幕間劇「夢と現実、そして・・・・・」

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ディアナちゃんとナイトハルトくんの婚約祝いダンスパーティーから二日後。
ようやく落ち着いたルドルフたちのもとにある知らせが届きました。
ルドルフ「なに?アルベルトが病気だと?」
執事「はい、昨日から眠ったままです。それに、なにやらうなされているご様子」
マリア「まぁ、私としたことが気づきませんでしたわ・・・」
ディアナちゃん「アルベルト・・・」
正確にはダンスパーティーの日から病気になった状態でベッドの上で発見されるまで、
空白の一日がありましたがそのことには誰一人気づきませんでした。
ひでぇ扱いです。



――アルベルトくんの部屋

ベッドの上にはアルベルトくんが静かに寝息を立てていました。
どうやら今はうなされていないようです。
ルドルフ「先生、アルベルトは何の病気なのですか?」
N先生「ふむ、どうやら夢魔に取り憑かれているようだ。
    余程恐ろしい思いをしたようだ。その恐怖に惹きつけられたのだろう。
    恐怖という感情は夢魔の好物の一つだからな」
マリア「どうすれば治るのですか?」
N先生「放って置けばいい。十日もすれば夢魔も飽きるだろう。・・・高い確率で廃人になるが」
ルドルフ「それは困ります!何か他に手段は!?」
N先生「あるぞ。殺せば良いのだ。死の瞬間、その一瞬だけ目をsがふ・・・痛いじゃないか。
    冗談に決まっているだろう」
剣の女王による一撃を頭部に受け、思わずN先生はうずくまりました。
ディアナちゃん「言っていい冗談と悪い冗談があります!退治は出来ないのですか!?」
N先生「無理だな。夢魔と我々は存在する世界が違う。
    戦えるのは同じ世界にいるアルベルトくんだけだ。
    あらゆる恐怖とトラウマを押さえ込むだけの意志の力が彼にあれば追い払えると思うが・・・」
ルドルフ「アルベルトには無理だ」
マリア「あの子は昔から泣き虫で・・・」
ディアナちゃん「他の案はありませんか?」

満場一致で否決されました。

N先生「・・・ある意味、素晴らしい信頼だな。では最後の手段だ。
    強力なきつけ薬で無理やり起こす。だが材料の薬草が無くてな。取ってきてくれ」
ディアナちゃん「どこにあるのです?」
N先生「カラム山脈の中にある山に群生している。その山には特に名前は無い。
    地元民は霧の山とか魔龍公の巣と呼んで、五合目までしか登らないがな。
    山のふもとにも生えるのだがそれは地元民が採ってしまう。
    手に入れるにはそれより高く登るしかないぞ?」
ディアナちゃん「弟の危機を放ってはいられません。私が行ってきます!」
ルドルフ「待ちなさい。お前一人では行かせられん。私も行こう」
マリア「あなたは腰痛持ちなのですから無理をなさらないでください」
ルドルフ「む・・・では誰か護衛の者を・・・」

デッデッデデデデッ!

ルドルフ「このテーマ曲は!」
部屋にいたものが一斉に振り返ると、そこにはいつのまにかナイトハルトくんが立っていました。
ナイトハルトくん「ルドルフ寮長、ディアナの護衛は私が引き受けよう」
マリア「まぁ、どこにいらしたんですか?」
ナイトハルトくん「ふふ、私はどこにでもいるのだ」
答えになっていない答えを返しナイトハルトくんは不敵に笑いました。
ルドルフ「申し出はありがたいがこれは我が家族の問題。ナイトハルトくんを危険にさらすわけには・・」
ナイトハルトくん「水臭いことを言わないでくれ。アルベルトは私の義弟となる者、
         私が手伝うのは当然のことだ」
ルドルフ「わかった。ディアナを頼む」
ディアナちゃん「よろしくお願いします」
N先生「話はまとまったか?では地図を渡そう」
山までの道のりが描かれた地図を受け取り、ディアナちゃんたちは薬草採取の旅へ出発しました。



――アルベルトくんの夢の中

アルベルトくん「ここは・・・お菓子の家?」
そこはビスケットやキャンディーで形成された奇妙なオブジェが屹立している空間でした。
そこの住人達は空を自由に移動していました。

