幕間劇「運命の糸石」

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嵐の中に聳える魔の島・・・
その主である魔術師、ウェイ・クビンがいる暗い研究室の扉から、乾いたノック音が響きました。
ウェイ「入れ。」
ギィ・・・僅かな軋みを立てて開いた扉の先には、碧眼で全身紅色のゴブリンがチョコンと立っていました。
ウェイ「何のようだ、セージ?」
セージはウェイの呼びかけを確認すると、扉を閉めてウェイに近づき、言いました。
セージ「神か悪魔か・・・誰が残したか『運命の糸石』。
    その魔力や一つ一つでも強大な力を秘めています。
    今までは『10種類ある』という情報も定かではありませんでしたが、とりあえず10種類、確認できました。
    とはいっても半分以上は今ある場所は特定できていないのですが・・・」
ウェイ「ほう。・・・意外と早かったな。で?」
セージは一息つくと、一気に話し始めました。
セージ「真理と知識を与えし、魔のエメラルドはまずあなたが手に・・・
    所持者の念で自由に幻を作り出す、幻のアメシストは、勇者ミルザの手に。
    水を自在に操る水のアクアマリン。これも今は勇者ミルザの手に。
    風を呼び、気候を操る風のオパール。これはアルドラの手に。
    ・・・これまでに、4つの糸石が動きました。残りは6つ・・・」

「大地の力を秘め、大地の加護を受けた、『土のトパーズ』。
 噂によれば学園の遥か地底にあるらしですが・・・定かではありません。
 炎を生み出し操る『火のルビー』。
 昔はリガウのトマエ火山にあったらしいですが、どこかの寮の戦士が持ち帰りその寮の宝としたといいます。
 闇を払い光を生み出す『光のダイアモンド』。
 元はあのエロールの物だったらしいですが、今はエロールの手を離れています。
 闇を与え、万物の終焉を生み出す『闇のブラックダイア』。
 場所は大体掴めております。今はゴブレンジャーが調査を・・・  大いなる生命力を秘めし、『気のムーンストーン』。
 一説によれば未開の地、その神殿に祭られているといいます。
 憎悪と羨望を生み出しし『邪のオブシダン』。
 その昔これを巡って学園で大きな事件があったといいます。今はどこかに封印されてるとか・・・」

ウェイは腕を組むと、神妙な顔つきで部屋の中をうろつきました。
ウェイ「ともかく、場所が掴めていないのが多すぎるな。まだまだ先は長いという事か・・・」
セージ「そうでもないと思いますよ?」
ウェイ「なぬ?」
セージ「均衡は崩れました。糸石を巡る様々な勢力によって・・・
    短期間に実に4つもの糸石が動いているんですよ!
    我々・・・勇者ミルザ・・・サルーインちゃんの一味・・・
    思いの他全ての糸石はあるべき場を離れてゆくでしょう。」
ウェイ「ふむ・・・大した奴だお前は・・・」
セージ「そうですか?ふふ、やはり代償は大きければ大きいほど見返りも大きくなければいけませんからね。
    ・・・・・・あなたが取った行動は大成功といえましょう!」
ウェイ「・・・自分で言うな馬鹿者めが。」
セージ「うふふ・・・・・・さてっとぉー・・・おやすみなさいマスター!よい夜を・・・」
セージは手を大きく振ると、ゆっくりと部屋を出て行きました。
・・・すっかり静まり返った部屋の中で、ウェイは薄ら笑いを浮かべながら壁にかけてある緑色の宝石を見つめました。
所々欠けているような、いびつな形の宝石です。
妖しく・・・美しく・・・輝いています・・・



ナイト「まったく・・・それらしい場所なんかねーっつノ!!」
ソルジャー「もういい加減泳ぐのも疲れてきたゾ。」
ガボガボゴボゴボ・・・・・・
暗い海の中を、あまりに場違いな二匹のゴブリンが泳いでいます。
ここは『黒海』。
クジャラート舎北部に広がる、一面墨を垂らしたような真っ黒な池です。
人々はこの海を『怪物の呪い』だとか、『不幸の溜まり場』などと言っていますが、
それは何てことは無い、ある一つの宝石の力なのだ、と、彼らゴブリンの主は言っています。

