暗いな。 寒い。 音がしない。 俺は・・・ いや。 何故、とか。何処、とかはどうでもいい。 と、言うよりも、だ。頭の中で疑問を処理できない。 考える以前の問題だ。論理の組み立て方が頭に浮かばない。 死んでいるのか。生きているのか。 そんなことすら、どうでもいい。 白痴のような脳内ではなく、胸の奥の、奥深いところに、 たった一つ、確かな灯火がある。 ――――ミルザ! ここ、クリスタルパレス寮の一室に、赤毛の女性が運び込まれてからしばらく経ちます。 しかし、彼女は一向に目を醒ます気配がありませんでした。 それはまるで、目を醒まし、自分の状況を直視するということに対して、 悲しい抵抗を試みているかのようでした。 しかし、クリスタルレイクの騒ぎの後。魔の島に『カヤキス』が現れた後に、ある変化が起きていました。 カヤキスの黒い鎧の魔力に呼応するように、赤毛の女性の『お守り』が醜い輝きを放ち始めたのです。 そして、ある夜。お守りの邪悪な意思が、彼女に語りかけました。 いいのか? ミルザを諦めてもいいのか? お前が引く必要は無い。 手が届かなければ、奪い取ってしまえばいい。 奪い取って、自分だけのものにしてしまえばいい。 殺してでも、奪い取ればいい。 ・・・私に全てをゆだねよ。 私の語りに、全てをゆだねよ・・・ かっ!と彼女の目が開かれます。 ゆるゆると体を起こした彼女の目は暗くよどんでいました。 狂気をはらんで静かに微笑むその口の端からは、一筋のよだれが垂れていました。 「ミルザ・・・」 そして彼女――アルドラは、夢遊病者のような足取りで、クリスタルパレス寮を抜け出してしまいました。 その夜、空には赤く輝く満月が浮かんでいました。月の神様の恩寵を、最も厚く受けられる時です。 その月あかりの下を、イナーシーに沿って、ヨービルからイスマスに向けて、ディアナちゃんが馬を駆っておりました。 ディアナちゃん「ちょっと遠出しすぎたかしらね・・・ あれ?向こうから歩いてくるのは・・・アルドラ?」 馬をとめたディアナちゃんは驚きました。 アルドラちゃんの姿こそ、ダンスパーティの時に見せた美しい女性の姿――本来のアルドラちゃんの姿――でしたが、 その眼は焦点が定まらず、足元もおぼつかなく、ただならぬ雰囲気をかもし出していたのです。 ディアナちゃん「アルドラ!!どうしたの!!こんなにやつれて・・・」 そこまで言って、ディアナちゃんはアルドラちゃんの胸元に気づき、息をのみました。 装着者の正気を失わせる、邪眼のお守りが醜く輝いていたのです。 アルドラちゃんはディアナちゃんの顔を見つめて、首を少し傾けました。 「オレト ミルザ ノ ジャマヲスルノカ?」 一方、ヨービルから、ワインの入ったビニール袋をぶら下げた女性がふらふら歩いていました。 片手には既に開封されたワインが一本。もうほとんど中身がありません。 ???「へ〜〜び〜〜は〜〜お酒っがぁ〜〜好きなぁ〜〜の〜よ〜〜アラホイホイ」 かなり出来上がってるようです。一人ハイテンション祭りです・・・が。 突然何かに気づいたかのように真顔になり、地面に手をあてました。 ???「この先で生命が、泣いてる・・・。この生命の『人格』・・・これ、あの時の子だ。」 その女性の体から、アルコールという『毒素』が空気中に放出されていきます。 すっかりシラフに戻った女性は、一目散に走り出しました。・・・ワインをしっかり抱えながら。 ディアナちゃん「(私にこれだけ抵抗できるなんて・・・呪具の力?)」 邪眼のお守りをなんとか外そうと、ディアナちゃんとアルドラちゃんがもみあっています。 アルドラちゃんが獣のように暴れ、抵抗していました。 アルドラちゃん「(コイツハ ダレダ? コノヒトハ?)」 ディアナちゃんの眼に、アルドラちゃんの眼の焦点が一瞬定まりました。 ディアナちゃん「目を醒まして!アルドラ!私の・・・友人の声が聞こえないのですか!?」 「――ト モ ダ チ?」 