アルベルトくん「私も・・飛べるのだろうか・・・」
???「飛べるとも」
振り返るとそこには馬を豪奢にしたような生物がいました。
???「ここは私の空間だ。さあ、地面を蹴ってみるといい」
恐る恐る地面を蹴ると、アルベルトくんの身体は重力の戒めを解き空中に浮かび上がりました。
アルベルトくん「飛んでいる!!この羽は伊達じゃないんだ!!」
背部の羽をはためかせ、アルベルトくんは自由に空を飛び回りました。
???「造作も無いことだ。空を飛ぶことも―――落とすことも」
突然浮力を失いました。
アルベルトくん「え?」
ものすごい勢いで地面が迫ってきます。
アルベルトくん「うわああああああああああああああああああ・・・・・・」



――山麓の集落

ウソ寮から更に絡む山脈よりにある小さな集落にディアナちゃんたちはたどり着きました。

ディアナちゃん「あの〜、きつけ薬の材料になるという薬草を探しに来たのですが・・・」
地元の主婦らしき人に声をかけました。
おばちゃん「ん?ああ、飛竜草の事かい。悪いけど今年はもう全部売れちまったよ」
ナイトハルトくん「ふむ。やはり登らねばならんか」
おばちゃん「あんたたち魔龍公の巣に行く気かい?今年は数が少なくてねぇ。
      五合目辺りまでには残ってないよ。七合目位には残ってるかもしれないけど。
      モンスターもいるし危ないよ?」
ディアナちゃん「覚悟の上です」
おばちゃん「まぁ、なら止めないけど。飛竜草は刺に毒があるからね。これを持っていきな」

おばちゃんは解毒薬を投げてよこしました。
ディアナちゃん「お心遣い、感謝します」
おばちゃん「旅人には優しくするのが我が家の家訓さね。くれぐれも山頂には行かないようにね」
ナイトハルトくん「魔龍公とやらがいるからか?」
おばちゃん「言い伝えだけどね。君子危うきってやつだよ」
おばちゃんは快活に笑いました。

おばちゃん「ま、危なくなったら帰っといで」
ナイトハルトくん「うむ。感謝する。ではディアナ、イクゾー」
ディアナちゃん「はい」
ナイトハルトくん「ちがう。『イクゾー』だ」
ディアナちゃん「イ、イクゾー」



――アルベルトくんの夢の中

アルベルトくんは場末の酒場で見知らぬ男と杯を傾けていました。
男「酒は心の友よのぅ。そうは思わぬか?旅の人?」
アルベルトくん「その気持ち、わかります」

また杯を傾けます。
男「酔ってない。酔ってないでひゅ」
アルベルトくん「その気持ひ、わかりまふ」

三度杯を傾けます。
男「ち、ちゃんと相手の目を見てしゃべれぇっ・・・・・・」
アルベルトくん「そ、のきもひ、わかり・・まふ」

またまた杯を傾けます。
男「しゃしゃしゃけぇっ。おもおもおも、えへへ」
アルベルトくん「その、の、の、きも・・・ふぇへへへへへへ」

まだ杯を傾けます。
男「くぅ・・・・・・」
アルベルトくん「うごぅおえええええええええええええええええええ・・・・だめら・・・」
再び意識が闇に落ちました。



――魔龍公の巣

深い霧に包まれた険しい山を二人は命綱も無しによじ登って行きました。

ナイトハルトくん「この程度の傾斜なら、スカーブ山を制覇した私には苦も無い」
ディアナちゃん「しかしこの霧では飛竜草を探すのに苦労しそうですね」
ナイトハルトくん「心配するな、七合目まで登ればすぐに見つかる。私の人生はそういう風に出来ている」
根拠も無いのに胸を張って答えます。
ディアナちゃん「そうなのですか?さすがです」
普通に信じてしまいました。

しかし、あまりに霧が深く、視界が確保できなくなったため、二人は山の内部を進むことにしました。
山の内部は禍禍しい気に満ち溢れていました。
二人は周囲に気を払いつつ、歩を進めました。
その二人の足元にアリ地獄のようなスリバチ状の穴が突如現れ、ナイトハルトくんの足を捕らえました。
ナイトハルトくん「む!?」
ディアナちゃん「ナイトハルトさん!!」
穴の中心にはピンク色の気色悪い生き物が蠢いています。
ナイトハルトくん「心配無用だ」
自慢の槍を構え、悪い足場を物ともせずモンスターを叩き伏せました。
ナイトハルトくん「ナニモイウコトハナイ」