”運命の糸石の一つ、『闇のブラックダイア』は、存在するだけでも無尽蔵に闇を放出する呪いの糸石だ。
これはかの学園のお偉いさんが残した書物に書かれていたことだから、まず間違いないと思うよ。
それでだ。僕はクジャラート舎北部に広がる『黒海』!ここに目をつけた。”
”黒海て・・・あの呪われてるとかいう海?”
”そうそう。学園の科学部とかの連中が何度も水質調査に言ってるらしいんだけど、
汚染物質やらの類は一切出ていないらしいんだ。
そーゆー感じのが無いのに、あんなにおかしいぐらい海が黒く染まると思うか?
・・・いや、あるのかもしれないけどさ、とにかく!僕はあの異常なほどの『黒さ』は、
あの黒海のどこかに存在する糸石、『闇のブラックダイア』のせいだと睨んでいる!”
”へぇ・・・そうなノ。”
”・・・・・・君達、分からない?”
”ハ?”
”今すぐ調査に行けっつーんだよ、コノヤロー!!”
”ひゃーー!行きます行きますいっちゃいまース!!!”

ナイト「っつー成り行きで着たわけだけどサァ・・・断っておけばよかったナ。」
ソルジャー「全くダ!・・・ってかこの海怖いよ〜、同胞の死体が一杯転がってる〜」
海の底には、マグナムフィッシュやアーマージェリー、
コーラルクラブや山おやじなどのモンスターの死骸がゴロゴロ転がっています。

ソルジャー「もしかしてこいつらこの海の呪いで死んじゃったんじゃ・・・ヒィ〜」
ナイト「ってことはオレらも死んじゃうってわけ!?ヒィ〜あのセージのヤロ〜」
二人のゴブリンの顔は、恐怖におびえ引き攣っています。
今までは少し身を離していたものの、今はほとんどピッタリくっつきながら、
二匹のゴブリンは黒海の奥深くへと進んでゆきます。
そしてしばらく経った後、そんな二匹のゴブリンの目に、徐々に何か建物のようなものが見えてきたのです。
ナイト「あれは・・・なんダ?」

比較的殺風景だった光景に、極めて目立つ鉄の壁。
・・・入り口のようなものも見えます。
ナイト「・・・・・・言ってみるカ?」
ソルジャー「・・・・・・・・・アア。」
身をピッタリくっつけながら、その『建物?』に向かってゆく二匹のゴブリン。
入り口が徐々に近づいてくる・・・息を呑む・・・
しかし、ナイトは今自分の周りに起きている異変に気がつきました。
ナイト「お、おい、ソルジャー・・・」
ソルジャー「なんダ?」
ナイト「周り・・・見て・・・」
ソルジャー「は・・・?ヒィ!?」
気がつけば・・・二匹のゴブリンの周りには、恐ろしい数のモンスター達が輪を作っていました。
化石魚・・・デスクローカー・・・山おやじ・・・
みな、確実にゴブリン達を睨み付けています。獲物を狙う猛獣の目で。
ナイト「あノ・・・そノ・・・・・・僕達大ピンチでOK?」
震えながらソルジャーに抱きつくようにしてナイトは言いました。
ソルジャー「い・・・いいんじゃないのかな・・・」
ナイト「はっはっはっ、そうか・・・じゃあ」