その言葉がアルドラちゃんの頭の中で何度も反響し、 その残滓はアルドラちゃんの心の中で、小さな感情の爆発を引き起こしました。 あの醜い姿の時に、自分の話を聞いてくれた人。自分を応援し、美しいと言ってくれた人。 アルドラちゃん「・・・でぃ あ な・・?」 ディアナちゃん「アルドラ!!」 しかしこの瞬間、お守りの邪気がアルドラちゃんを押さえ込むかのように、爆発的に膨れ上がりました。 アルドラちゃんの眼の色が再び狂気に染まります。そして、ディアナちゃんの懐の「剣の女王」に手を伸ばしました。 ぐさっ 剣の女王が、ディアナちゃんの腹部に深く突き立てられてしまいました。 刃を引き抜いた跡から、おびただしい血が流れます。 そのまま力なく倒れるディアナちゃんを、アルドラは呆けたように見下ろしています。 アルドラちゃんの手から、剣の女王が力なく落ちました。 ???「ええい!一足遅れたか!!」 そこに現れたワインを抱えた女性が、その光景を確かめ、真っ直ぐアルドラちゃんに向かっていきます。 アルドラちゃん「オマエモ ミルザトノ ジャマヲスルノカ!」 しかしアルドラちゃんが動こうとする前に、女性の右腕がムチのようにしなり、『お守り』を握り締めました。 女性はそのままアルドラの耳に口を寄せ・・・ 「『あんた』はお呼びじゃないのよ。ひっこんでなさい。この子は返してもらうわ。 ――――スネークバイト」 女性は一瞬にして、お守りを邪気ごと握りつぶしてしまいました。 お守りの邪気から解き放たれたアルドラちゃんが、へなへなとへたりこみ・・・ ・・・正気を取り戻すと同時に、たった今自分が仕出かした事を知ったのです。 アルドラちゃん「ディ・・・アナ・・・・嫌ぁぁぁぁあぁぁああ!!!」 ???「あきらめちゃダメ」 女性がアルドラちゃんの後ろから、抱きすくめるようにして、そっと手に触れました。 ???「あなたはウィザードの素質があるはずよ。今日は満月。ウィザードのムーンライトヒールなら間に合う。」 アルドラちゃんが目を赤くして振り返ります。 ???「もう、あなたを操ってるヤツはいない。誰に利用されるのでもない。 あなたの意思で!あなたの力で!あなたの大切な人を救うのよ!」 アルドラちゃん「オレの・・・意思・・・なすべきこと・・・」 アルドラちゃんの目つきが鋭くなりました。精神を集中させます。ディアナの体が月光に包まれはじめました。 「ディアナ・・・ごめんよ・・・オレは・・・・っ! 月の神よ、オレに力を貸してくれ!愚かなオレのしてしまったことを、償うチャンスをくれ!!」 直後、その辺りが一瞬激しい光に覆われ、そして再び夜の闇に覆われました。 ・・・ディアナちゃんの衣服は血に汚れてしまいましたが、 傷は影も形も無くふさがり、その顔には血色が戻っておりました。 ディアナちゃん「ん・・・ア・・・ル・・ドラ・・?」 アルドラちゃん「・・・ごめんなさい。・・・ディアナ・・ごめ・・さ・・・ うわぁぁぁぁぁんん!!でぃあなぁ!」 アルドラちゃんが、ディアナちゃんの胸に顔を押し付け、幼子のように泣きじゃくっています。 アルドラちゃん「・・・ごめ・・・なさ・・・ヒック・・ごめん・・なさい・・・」 ディアナちゃんは、そんなアルドラの頬に手を沿えて、にっこりと微笑みました。 ディアナちゃん「お帰りなさい。アルドラ。」 ???「落ち着いたぁ〜〜?あンた達も、一杯やろう〜♪」 先ほど駆けつけてきた女性は、既にワインを開封していました。再びラッパで飲んでやがります。 アルドラちゃん「オレの呪具を取り払ってくれたのはあなたなのか?・・・ありがとう。」 ディアナちゃん「私からも御礼を申し上げます。ありがとうございました。」 ???「いいのよ〜〜これも何かのエンってやつよ〜〜〜」 アル&ディ「ところで、こんなことを聞くのは大変失礼だとは思うんですが・・・ ど ち ら 様 ?」 ・・・・・・ ???「う〜〜〜ん、じゃあ、通りすがりの蛇女ってことで。」 