アナザーストーリー「わりと普通な一日」

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今日も学園はいい天気だ。突き刺すような日差しが私の肌を容赦なく焼いている。
夏らしいといえばそのとおりだが、こうも連日だとさすがに嫌気が差す。
そういえば紹介がまだだったな。
私の名はストライフ。サルーインちゃん様のミニオンだ。



ワイルちゃん「ねぇ、ストライフちゃん。これから買い物行きませんか?」
幼さの残る顔立ちの少女が私に話し掛けてくる。
こいつはワイル。本人曰くサルーインちゃん様の一の僕だそうだ。一応私達ミニオンのリーダーだ。
・・・もっともリーダーの権限なんぞ欠片も無く、損な役回りばかりやらされているが。
まぁ、本人は幸せそうなので私の口出しすることではないな。
ストライフちゃん「このクソ暑い中か?こんな日に外に出るのはセミか植物くらいだ。
ホームレスだって屋内にいるぞ。私は遠慮しておく」
ワイルちゃん「ええ〜、せっかくサルーインちゃん様から
『すか〜ぶ山のいわおこし』を買って来いって指令をいただいたのに〜。
今こそ私ミニオン達の有能さをアピールするチャンスだと思いませんか?」
ただのパシリだろう。それは。

ヘイトちゃん「いい〜若者がhikikomori?それってば青春の無駄遣いだわ☆★♯m〜〜〜>?+*」
・・・・この物体はヘイト。一応ミニオンの一人だといわれているようだ。
まともに働いているところを見たことが無いが。
『馬鹿と天才は紙一重』という言葉は、こいつの為にある言葉かもしれない。
こいつは古の術法やまったく体系の違う術を幾つも解読、習得している。おかげで単純な戦闘力はミニオンの中で一番だ。
世の不条理を感じずにいられない。
ストライフちゃん「いきなり沸いて出てくるな。貴様のせいで部屋の不快指数が早くも限界突破しそうだ」
ヘイトちゃん「ひど〜〜^^いい。抜き身のナァ〜イフのような言葉が私を傷つけルゥ〜〜*+>==〜★」
かけらも傷ついていない表情で返してきやがった。
ストライフちゃん「そうか。なんなら貴様の耳を削いでやろうか?
そうすれば傷つくことも無かろう。今なら格安だぞ?」
ワイルちゃん「・・・お金取るの?」
多少引き気味にワイルが突っ込んでくるが、無視することにする。
ヘイトちゃん「ざぁ〜ぁあんねんでした^〜@;@。
耳を削いでも鼓膜があればきこえますぅ*>Pwh●」
ストライフちゃん「いいヒントだ。この際だから首を落としてやる。そうすれば悲しむ事も無くなるぞ?」
言葉を切るとともに剣閃を飛ばしたが、楽に避けやがった。勘の良い奴だ。
ヘイトちゃん「ストライフちゃんったらやさしくな〜〜=〜いぃ」
ワイルの陰に隠れつつヘイトが言ってくる。
ストライフちゃん「当たり前だ。私が優しいわけないだろうが
」 この言葉を聞いて、ワイルの陰に隠れているヘイトがニヤニヤしだした。本格的にイカレたか?
ヘイトちゃん「そ〜〜だよね〜〜。ストライフちゃんはやっさしくないよねぇぇ〜〜*{‘{}★。
どのぐらいやさしくないかというとぉぉ@:・、橋の下の捨て猫をほぉっておけずに毎日エサやりにイって、
ブラッシングして、挙句、『元気にしてまちたか〜リリィちゃん、はぁと』ッて赤ちゃん言葉使って、
私とワイルちゃんを抱腹絶倒の刑に処すくらいやっさしくないでぇぇっす★=L+*<>+*」
ワイルちゃん「いや、わ、私はそんなに笑って・・・」

ストライフちゃん「見てやがったのか貴様らぁぁーーー!!!!!!!」

感情のままにヘルファイアをぶちかます。
ワイルちゃん「はう!?」
しかしヘイトの奴はさっさと逃げ出しており、逃げ遅れたワイルが直撃を食らった。トロい奴だ。
ストライフちゃん「ちょこまかと逃げ回るなーー!!」
連続して術法を放つが捕らえられない。ええい、くそ!腹の立つ奴だ!
ヘイトちゃん「やぁめてよねぇぇ〜〜。
本気で戦ったらストライフちゃんがわたしにかぁなう筈ナァいでしょぉ@;、。・¥☆」
もういい、わかった。――――お前は殺す。
相手が避けるなら回避しきれない密度の攻撃をしてやれば良い!!
ストライフちゃん「くたばれ!!」
私は風の術法最高位の吹雪を解き放った。が、ヘイトは炎の壁でそれを防ぐ。
セルフバーニングか!抜け目の無い奴だ!くそったれが!
結局私の吹雪はワイルを凍らせただけで終わった。
ヘイトちゃん「ストラーイフちゃぁぁん。だめだめ、戦いはいつもクゥゥゥルあぁぁぁんどクレバァァァァ。
熱くなったほうの負・け★」
ストライフちゃん「うるさい!黙れ!」
まずいと分かっていても挑発に乗ってしまう。
怒りのままに放った攻撃は術法も斬撃もことごとく、かわし、防がれ、いなされてしまう。くそ!冷静になるんだ!