「逃げるぞー!!!!!」

ゴブリン二匹は、今残っている体力を全て振り絞り、海面に向かって泳ぐ力に総動員しました。
逃げ出したと認識した魚のモンスター達は、猛スピードでゴブリン達を追いかけます。
ソルジャー「っつか、なに?なんなのあのお魚さん達は!!弱肉強食って奴ですかー?僕達食われるノーー!!??」
ナイト「落ち着け落ち着け落ち着けっぅだったらぁぁ!!ヒィ〜〜〜!!!!」
物凄い勢いで、涙目どころかボロボロ恐怖の涙を流しながら
(無論流れ出る涙はすぐに水に溶けるのだけれども)泳ぐゴブリン達。
その二人の胸には、こんな所に来てしまった後悔とセージへの恨みが大きくなっていました。

「くそぉぉぉーーー!!セージのバカヤローーー!!!!」



???「ふむ。フロンティアには糸石の存在の可能性は無し・・・か。となるとリガウかワロンか・・・?」
小汚い服を着込み、銀色の仮面をつけ、体と同サイズ程の大剣を背負った一人の人間。
いや、人間かどうかも定かではない『その男』は、大量のモンスターの死骸の輪に囲まれながら一人呟いていました。
???「あのチビゴブリン、将魔でも無いくせにやたらと太い情報網を持っている。
    まぁ、真かどうかはまだ分からぬ事だが・・・」
男はモンスターの屍をグチュリと踏みつけ、元来た道に戻り始めました。
うっそうと木々が生い茂るフロンティアの密林。
男はここに糸石、『気のムーンストーン』を探しにきていました。
彼の独り言に出てきたチビゴブリン・・・ゴブリンセージの手引きによって。
???「でもまぁ、おかげでいいストレス発散になった・・・同属狩りとは愉快なものだ。」
血に濡れた口を醜く歪ませながら、屍の道をゆく男。
???「・・・・・・ん?」
男は、生き物の気配を感じ取り、ガバッとその方向を振り向きました。
モンスターが一匹・・・オーガが、男めがけて突進してきています。
男の剣と見劣りしないほどの巨大な剣を振りかぶり、狂気の雄叫びを上げながら。
???「雑魚か・・・」
男は大剣を手にしたまま大きく腰を捻り、狙いを定めました。
オーガは既に男のすぐ近くまで迫っていました。
オーガの剣が、男めがけて振り下ろされます。
・・・瞬間。
凄まじい音と共に、振り下ろされる剣に一筋の閃光が走ります。
一テンポ遅れて、オーガの剣の鍔から先がごとりと地に落ちました。
オーガ「?、????!?」
刀身をなくした剣は、すでにただの棒切れと化しました。
ニヤリと口を歪ませる男。
棒切れを手にしたまま、後ずさるオーガ。
男は、ニヤニヤと笑いながらオーガとの距離を詰めていきます。
死の危険を感じたオーガは、咄嗟に言いました。
オーガ「ごめんなさい、ごめんなさい!!!殺さないで下さい!!」
突然喋りだしたオーガに、男はオッ、と一瞬驚きました。
???「なんだ、貴様・・・しゃべれるのか?」
オーガ「へ、へへ・・・それなりに人間の言葉はしゃべれますよ、おいら。で、助けてくださいよ。」
なぜか死の危険は去ったと思い込んだオーガは、半分おどけた口調で言いました。

???「助けてやるよ・・・その代わり、俺を楽しませろ。」
オーガ「は?」
???「俺は犬が好きなんだ。おまえ、今ココで犬になれ。」
オーガ「はぁ〜〜〜〜!?」
予想外の言葉にオーガは心底あきれ返りました。
しかし、すぐに男は言いました。
???「なんだ?何か文句でも?貴様の首もあの剣と同じように落としてやってもいいんだぞ。」
オーガ「いや、すません、やります、やりますから、なんなりと。お躾を。」
男の目に深い殺気を感じ取り、すぐさまオーガは四つん這いになりました。
???「吼えろ」
オーガ「ワーンワワーン!!ワンワーン!!!」
???「走れ」
オーガ「フゥフゥフゥ・・・ハッハッ」
オーガという自分の立場をかなぐり捨て、命欲しさに犬になりきるオーガ。
男は、目下オーガの情けない行為を嘲笑しながら更に命令をしました。
???「ハハハハ・・・お手。」
膝立ちになり、骨ばった手を差し出す男。
オーガは、嬉々として男の手に己の手を重ねました。