ディアナちゃん「意味がさっぱりわかりません。」 ???「じゃあ女囚さそり」 アルドラちゃん「どこのVシネだそれは。」 時同じくして、イナーシーから打ち上げられた、一つの影が。 モーロック「おのれ・・・ラミアめ・・・ しかし俺が出奔したってこと、誰も気にも止めてないんじゃ・・・ ええい!なんとかして手柄をたてねば! そしたらラミア、俺のことを見直しちゃったりして・・・そして・・そして・・・フヒヒヒ!!」 ???「そこのボンレスハム、気持ち悪い笑い方しないでくんないかな。 酒がマズくなるわ。ったく、ファンシーなのは色だけね〜〜〜」 アルドラちゃんとディアナちゃんが、海の方に目をやりました。 モーロックの存在を確認し、戦闘態勢に入ります。 モーロック「な・・・この俺の存在に、こんな早く気づくとは・・・ ・・・って、なんでお前がここにいるんだよ!!(涙) 4寮長の一人、大地の誠アディリス!!!」 アル&ディ「・・・・って、ええーー!?」 アディリスちゃん「いやーんバレちゃった?ミステリアスな謎の女で通したかったのに。いけずぅ。」 ケタケタ笑うアディリスちゃんを見て、 アルドラちゃんとディアナちゃんは「嘘だろ?」「信じがたいわね」とヒソヒソと話し合っています。 そんなわけで、誰もモーロックに注目するものがおりません。 モーロック「く・・・う・・・うがーーー!!俺を無視すんなーー! 4寮長だか知らんが、お前みたいなあーぱー娘に負けるか!! そこの乳臭い小娘どもと貴様の首を土産に アディリスちゃん「クラック」 ズゴゴゴッ! けたたましい震動と共にモーロックの周囲が地割れ、そのなかにモーロックはすっぽりハマってしまいました。 地面から頭だけ出した形になっています。 と、モーロックが顔を恐る恐るあげてみました。 アルドラちゃんとディアナちゃんが、すんげぇ表情で立っています。 「乳臭いぃ?」「小娘ねぇ?」 モーロック「(流れ落ちる涙の果てに〜見放された荒野の先に〜(涙))」 イナーシーの水辺にて、美女3人が、ワインを酌み交わしています。 ちょっと離れたところに、ピンク色の醜い花が咲いています。 その花は、ボッコボコのギッタギタにされた挙句、額に肉と書かれていますが、 まぁさほど重要でもないので放置しておきましょう。 しばしの歓談のあと、アルドラちゃんはぽつぽつと、今まで自分に起きた出来事を話し始めました。 アルドラちゃんの話が終わるまで、2人は静かに聞いていました。 ミルザくんとの別離のくだりで、アルドラちゃんは少し涙ぐんでしまいました。 それでも声を押し出すようにして、アルドラちゃんは語りつづけました。 そして、居場所を完全に無くしたために退学を決意したこと。 その直後、謎の人間によって邪眼の守りを付けられ、意識を失ったこと。 邪眼の守りの前後の記憶が曖昧なため、押し付けた人間の姿は覚えていないが、 『ダーク』のときにアクアマリンを押し付けた人間と同じだろう。 アルドラちゃんはそう締めくくると、ほぅ、と一息つきました。 しばらく、誰も、何も話すことはできませんでした。 すると、ディアナちゃんが肩をわなわなと震わせて言いました。 「・・・許せない。許せないわ!!人を、女をなんだと思ってるの!! アルドラをここまで振り回して!傷つけて!利用して!何様のつもりよ!! アルドラ!私も協力するわ!2人で、その人でなしをとっちめてやりましょう! 生まれたことを後悔するくらいの罰を与えてやるわ!!」 「・・・2人じゃないわよう。3人よ〜〜♪」 アル&ディ「「アディリスさん!?」」 アディリスちゃん「アディリス、でいいわ。にひひ・・・ アタシねぇ、アナタたちのこと、気に入っちゃった♪ だからさ・・・アタシの友達になってよ!」 アルドラちゃんとディアナちゃんが視線をかわし・・・にっこりと微笑みました。 「「もちろん!!」」 3人はがしっ、と手を重ねあわせました。 アディリスちゃん「それにね、気になることがあるのよ。」 