ヘイトちゃん「逃げるのも飽きたから〜〜、こぉげきたぁ〜〜いむ;。:・g★
いっくわよぉぉ:¥、¥−^つ『アゴニイ』+『ロッククラッシュ』=『アゴクラッシュ』」
ストライフちゃん「ぐわぁぁぁぁぁ!!!!」
瞬間、信じられないほどの痛みが全身を貫き動きが止まってしまう、が一秒ほどでその痛みが嘘のように消える。
ストライフちゃん「っっくは!?」
だが一秒はあまりにも致命的な時間だ。迫りくる岩塊を避けきれず直撃を食らう。
大したダメージじゃない。・・・だがなんだあの術は?
ヘイトちゃん「まだまだいくわよぉぉおっぉ:。・>*つ『アゴニイ』+『エアスラッシュ』=『アゴスラッシュ』」
再び襲い掛かる激痛、消失、そしてかわし切れない熱を帯びた刃。直撃。
ヘイトちゃん「もういっちょ!つ『アゴニイ』+『幻夢の一撃』=『アゴの一撃』」
ストライフちゃん「貴様もうアゴって言いたいだけだろ!!」
ダメージは小、突っ込みつつも収穫はあった。あの痛みは幻痛だ。精神力で抑えられるはずだ。
ヘイトちゃん「そっぉんなこと:・@¥^ありませ〜〜ん『アゴニイ』+『石の雨』=『アゴの雨』
襲い来る激痛を強引に無視、次いで降りかかる猛威の岩石をかわし、砕き、すべて後方に流す。
ワイルちゃん「ぐぇぇぇえぇ・・・」
背後でうめき声。まだいたのか、ワイル。

ストライフちゃん「どうした。終わりか?ご自慢の術はもう私には効かんぞ?」
挑発しつつ、術を仕込む。
ヘイトちゃん「かっち〜〜〜ん。一個くらい克服したからって調子に乗らないでほしいわ。
まだまだストライフちゃんを倒す術はいくらでもあるしいぃぃ」
どうやら術を破られたことが相当自尊心を傷つけられたらしい。口調が素に戻っている。
・・・いい傾向だ。思わず笑みが浮かぶ。
それがまた癇に障ったらしい。
ヘイトちゃん「ハン!こいつを喰らっても笑ってられるかしら?喰らいやがれ!
つ『スーパーソニック』+『稲妻キック』=『うあああああああ!!!スゥゥパァァァ、稲妻キィィィィック』」
全方位に音速の衝撃波が放たれる。なるほど、こいつはかわせないな。後方のワイルが痙攣する音が聞こえた。
次いで岩壁をも砕く勢いでヘイトが突っ込んでくる。・・・本気で殺す気か?あいつ。
しかし、ヘイトが私を貫く直前に仕込んでおいた術が発動する。
触れたものを石へと変える暗黒の氷壁、『ブラックアイス』が。
私は空中で石へと変わりつつあるヘイトに拳を思いっきり叩き込んだ。
ストライフちゃん「・・・ふぅ。」
思わず息をついた。私の足元には顔がへこんだまま石になっているヘイトが転がっている。
これで27勝22敗2分け48ノーコンテスト、貯金5つ目だ。
石像になったヘイトの顔に浄化の水をぶっかける。
ヘイトちゃん「ぷわ!げほ、げほ。ねぇねぇなんでぇぇ?
なんで『スーパーソニック』聞かなかったのぉぉぉ、。;@p。:@・・??★」
首をぶんぶん振りながら効いてくる。まぁ首以外は石だから当然だが。
私は無言で耳にかかった髪をかきあげた。
ヘイトちゃん「ああ〜〜〜★w^:sr、ふじこw・、。;:『精霊銀のピアス』ぅぅ。
ずぅるぃぃp:・:¥@m☆」
負け犬の遠吠えはいつ聞いても心地よいものだな。



ストライフちゃん「さて、貴様は私に大変いいアドバイスをしてくれた。
クール&クレバー、実にいい言葉だ。私が勝てたのはこの言葉のおかげといって良いだろう。
そこで私はお前に褒美を与えたい」
ヘイトちゃん「褒美?」
ストライフちゃん「そう、褒美」
ヘイトちゃん「なになに?なぁにくれるぅのぉぉ@;。w¥★?」
目をきらきらさせながら聞いてくる。
ストライフちゃん「うむ、お前の進路だ。