パァン

オーガ「・・・え?」
男は、重ね合わせられようとしたオーガの手をすぐさま弾きました。
???「汚い手で触るな。」
オーガ「はっ?」
ニヤニヤと不気味な笑いを浮かべながら、ゆっくりと立ち上がる男。
???「調子に乗るなよ、ブタが。小動物を侮辱するのもいい加減にしろよ。」
オーガ「い、いや・・・やれっていったのはあなた様で!!」
???「やり出したのはお前だろうが。俺は冗談半分に言ったつもりだったのに・・・
    ああ、ウゼエ。べったり不快感残してくれやがって。」
オーガの顔が、みるみると悔しさに染まっていきます。
オーガ「この・・・ヤローめが!!」

ずぶしゅ

オーガの首が一瞬にしてはじけ飛びました。
切られる直前の怒りの顔そのままに。
血をいきおいよく噴出させながら、弧を描きはじけ飛ぶ首。
はるか遠くに落ち、ごろごろと転がり止りました。
男は、ニヤニヤ笑いながら血がべったりとついた剣をベロリと大きく舐めました。
???「さて・・・と。次はリガウかワロンか・・・ククク、楽しい旅になりそうだ。」
男は、全身の血を手でふき取ると、のそのそと歩き始めました。
その顔には、もうどうにもならない狂気のみが漂っていました・・・



・・・ここは騎士団寮。
そして、その中心に聳え立つ棟、『フラーマの棟』。

「・・・・・・」
その棟の最上階、棟の主であるフラーマ先生の部屋に、無断で足を踏み入れる一人の人間がおりました。
「(・・・・・・クックック・・・潜入成功・・・)」
夜の闇に光を失ったその部屋に、突然光がともります。
光は、男の指先から生まれた火によるものです。
「(どこだ・・?どこにある・・・・・・?)」
のそり、のそりと重い足音を立てながら部屋を徘徊する男。
その男の目に、部屋の隅に忽然とたっているタンスが目に付きました。
「(・・・・・・ここだな?)」
指先の火を消し、ゆっくりとタンスに近寄る男。
その指先が、タンスの取っ手にあたり・・・一気に引っ張ろうとしたその時です。

「何やってらっしゃるの?イフリートセンセ?」

イフリート「はうぁっ!!??」
突然部屋が明るくなりました。部屋の入り口には、フラーマ先生が・・・!
イフリート「あ、いや、これはですねこれはですね、その、製作上の都合って奴で・・・」
フラーマ「何を訳分からない事を言っているのかしら?
     私はあなたがここで何をやっていたのか、という事を聞いているのです。」
フラーマ先生は唇を真一文字に刻んでいました。
イフリート先生の体に冷や汗が走ります。
イフリート「・・・・・・・・・け、警備ですわ。」
フラーマ「警備になんでタンスあける必要があるの。」
イフリート「ぐっ・・・・・・!」
イフリート先生は逃げ場が無い事に焦り、
混乱する頭からとにかく言葉を引っ張り出し適当にフラーマ先生にほうりつける事しか出来ません。
イフリート「そのー、実は僕のメガネこのタンスに入ってまして・・・」
フラーマ「嘘つくなよ。いつ入れたんだよ。」
イフリート「あのー、よろしければ僕の筋肉見ていきます?それでチャラって事で。」
フラーマ「部屋が肉臭くなるからいらない。」
イフリート「実は僕未来から来たんです。」
フラーマ「あらそう。お疲れ様。未来からわざわざ私の私物をあさりに来たの?」
イフリート「ぐぐぐ・・・」
苦し紛れの言い訳がことごとく跳ね返されてゆきます。
絶望を感じ始めた頃に、イフリート先生の頭に一つの考えが浮かびました。

”ピンチこそが最大のチャンス”

目の前にはフラーマ先生が立っています。
イフリート先生は思いました。”この上ないチャンスじゃんけ”と!
・・・イフリート先生のくだらない脳味噌はそう訴えていました。
フラーマ「とりあえず、精霊石の杖で百発せっかんって事でよろしいかしら?」
フラーマ先生が近づいてきます・・・
イフリート先生は、勇気を振り絞り言いました!!

