。ほっとくと死ぬわねこれは」
ミルザくん「なんだって!おい、しっかりしてくれ!ヘイトちゃん助けてくれ、どうしたらいい!?」
ヘイトちゃん「そんなこと言われてもぉお!!でもヘェイトはゲッコのアジトを知ってるわ、
    取りあえずそこまで連れて行きましょう」
ミルザくん「よし!案内してくれ!おい、しっかりしてくれ、君!」

???「・・・私は・・・ワロン寮のゲッコ族・・・ゲラ・・・ハ・・・・」



ミルザくんはゲッコ族の洞窟を潜り抜け、遂に村へとたどり着きました。
ゲッコA「ゲラ=ハ!!」ゲッコB「人間ぎゃ何をしにきた!!」
ミルザくん「私は騎士団寮のミルザです!あなた方に害をなしに来たわけではありません!
    それよりどうかこの方の手当てを!!」
長「人間に話すことなど何もない。ゲラ=ハを置いて今すぐ去れ!」
ゲラ=ハ「・・・長・・・そう言わずに話してください・・・なぜ人間寮生たちと
    話し合おうとしないのですか!?」
ミルザくん「ゲラ=ハさん!しゃべらないで!」
ゲラ=ハ「大丈夫です・・・こう見えて傷は浅い・・・話し合わず避けてきたから
    こんな結果になってしまったんです!人間寮生と生きていくのが我等の道でしょう!」
長「人間はそうは思ってはおらん!その証拠にお前も襲われたではないか!そして
    我等の仲間を次々に攫っていっている!やはり人間寮生は信じられん!」
ミルザくん(・・・まさか今サルーインちゃんが欲しがってる蛇皮って・・・!?)
ゲッコB「人間学部の奴らはサルーインちゃんが我等の皮を欲しがってるという!」
ゲッコC「サルーインちゃんの為だけに人間は我等を攫って皮を剥ぐんぎゃ!」
ゲッコD「人間生徒はサルーインちゃんの為に狂ってる!!」
ヘイトちゃん(・・・成る程この風聞・・・卑劣な罠だな。しかし極少数派の
    ゲッコなど煽ってどうするのだ・・・?)
長「お前達、もうよい!・・・ゲラ=ハを救ってくれたことだけは感謝しよう・・・
    だが出て行け!」
ミルザくん「・・・・・・!」
ゲラ=ハ(ミルザさん・・・私の家は郊外にあります・・・私をそこまで届ける振りをして
    そのままこの村に身を隠してください・・・あなたに協力してもらいたい、人間との和解の道を・・・!)
ミルザくん「!・・・(わかった、)・・・ゲラ=ハを家まで送り届けます・・・」
ヘイトちゃん「そこまではお許しを・・・(これは捨て置けぬ事のようだなァ・・・)」



詩人「おお!なんと美しい・・・!暁の光も黄昏の光も、あなたの前では霞むでしょう」
サルーインちゃん「あら♪そう?ばかめ!当然のことを何を今更アハアハハハハ♪」
サルーインちゃんは洋服店で一番高価な『蛇皮』のドレスを詩人に勧められて試着し、
そのままいい気になって小躍りしていました。
詩人「黄昏といえば、もう夕暮れですね・・・どうです?今日ワロン寮では野外パーティがあるのです、
    その世にも麗しい姿で参加なされては?皆あなたの姿に歓喜することでしょう!」
サルーインちゃん「そうね♪それも悪くないでしょう。大衆を喜ばせてやるのも一興だアハハハ」
太陽はすでに地平線に差し掛かっていました・・・。



首尾よくミルザくんとヘイトちゃんゲッコの村のゲラ=ハの家に身を隠しました。
ゲラ=ハ「もうすぐ夕暮れ時です・・・我々は今はこれ位の時間帯から睡眠をとっています、
    何故なら真夜中には我等を攫おうとする一団がやってくるからです。そして
    24時を回らない頃に起き出し、真夜中はずっと臨戦態勢を取っています・・・」
ミルザくん「・・・君達はなんという・・・ごめん、すごい苦痛を味わっているんだね・・・」
ゲラ=ハ「一回に2、3人は攫われてゆきますが、それも徐々に人数は増え、あちら側も
    欲が深くなって大人数でやってくることが多くなりました。首謀者の目当ては付いてるのです。
    武器屋のやつ等がリーダーとなって武器屋の倉庫に隠している説が濃厚なのです。
    そこから同胞達の鳴き声が聞こえるという情報がいくつも入っていますから・・・
    ・・・眠りましょう、今日の真夜中も戦争がはじまることでしょうから・・・」
ミルザくん「武器屋の・・・」
ヘイトちゃん「ねえェえー確かにあなた達はお気の毒だけど言っておくわアア!
    サルーインちゃんがどうのこうのなんてでたらめに気を取られて惑わされないことね!」