アルドラちゃん「気になること?」 アディリスちゃんが、急に大真面目な顔で話しはじめました。 アディリスちゃん「最近、妙な事件が多すぎる気がしない?それもスケールの大きな事件が。 アサシンギルド、クリスタルレイク・・・選挙活動の範囲を軽く超えてるわ。」 ディアナちゃん「確かに。クリスタルレイクの時は現場にいましたし・・・」 アディリスちゃん「それと、アルドラのことが何よりも気がかりね。 もしアルドラが邪眼の守りの支配から逃れ、学園内にいることがバレたとしたら。 ディアナちゃん「また――狙われる?」 アディリスちゃん「・・・一度狙われたってことは、陰謀や悪事の存在を身をもって知ったということ。 完全に問題が解決するまで、狙われ続けてしまう気がするわ。」 アルドラちゃん「上等だ・・・今度こそ返り討ちにしてやる!!」 アディリスちゃん「まぁ、まだ焦っちゃダメよ。女は焦らせるくらいじゃないとね♪ ・・・コホン。アルドラにちょっかいかけたヤツと、ここ最近の事件とは、 どうも無関係とは思えないのよ。ただ、敵の姿は見えない。 だから、アタシ達3人で、調べてみるってのはどうかな?」 ディアナちゃん「信頼できる、3人で・・・か。でもアディリス、あなたはいいの? 生徒会選挙に肩入れしないという噂があるわ。」 アディリスちゃん「んあ〜〜いいのいいの。これは選挙とは別モンよぉ〜〜」 そう言って、アディリスちゃんは豪快にワインをあおりました。 ディアナちゃんも、やや興奮気味で、意気高揚といった具合です。 アルドラちゃん「・・・2人とも・・・ありがと。」 アルドラちゃんの目が、再びぼやけてきます。 アルドラちゃんは慌てて目をごしごしこすり、ワインの栓を新しくあけました。 あ。 アルドラちゃん「そういえば・・・オレ退学届出したような・・・ハハ・・・」 ディアナちゃん「あ、退学届は差し戻されてるらしいわ。だから籍は残ってるはずよ。 でも、寮が無いのね。ならイスマスにいらっしゃい。歓迎するわよ。」 アルドラちゃん「いやダメだ!ただでさえ敵の姿が見えない状態だ。ディアナも危険にさらしてしまう。 大丈夫さ。こないだサバイバルスキルも買い足したし。野宿には慣れてる。」 ディアナちゃん「それはダメよ!あなたはもうそんな苦しむ必要はないわ!」 アディリスちゃん「なら答えは一つね。姿の見えざる敵の目に届かず、他の子を巻き込まず、 それでいて快適な生活空間。それは・・・・・・アタシんち!」 アルドラちゃん「いいのか?」 ディアナちゃん「大丈夫なの?」 アディリスちゃん「いーのいーの。ちょっと出入り面倒だけど、他のモンスターにも言っとくから。 これで決定!!うれしーなー♪一人だと退屈だったのよあそこ。」 アルドラちゃん「・・・じゃあお言葉に甘えるよ。よろしくなアディリス!」 アディリスちゃん「は〜〜い我が家へ1名様ごあんなーい。」 ディアナちゃんと別れ、二人はグレートピットの奥深く、アディリスハウスにきております。 アルドラちゃん「・・・うわっ・・・」 アルドラちゃんの目の前に広がる光景は、予想通りというか、想像したくなかった光景というか。 そこらじゅうに乱れ飛ぶ酒の空ビン、脱ぎっぱなしの服。 地の底だからヒマなのか、そこらに転がるマンガ、ゲーム、DVD・・・ 酒のビンを除いては、まんま子供の部屋といった感じです。カオスです。めっちゃカオスです。 アルドラちゃん「アディリス、あんた家事スキルないでしょ!掃除しないの?」 アディリスちゃん「引かぬ!! 媚びぬ!! 省みぬ!!」 アルドラちゃん「いやそれは言い訳にすらなってない。」 と、アディリスちゃんはやおら歌いながら、そこらじゅうを漁り始めました。 アディリスちゃん「たたかえ〜〜マルダぁ〜つよいぞ〜マルダァ〜機械創造神!マァルダァーー♪ おっと熱唱しちゃったわ。あ、見つけた。」 アディリスちゃんが、アルドラちゃんに何か投げてよこしました。それは、土色の輝きを放つ宝珠でした。 