イフリート「フラーマ先生!!僕と・・・つきあってください!!」
フラーマ「却下」
イフリート「はやっ!!!!!」

あまりに早い『却下』に驚きながらも、イフリート先生はまだあきらめようとしませんでした。
イフリート「(ふ・・・今までのオレとは違うぜ先生。
      強力な助っ人からアナタを落とすアドバイスを僕は伝授してもらってきているんですよね、これが・・・)」
イフリート先生は、『強力な助っ人』の言葉を思い返しました。

”えー?なんで僕にそんな事聞くんですかぁ?”
”いやぁ、お前異様に物知りだからさぁ。そんぐらいわからねー?”
”まぁ、少しくらいなら。”
”よっしゃ!!さすがだねぇ、キミ!!・・・で?”
”・・・で?って言われても・・・”
”即効で落とす方法だよ。”
”はぁ・・・そう簡単に言われましてもねえ。
・・・まぁ、とにかくこんなんどうです?・・・・・・相手をほめてほめてほめ殺す。
たとえば、『マリア、君のそのチラッと見せる白い歯に僕はメロメロなんだ』とかさ。”

イフリート「『マリア、君のそのチラッと見せる白い歯に僕はメロメロなんだ』」
フラーマ「・・・マリアって誰?」
イフリート「ぐがっ!!」
ついつい例そのままに言ってしまった自分を呪いながらも、イフリート先生は更に思い返しました。

”で、それでもダメだったらどうするワケよ?”
”それでもダメだったら?・・・世間話からさりげなく自分の優しいところなどをアピールしてみるなんてどうです?
微妙に笑いも織り交ぜていくといい感じかもしれませんよ。”

イフリート「フラーマ先生!・・・その、先生は花はお好きですか?」
フラーマ「・・・え、ええ。その、少しくらいなら。」
イフリート「おお、それは奇遇ですねぇ!!僕なんかお花がもう好きすぎて好きすぎて
      いま鉄仮面の中にアサガオの種入れて育ててるんですよ。アッハハハハ!!」
フラーマ「ありえねー例え話はいりませんわ。」
イフリート「ぐっ・・・・・・!!」
あまりの冷めた反応に苛つきながらも更に思い返しました。

”・・・それでもダメだったらどうするよ?”
”しつこいですねアンタ・・・強引に話を展開させてみるなんてどうです?意外に聞くかもしれませんよ?”

イフリート「よう、今度デートしよう。」
フラーマ「やだ。」
イフリート「もっと!もっとだー!グヘッ・・・ いかん いしきが・・・」
フラーマ「は?」
イフリート「やっちまったぜ・・・」
フラーマ「はぁぁぁぁぁぁ????????」
イフリート「(さすがに展開させすぎてワケ分からなくなっちまったな・・・よし、次の方法だ。)」

”おどけて告白なんてどうでしょう。軽い感じが意外に受けるかもしれませんよ。”

イフリート「君に対する愛情がいっぱいだょ!」
フラーマ「キモい。」

”あっさり退こうとするのも逆にいいかもしれません。”

イフリート「もう帰る。」
フラーマ「ばいばーい」
イフリート「いや、今のなし、なし!!やっぱりなし!!」
フラーマ「はぁ?何よそれ。」

”逆にけなしてみるのもいいんじゃないですか?”