うわあああああああああああ・・・・・・・・・・

ミルザくん「なんだ!?」
ゲラ=ハ「まさか!この声・・・人間の声だ!!!まだ夕方のはずだ!」
ヘイトちゃん「しかも随分な人数のようねえェエ!あんた達の馬鹿の一つ覚えの作戦の裏を
    かかれたって訳ねえ〜〜どうするつもり?ミルザくん?これってさアアア
    サルーインちゃんの名誉もかかってるんだよねェ・・・・」
ミルザくん「・・・・・・!サルーインちゃん・・・くっ!ヘイトちゃん!どうか聞いてくれ!」
ヘイトちゃん「へえ?(・・・ゴニョゴニョゴニョ・・・)・・・本気なのかしらあ?」
ミルザくん「これしかないんだ!頼む!」
ヘイトちゃん「なかなか腰が低いのねェ〜☆では、全力でお力添えをしてあげるとしよう!」
ゲラ=ハ「何を言ってるんですあなたたちは?大丈夫です、こんな時のためにも一応の隠れ家があります、
    そのため今まで2、3人で済んできたのです」
ヘイトちゃん「ヒヒヒそれじゃ困るなあァあ!全員捕まってもらわなくては!」
ゲラ=ハ「何ですって!?」
ミルザくん「ゲラ=ハ、僕を信じてくれ!」
ヘイトちゃんはゲラ=ハの家を飛び出すと、村中に大声で叫びました。
ヘイトちゃん「アーヒャヒャヒャヒャハヤハヤヒャハヤ!!やってやったぞ!ゲラ=ハを送ってくる振りをして
   ここのアジトの場所を調べてやった!!皆に教えてやったぞお!!バカなゲッコども!
   アーヒャヒャハyハyハ!!!!」

ゲッコH「なんぎゃって!?」ゲッコO「おのれえええ人間寮生どもめえ!!!」
怒りに駆られたゲッコ族の皆は、わああああと鬨の声を上げて人間の一団に立ち向かってゆきました。
長「愚か者!やめろ!!」
ヘイトちゃん「血を流すことはないのよ〜ただ捕まってくれれば・・・シェラハちゃんから
    教えてもらった漆黒の帳、効くといいけど・・・漆黒の帳よ、それエアアア!!!」
ゲッコ族「う・・・」
夕暮れ時、現在彼らゲッコ族が取っていた夕暮れから睡眠を取るという作戦も手伝って、
未熟ながらもヘイトちゃんの漆黒の帳は殆ど大成功。ゲッコ族たちは眠りに落ちて崩れてゆきました。
人間A「おいおい、なんなんだあんたかわい子ちゃんは?どうやら協力してくれてるようだが?」
ヘイトちゃん「そうですともオオ!さあ、連れて行けるだけ連れて行くのですよ、連れて行けるだけ!」
人間B「言われなくともこんなチャンスそうそうないからな!おめーら!大量だぜ!」
人間達「おおーーーーーーーーーーーーーー!!!」
人間達はゲッコ族たちを運び出し始めました。ゲラ=ハもその中にいました。
薄れる意識の中で、ゲラ=ハは考えていました。
ゲラ=ハ(ミルザさん・・・一体あなたは何を・・・?・・・う・・・)
そしてゲッコ族が次々運ばれていく中、ヘイトちゃんは口の中だけで呟きました。
ヘイトちゃん(本来なら仇だがミルザ・・・さあ、お手並拝見するとしよおぉおう!)