アルドラちゃん「こいつは・・・土の術具か?」 アディリスちゃん「土の精霊珠。糸石には劣るけど、偉大な力を秘めた石よ。 さっきディアナにかけたのを覚えてるでしょ?」 先ほどの別れ際のことでした。血に汚れてしまったディアナにアディリスちゃんが手をかざすと、 ディアナの衣装がまるで新品のように変化したのです。 アルドラちゃん「『カムフラージュ』の応用だね。汚れを消したわけじゃなく、『新品に見せた』だけって言ってたね。」 アディリスちゃん「そういうこと。 アルドラ、あなたに見えざる敵がいる中、素顔をさらして行動するのは危険が伴うでしょう? この精霊珠は土の術具でもあるから、風術と併用して土術を使える。 外出するときは、これ使ってカムフラージュで変装するといいわ。 チャチな変装ではない、本当の『術』だから。魔力の強いあなたならまずバレないはずよ。」 アルドラちゃん「ありがたく使わせてもらうよ!何から何まで、本当にありがとうアディリス!」 アディリスちゃん「うふん、普段はあんまり他の人にモノ貸したりしないんだけど、特別よぉ・・・ だから、私のお願いも聞いてくれるとうれしいんだけどなぁ・・・(はぁと)」 突如、アディリスちゃんが、アルドラちゃんにしなだれかかってきました。凄まじく嫌な予感がします。 アディリスちゃん「それってもう『変装』じゃなくて『変身』の域よね? 変身ってさ、すっごいトキメキのようなものを感じない?」 アルドラちゃんが、困惑したまま視線を移しました。その視線の先にはDVDが。 左から、「仮面ライダー龍陣」「仮面ライダー∇」「仮面ライダー刀鬼」・・・ ハッ!としてアルドラちゃんが振り返ると、アディリスちゃんが一冊の本を手にしてワクワクテカテカしています。その本には・・・ 「せいぎのみかた!アルカイザーとくしゅう!」と書いてありました。 ご丁寧にカタカナにまでルビがふってあります。 表紙では、赤いマスクの変な人が小学生を抱っこしていました。 アディリスちゃん「戦闘の時はぜひこれで・・・」 アルドラちゃん「断る!!却下却下却下だーーー!!!」 アディリスちゃん「えーつまんなーい。名前も似てるし良いと思うんだけどなー。 だってアル・フェニックスだって撃てちゃうんでしょ?」 アルドラちゃん「それはただの火の鳥だと思います。撃ちたきゃ1800金もってバイゼルハイムに行け。」 アディリスちゃん「普段は謎の敵に命を狙われる薄幸の美少女。 しかしその実態は、正義のヒーローアルカイザー!燃える!燃えるわっ!!」 アルドラちゃん「あ、あのー。もしもし。アディリスさん?」 アディリスちゃん「あ、そうだ。エロちゃんに連絡しよっと。 あーもしもしエロちゃん?曲一つ作ってくれないかなー? ちゃうちゃう、ラブソングじゃなくって、もっとこう燃え上がるようなパンチのきいたやつ!」 アルドラちゃん「えー今日さんざんお世話になりまして、 今後もよろしくお世話になる方に大変申し上げにくいのですが、 殴りますよ?」 アディリスちゃん「んでさー、やっぱ悪役が必要よね!怪人ってやつ!! マラル湖とスカーブ山とトマエ火山にそれっぽいのがいるから、それでいっか〜〜」 アルドラちゃん「人 の 話 を 聞けーーーーー!!!」 ――――こうして ――――正義の使者アルカイザーは誕生した。 アルドラちゃん「勝手なナレーションを付けるなーー!! もう殴る!絶っっっ対殴る!!!!」 さてさて。アルカイザーが本当に誕生したのかどうかはわかりませんが・・・ こうして、アルドラちゃんとアディリスちゃんの奇妙な共同生活が始まりました。 アルドラちゃんの苦労が報われたのか、それともさらなる試練のはじまりかはわかりません。 でもね。この日のアルドラちゃんの寝顔は、とても幸せそうでした。 ということだけは確固たる事実として、最後にお伝えしておきます。 |
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