幕間劇「ワイルの日記」

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水竜月15日
サルーインちゃん様が唐突に「水晶の翼」なる物が見てみたいと言い出しました。
曰く、「色も形もどこにあるのかもわからないが、
この学園のどこかにあるかもしれない」
そうです。
難題です。
ヘイトちゃんは例によってアヒャっているし、
ストライフちゃんはそもそも探す気がなさそうです。
孤立無援です。

水竜月25日
十日間探し続けましたが、
遠く離れた異国の学園にあるということしかわかりませんでした。
このような情け無い報告をした私に対して,
サルーインちゃん様は一瞬呆けたような表情をされた後、
「あ、ああ。そうか。大儀であった。今日はもうゆっくり休め」
と、労いのお言葉をかけて下さったのです!!
感激です!懲罰の一つも与えられると思っていました!
サルーインちゃん様はなんとお優しい方なのでしょう!!

水竜月34日
ヘイトちゃんとサルーインちゃんが大喧嘩をしました。
きっかけは、二人ババ抜きでヘイトちゃんが八連勝したことでした。
ここまで負け続けられるのはある意味才能なのかもしれません。
それはさておき、今部屋には当事者を除き、三人しかいませんでした。
私とストライフちゃんとシェラハちゃんです。
私は損な性格だなと思いました・・・。

水竜月35日
昨日の喧嘩を仲裁したことで、サルーインちゃん様の不興を買ってしまいました。
明日一日邪眼の魔除けをつけていろ、と命じられました。
さすがに少し理不尽ではないかと思います・・・。



「・・・ん?」
日記を読んでいた人物は手を止めました。
次の日の日記が破られていたからです。
「・・・ふむ」
その人物は懐から紙を出し、それを依り代に、破れた部分を再生しました。
???「わざわざ力を使ってまで日記の盗み読み?
あまり誉められた行為じゃないわよ?」
???「ワイルの様子は?」
背後からの声にも動じずその人物は切り返します。
???「帳の中で眠っているわ。明日には元気になっているはずよ、姉さん」
デスちゃん「そうか」
姉さんこと、デスちゃんは再び日記に目を落とします。



すいりゅうつき36にち
くぉnnにちうあwwわぁぁぁ☆〆★わいるちゃんゆうぉおお!?g
きょううわさルーインちゅわんのめーれーでリューのたににいくのぉぉおお☆i♯w



冒頭を読んだ時点で、デスちゃんは再び日記を破り捨てました。
???「微妙にヘイトとは文法が違うわね」
デスちゃん「突込み所がずれてるぞ。シェラハ」
シェラハちゃん「冗談よ。それにしてもあれで本当に正気を失う人がいるとはね」
デスちゃん「まぁある意味単純なやつだからな」
二人は続きを読みましたが、しばらくはろくに文章が書いてありません。
余程ショックだったのでしょう。
そしておよそ十日分を飛ばした後、日記が復活していました。昨日の日付です。



金竜月6日
久しぶりにサルーインちゃんの御前に姿を見せた私に,
サルーインちゃん様はこう仰いました。
サルーインちゃん「お前は普段から私のために尽くしているな。
お前の労苦に報いてやる。
この術具のじっけn、いや、新たなる力を授けよう」
感激です!サルーインちゃん様は私の働きをちゃんと認めていてくださったのです!
サルーインちゃん様一の僕の面目躍如です!
サルーインちゃん「術具は明日にはお前の部屋に届くだろう。楽しみにしておけ」
そう言ってサルーインちゃん様は微笑まれました。
その笑顔でご飯三杯はいけそうな素敵な笑顔でした。

金竜月7日
サルーインちゃん様からの贈り物が届きました!
一つは迸る冷気を封じ込めた蒼い刀身を持つ大剣です。どうやら風の術具のようです。
もう一つは火成岩をそのまま剣にしてしまったような無骨な大剣です。
刀身から噴出す熱気はこの剣が炎の術具であることを示しています。
この術具を用いて多彩な術を身に付けろという
サルーインちゃん様の暖かい御意志が感じられるようです!
早速身に付けてみました。
・あれ?なんだか・・・頭がボーっと・?



デスちゃん「それでこのザマか」
部屋の中は破壊の限りを尽くされていました。
デスちゃんが激しい物音に驚いてこの部屋に入ってきたときに最初に目に飛び込んできたのは二本の大剣を手に、
幼児のように泣きじゃくるワイルちゃんの姿でした。
おそらく剣を振り回して遊んでいるうちに、お腹が空いて泣いていたのでしょう。
デスちゃん「サルーインにも困ったものだ。
このようなことを続けていては信頼を無くしてしまうぞ。
彼らのことを忘れたわけではあるまいに」
苦り切った表情でデスちゃんは嘆息しました。
シェラハちゃん「信頼と聞くと悲しいことを思い出すわ。
邪悪な先人類の遺産と戦うことを宿命付けられた一族の女の子の話。
彼女とその仲間は遺産と最後の決着をつけるために敵の待ち受ける遺跡へと突入したの。
待ち受ける敵の強力な配下を命を削りながら撃退し、ついに宿敵の元まで辿り着いたわ。
すでに満身創痍だった彼女達は疲弊した体を癒すために、大事にとって置いた結界石を使ったの。
石は彼女たちの傷を癒し、敵と戦う気力を回復したわ。
・・でも磨耗した生命力までは回復してくれなかったの。
信頼していた石に裏切られた彼女達は、失意にうちに敵に特攻して・・玉砕したの」
デスちゃん「なんとなく、よくある話という風に感じるな」
話を聞きながら部屋を修復していたデスちゃんが相槌を打ちました。
シェラハちゃん「ずいぶんと優しいわね」
すっかりきれいになった部屋を見てシェラハちゃんが呟きました。
デスちゃん「なんとなく放って置けなくてな。他人のような気がしないんだ」
シェラハちゃん「ポジションが被ってるからじゃない?振り回され系の」
デスちゃん「身も蓋も無い言い方をするな」
再びデスちゃんは嘆息しました。
デスちゃん「後はこいつの始末か」
デスちゃんは床に転がる二本の大剣に目を遣りました。

デスちゃん「二本を同じところにおいて置くべきではないな。
シェラハ、その蒼いのはローザリア寮のアルツール武具店に流しておいてくれ。
あそことは懇意にしているから高く買い取ってくれるはずだ。口も堅いしな。
売上の五割は私に回してくれ部費の足しにする」
シェラハちゃん「相変わらずしっかりしてるわね」
デスちゃん「お前らみたいな妹を持てば自然とこうなる。
さてこの紅いのは・・・部室に帰り道の火口にでも捨てておくか」
ワイルちゃん「・・ん・・うーん」
デスちゃん・シェラハちゃん「!」
二人はワイルちゃんの寝返りに思わず身が竦んでしまいました。
デスちゃん「そろそろ帰るか」
シェラハちゃん「そうね」
二人は静かに部屋を後にしました。
途端に部屋に静寂が訪れました。
ワイルちゃん「うーん・・サルーインちゃん様ぁ〜・・
下帯がいやならせめて前張りだけでも・・
・・私は服着ているから良いんですよぉ〜」
夢の中でもうなされつつも、どこか幸せそうなワイルちゃんでした。


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