ゲラ=ハ「・・・・・・・・う・・・・・・・・き、きつい・・・」
ゲラ=ハが気が付いたのはおそらく武器屋の倉庫と思われる場所でした。あらゆる所に
武器がかかげられています。ゲッコ族たちはそこでスシ詰めになっており、部屋の外からは
人間達の話声が聞こえてきました。
人間G「・・・連れてきすぎじゃねえか?武器倉庫全部使う羽目になっちまったぜ」
人間R「これぐらいしょうがないさ、いい商売だぜ、サルーインちゃんの為とかいって
    ありえねー値段で買ってく奴らが五万といるんだからな」
ゲラ=ハ(・・・こいつらは・・・守銭奴め!・・・ああしかし一体これから
    どうすればいいのだ?ミルザさんは私達にどうさせるつもりでこんなことを・・・)

その時でした。ちょんちょん、とゲラハの肩が指でつつかれたのです。
ゲラ=ハ「?・・・ああ、同胞か・・・お前もこんなことになってしまって
     言葉にならぬ思い一杯だろう・・・」
???「ゲラ=ハ、僕だよ、僕!」
ゲラ=ハ「・・・・!!ミルザさん!」
そうです。それはミルザくんだったのです。そう、彼はサルーインちゃんへのプレゼント探しの時
問屋から買った『何の手も付いてない皮』を被って、ゲッコ族に変装していたのです。
ゲラ=ハ「ミルザさん!あなたは一体・・・!し、しかしあなたがここに紛れていたところで
    この状況がどう打開できるというのです?」
ミルザくん「ぼくの思ったとおりだ!いや、聞いてくれゲラ=ハ!君から『鳴き声が聞こえるらしい』
    と聞いたときにはもしかしたらと思っていたんだよ、捕まってるゲッコ達は
    『口は塞がれていない』んだとね!」
ゲラ=ハ「だったら何だというのですか!この絶望的状況で初めから作戦会議でもするというのですか?」
ミルザくん「ぼくはバイトで何度もリザードマンと戦ったことがあるよ・・・あいつらときたら
     舌を伸ばして攻撃してくるんだ!・・・ところで、ここは武器が一杯あるね?」
ゲラ=ハ「・・・・・!ミルザさん!」
ミルザさん「ぼくはもう被った皮の中にレフトハンドソードを持ってる!(そう言って、ミルザくんは
    被ったゲッコの皮を破って姿を現しました!)」
捕まったゲッコ族たちは姿を現し、銀色に輝く剣を持つミルザくんを一斉に見つめました。
ミルザくん「君達もだ!『取れ!さあ、武器はそこにある!!』」



人間N「今日は野外パーティらしいぜ・・・もうすぐ始まるらしい」
人間E「おあつらえむきだ、その喧騒の間にこっちもあれの処理をしちまおうぜ」
ドカーーーーーーーーーン!!
人間達「何だァ!!?」
ミルザくん「ぼくは騎士団寮の騎士、ミルザだ!!そして誇り高きゲッコの戦士達だ!!
     ゲッコの戦士たちよ、我に続け!!」
ゲッコ族「ヌぉオオーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
そこには、銀に輝く剣を持った騎士と、『舌』に様々な武器を持ったゲッコの戦士達の姿がありました!



野外パーティが始まっていました。ワロン寮の生徒達、他寮から招かれてきた生徒達などが
楽しそうに騒いでいるところ・・・・ドカーーーーーーーーーーーーン!!!
生徒A「きゃあああああああああああああ!!」
生徒B「なんだあ!?」
武器屋から突然大量の柄の悪い人間達と、銀色の騎士とゲッコ族たちの一軍が出てきたのです!
ヘイトちゃん(上手くやったようだなァ〜)
生徒C「なんなんだ!どうしたというんだ!?」
生徒D「怖い!ゲッコの生徒達だ!!」
ミルザくん「皆さん!!落ち着いて聞いてください!ぼく達は、ゲッコ族は人間寮生たちと
    手をたずさえて学園生活を送っていくことを望んでいます!」
ゲラ=ハ「・・・人間の皆さん!私達は話し合いから逃げてきました。あなた達と共に
    生きてゆくことを諦めていました。しかし今はもう逃げません!我々は
    共に生きていけるはずです!仲間の皮を剥ぐことなど、もうやめてください!!」
ゲラ=ハの演説に、野外パーティに出ていた生徒達はしんとしました。そして自分達が身に付けている
皮のバックや、腕輪、ベルトなどを呆然とした様子で見つめました。
ゲラ=ハ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ゲラ=ハは息を呑みました。沈黙が流れます。とそのとき、一人の人間生徒が歩み出て、
ゲラ=ハに手を伸ばしました。それは間違いなく、握手の求めだったのです。
ゲラ=ハ「・・・・・・・・・・・・・・!!」
ゲラ=ハの顔は人間達にも分かるほど喜びにあふれていました。早速手を差し出そうとしたのですが、
もごもごともがくと上手く動けない?そういえば体を縄で縛られていたのでした。
ミルザくん「やれやれ、舌で握手じゃ格好付かないもんね」
そういってミルザくんはレフトハンドソードでちょんと縄を切ってあげました。
ゲッコ族と人間生徒の握手がその時、交わされたのでした。