イフリート「いまのあんたが いちばんみにくいぜ!!」
フラーマ「んだとコラァ!!??」
イフリート「いや、今の無し!じゃあ、次、次の聞いてください!」
フラーマ「次・・・?一人コントでもしてんのアンタ?」

 ”自分はあなたをこんなにも思ってるんですよー的なこと言えば分かってくれるんじゃないっすか?”
イフリート「トイレなら寝る前にいっとけよな!」
フラーマ「いってます。」
 ”カワイさをアピール、なんてどうですかね?うふふ、これ結構効きそうですよ。”
イフリート「ちゅぴちゅー、ちゅぴちゅぴまちゅぴちゅちゅー♪」
フラーマ「黙れクズ」
 ”Hな事をにおわせるセリフって意外に答えますよ。・・・いや、僕一応男ですけど。”
イフリート「では手術だ。さぁ、さっそくそこに横たわって」
フラーマ「死ね」
 ”執着心を見せれば落とせるかもしれませんよ。”
イフリート「ここはとおさーん!」
フラーマ「失せろカス」
イフリート「くそっ・・・!」
何を試しても、まったく目の前の女には通じない。いい加減イフリート先生にも嫌気がさしてきました。
イフリート「却下、却下、却下!!騎士としての誇りは無いのか!!」
フラーマ「騎士じゃねーよボケ」
イフリート「確かにそうですねー、あっははは」
あまりのフラーマ先生の固さに、イフリート先生は諦めモードに入っていました。
イフリート「(まぁ・・・またの機会でいいか・・・ふぅ・・・)
      ・・・・・・長時間すいませんでしたー。じゃあ、おやすみなさい。」
踵を返して部屋を出ようとした・・・そのときです。

フラーマ「待ちなさい。」

ガッと服の裾をつかまれる感覚。
フラーマ先生がイフリート先生を呼び止めたのです。
イフリート「(えっ、これって?これってもしや!?)
      フ、フラーマ先生・・・!やっぱり僕のこと・・・!!」

フラーマ「精霊石の杖で百発せっかんの事忘れてるんじゃなくて?罪は償ってもらいますわよ。」

イフリート先生「あ・・・・・・ひぃぃぃーーーー!!!」
イフリート先生の顔がザーーーッと青ざめてゆきます。
フラーマ先生は、懐から精霊石の杖を取り出すと、高く振りかぶり・・・

「ひぎゃああああーーーーーーーーー!!!!!!!」



フラーマ先生「まったく・・・相変わらずはた迷惑な奴だったわ・・・」

あれから数時間後。イフリート先生への制裁が終わり、部屋にはフラーマ先生だけが残されていました。
時計は深夜の2時を回っています。
フラーマ先生「お肌って確か深夜の0時から3時までの間に作られるのよね・・・明日の肌の荒れが心配だわ・・・」
フラーマ先生は、そう言いながらタンスを開けました。
下着がなくなっていないかをまず確認し、高く積んである服の山の底から、紙袋に包まれた何かを取り出しました。
紙袋の隙間から赤い光がこぼれでています。
慣れた手つきで紙袋を開いていくフラーマ先生。
その下からは、目が痛くなるほどの赤い閃光を発している『球体』が現れました。
うっとりとした目つきでその球体・・・宝石をなでるフラーマ先生。
なでながら、先生は呟きました。
フラーマ「今日もこのコのお世話になっちゃおうかな・・・ふふふ・・・」
その宝石を片手に、フラーマ先生は突然術を唱え始めました。

「生命の炎!」

宝石は一層強く赤い閃光を発しました。
そして光はフラーマ先生を覆い・・・消えました。
閃光に包まれた後のフラーマ先生の肌は、化粧でもしたかのように綺麗で若々しくなっています。
フラーマ先生「あらぁ〜ん、よくやったわ。さすがね、糸石、『火のルビー』!これでゆっくり眠れそう・・・」
先生は『火のルビー』を再び紙袋に包み、タンスの奥に押し入れました。
満足したフラーマ先生は、ベッドに入り、眠りにつきました。


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