1.なぜかそこに転がっているコムルーンハンマーで粉砕、景気よく中身をぶち撒ける
2.ダンジョンの天井に罠として仕掛けられ、侵入者に激突、粉砕、景気よく中身をぶち撒ける
3.万有引力の法則を証明するため、スカーブ山から投下、自由落下、粉砕、景気よく中身をぶち撒ける

好きなのを選んでかまわないぞ」
これ以上ないくらいの笑顔で微笑みかけてやる
。 ヘイトは顔面に冷や汗を滝のように流しつつ、
ヘイトちゃん「4.私に浄化の水をかけてみんなで幸せになるって言うのはぁ・・」
ストライフちゃん「ふむ。
4.ノースポイントの崖から投擲、自由落下、水没、水圧により粉砕、景気よく中身をぶち撒ける、魚の餌になる、か。
エコロジーな奴だな。よし、善は急げ、だ。イクゾー」
ヘイトちゃん「きゃぁぁぁーー、いやぁぁぁーっていうかたぁすけてぇぇぇぇーーー!!」
???「こら!ストライフちゃん!やりすぎですよ!」
背後からの声。振り向くとそこにいたのはワイルだった。
いつの間に復活したんだ?

ワイルちゃん「もう、ヘイトちゃんも反省しているみたいですし、許してあげてください。ね?」
・・・・なんというか毒気を抜かれた。
ある意味一番の被害者であるこいつにこう言われてはいつまでも腹を立てている自分がガキみたいじゃないか。
私は無言でヘイトに浄化の水をかけてやった。
ワイルは満足そうにうなずくと、
ワイルちゃん「じゃあ仲直りの印にみんなでケーキを食べに行きましょう!
グラン・タイユの新作『虹の散水塔』、美味しいらしいですよ!」
こんな時、こいつはリーダーらしいと思う。自分を抑え、和を取る。
私にはできないことだな。まぁ単純なだけかもしれないが。
ストライフちゃん「あそこは接客係のリチャードが馴れ馴れしいから苦手だ。
ヴェスティアのほうがいいな。あっちの新作『ウインドミル』も評判が良いぞ」
ヘイトちゃん「ケェェ〜〜キなんか食べたらふぅとるわよぉぉ^−^:、★」
ストライフちゃん「やかましい!!」
開口一番これだ。こいつの頭には空気を読むという言葉は存在しないらしい。
ヘイトちゃん「そぉぉれにいぃぃ、ストライフちゃんの大きな胸がぁぁtpwqラ:@
またおおぉぉきくなっちゃうわよぉぉlmwsz@、」
ストライフちゃん「何で知ってやがる!!この野郎!!」
思わず激昂しかかって、気付く。やられた。誘導尋問だ。
ストライフちゃん「誘導尋問か。貴様は本当に人をおちょくる天才だな」
ヘイトちゃん「ちっが〜〜うわよぉぉ@;>?遠見の鏡でじっさいにみてたのぉぉ@;w8:
ストライフちゃんてばうぅ〜らやぁぁましぃぃ〜〜〜〜:¥、@★」
ストライフちゃん「貴様覗き見していたのか!!!」
ワイルちゃん「ストライフちゃんいけません!!」
背後からワイルが抑えてくる。
ヘイトちゃん「ほぉらぁ@1qふぉーともあるよっぉぉぉ」
挙句、盗撮か。
ワイルちゃん「ストライフちゃん駄目です!抑えてください!お願いですから!
ヘイトちゃんも煽らないでください!!」
半泣きでワイルが喚いている。
ストライフちゃん「放せ。ワイル」
ワイルちゃん「駄目です!ストライフちゃん冷静じゃありません!」
ストライフちゃん「いいか、ワイル?私は今、口腔及び鼻腔から冷静に酸素を取り入れ、
赤血球によりそれを冷静に運び、冷静に活力を得ている。
また、眼球を保護するために冷静にまばたきをしており、胃の腑でも昼食に取ったスペシャルタマゴサンドを冷静に消化し、冷静に養分を全身に巡らせている。
だから私は今この上なく冷静だ。さっさと放さないとお前の命を奪うぞ、冷静に」
自分でも何を言っているのかいまいちよく分からなかったが、ワイルは戒めを解いた。
そんなに引きつった顔をするな。私は冷静だ。

ストライフちゃん「ヘイト。一つ聞かせろ。フォートはそれで全部か?」
ヘイトちゃん「じつはぁぁ5枚ほど売っちゃったぁぁ:。;w3&%テヘ★」
度を越えた怒りは血の気が引くというのは本当だな。今私が考えているこの部分、
確か理性とかいったか。これがすごい勢いで削られていくのが分かる。
すべてがなくなる前に言っておこう。
すまんなリーダー。
最後の一欠けらの理性でそう呟いたあと、

ストライフは跳躍した

響く怒号、けたたましい哄笑、哀切の悲鳴が轟くマルディアス学園。
しかしそれは特に珍しいことではなくわりと普通な一日なのでした。



サルーインちゃん「いわおこしマダー?(・∀・/)/∪チン☆チン☆」


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