わああああああああああああああああああああああ・・・・・・・・・・・・

歓声が響きます。野外パーティは今、和解の祝賀へと変わったのでした。
ヘイトちゃん(ほっほおぉ〜おミルザくんよお、これはなかなかやったわねえ★☆
     今まで過小評価しててごめんねェえ〜☆★♪)
サルーインちゃん「ヘイトちゃん!!あんたここでなにしてんの!」
ヘイトちゃん「ヒイイッ!?☆#!さ、サルーインちゃん!?あっそういやサルーインちゃんも
     ワロンに来てたんだった!さ、サルーインちゃんこそ何してるんですか
     おめかししちゃってええ〜んもうんもう!!б☆★」
サルーインちゃん「ああこのドレスね、なんかどっかの詩人が・・・あれ?詩人!・・・詩人!?
     どこなの!あれ?さっきまで一緒に・・・」
???「サルーインだ!!!」
誰かがそう叫びました。
パーティの席の生徒達は驚き、ゲッコ族たちはサルーインちゃんを見つけ、叫びました。
ゲッコT「あれは俺達の同胞の皮のドレスぎゃ!!」
ゲッコF「やはりサルーインが俺達の皮を集めさせてるって噂は事実だったんぎゃ!!」
サルーインちゃん「何を言って・・・きゃあ!!」
間髪入れずに突進してきたゲッコ族の青年達の舌にサルーインちゃんは絡め取られ、
見世物のように持ち上げられました。きゃああと野外に叫びが響きました。
ミルザくん「サルーインちゃん!!!!」
ヘイトちゃん「ヒィヤアアァアァアアアーーーーーここまで上手くいってたのにーーー!!」
ゲラ=ハ「いけない!!またここで怨恨を残してしまう!!」

ミルザくん「やめろ、やめてくれーーーーーーーー!!サルーインちゃんはぼくが守るーーーーーー!!」

ミルザくんが必死で駆け寄ります。
ゲッコ族の青年達の舌に力が入ります。サルーインちゃんを巻き付きで押し潰そうとしたその瞬間!
サルーインちゃん「ゴミのような奴らめ!!!」
スルッ。ゲッコ族の青年達は思わぬほど簡単に舌を巻きつけることが出来てしまって???となりましたが、
その理由がその後すぐ分かりました。ドレスのみ残って、サルーインちゃんの体はもうそこにはなかったのです。
生徒G「上だ!」
ミルザくん「えっ」
ぐしゃっ!ミルザくんが上を向いた途端顔の上にするどいヒールが落ちてきました。
舌で押さえられたドレスをジャンプしてすり抜け、見事サルーインちゃんはミルザくんの顔面に着地をしたのでした。
無論、裸ネクタイのあらわな姿で。
ドレスを巻き付けているお互いの舌が絡まって四苦八苦しているゲッコ族の青年達に、
サルーインちゃんはミルザくんという名の演説台から華麗に言い放ちました。
サルーインちゃん「私の在りのままの姿を見よ!なによりも美しかろう!
     お前達の汚い皮なぞなんの飾りにもならぬわ!誰も綺麗に
     飾りあげてやれないようなような皮なのなら、ずっと大事に身につけておくことだな!!」
サルーインちゃんはミルザくんの顔面からスタンと飛び降りると、モデル歩きでさっさと帰っていってしまいした。
ヘイトちゃんは「待ってくださいよサルーインちゃあああー〜ん」と後を追いかけて行き、
パーティの席は呆然として静寂に包まれていました。その中でゲラ=ハが顔面が潰れたミルザくんに駆け寄ります。
ゲラ=ハ「だ、大丈夫ですかミルザさん・・・」
ミルザくん「・・・これだ・・・」
ゲラ=ハ「え?」

ミルザくん「・・・エクスタシーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

その夜マルディアス学園にフォーーーーゥという雄叫びが響いたといいます。
今日はMのミルザくんにとって最高の日の一つに加わったのでした。。。


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