夢でした。

実際にはそのモンスター――『ライフトラップ』の催眠攻撃により眠りに落ちた
ナイトハルトくんはいいように生命力を奪われていました。

ナイトハルトくん「フンッ・・・ザコカー・・・ムニャ」
一方ディアナちゃんは焦りまくっていました。
ディアナちゃん「ど、ど、どうしよう?このままじゃナイトハルトさんが・・・。
        そうだ!『破幻術』!!・・・・・・・・・・・使えたら苦労しないわ!!」
術の一つも使えない自分に、自己嫌悪に陥りそうになりましたが、ぐっとこらえました。
ディアナちゃん「こんなことしている場合じゃない・・・えーと・・・『デミルーン』!!」
剣の女王をブーメランのようにライフトラップに投げつけました。
しかし、直刃の剣が曲刀のように上手く投げられるわけも無く、そのままナイトハルトくんの額に刺さりました。
スコ!
ナイトハルトくん「ヤルナ・・・・・・ウゥ・・・」

ディアナちゃん「いやああああああああああああああ!!ナイトハルトさぁぁぁぁぁぁん!!」
ナイトハルトくん「いたぁ・・・む!?」
その叫び声で目を覚ましたナイトハルトくんは目の前のライフトラップを叩き潰しました。
そして穴から這いで出てきました。
ナイトハルトくん「すまない、ディアナ。君には助けられたな」
そう言ってさわやかに微笑みました。
ディアナちゃん「いや、その、なんというか、すみません。いろいろと」
恥ずかしくてナイトハルトくんの顔を直視できませんでした。
ナイトハルトくん「気にすることはない。君に助けられたのは事実だ。ではイクゾー」
ディアナちゃん「は、はい!・・ってナイトハルトさん、剣刺さったままですよ!!」

後を追いつつ、帰ったら術を覚えようとディアナちゃんは強く決心しました。



――アルベルトくんの夢の中

アルベルトくん「ここは・・・・?」
そこは暗い空間の中に幾つもの扉が浮かんでいる奇妙な場所でした。

???「おやおや、こんな所にやってくるとは。」
アルベルトくん「しゃべるカブ!?モンスターか!」
赤カブ「違う違う、私はちょっと脳の発達した、ただのカブだよ」
アルベルトくん「カブに脳など無い!」
赤カブ「じゃあ私を倒すかね?君の質問に答える者はいなくなるが」
剣にやった手を戻すとアルベルトくんは頭を下げました。
アルベルトくん「すみません。気が立っているようです。
        よく思い出せないのですが、酷く嫌な記憶が頭に残っていて・・・」
赤カブ「ふむ。君の言葉でようやく確信が持てたよ。おそらくここは夢魔の創った空間」なのだろう」
アルベルトくん「夢魔?」
赤カブ「私の心にずっと違和感があった。私は確かに私だが、
    私は本来ここにいるはずは無いというものだ。ではここにいる私はなんなのか?」
アルベルトくん「はぁ・・?(哲学的なカブだな)」
赤カブ「つまり私は君に取り憑いた夢魔により創られた複製品だったのだよ。
    ここの元となった場所を複製した時に、私も一緒に複製されたのだろう。
    違和感があったのは植物の勘だと思ってくれて結構だ。自分の本体が遠くにあるように感じてね」

わけのわからない話に、アルベルトくんは頭上に?マークを並べました。

アルベルトくん「あの、ようするに私は夢魔に取り憑かれているわけですか?」
赤カブ「うむ」
アルベルトくん「どうすれば追い払えるのでしょう?」
赤カブ「夢魔を倒せばいいと思うが」
アルベルトくん「どうやって?」
赤カブ「直接殴るとか」
アルベルトくん「推測ですか」
赤カブ「少しは自分で考えたらどうだね?私だって知らない物は知らない」

アルベルトくん「知っていることは何があるのです?」
赤カブ「ここからの脱出法だ。ここの扉のどれかが出口だぞ。」
アルベルトくん「なんだ、それを早く言ってくださいよ」
赤カブ「ここから出ても夢魔を追い払えるわけではないと思うぞ。
    次の悪夢に行くだけだろう。ここで得た知識も失ってな」
アルベルトくんは腕組みをして考え込みました。

アルベルトくん「とりあえず扉を開けてみます。ひょっとしたら何かわかるかもしれないですし」
赤カブ「それもいいだろう。ただし注意することだ。
ハズレの扉からは開けた者がもっとも恐れるものが出てくるぞ」
アルベルトくんの脳裏にアレが浮かびましたが頭を振って打ち消しました。

アルベルトくん(私が怖いと思っているものはモンスターだ!あと姉さんとか。
        あ、姉さんいいな。出てきて欲しい)
都合のよいことを考えながら扉に手をかけました。
アルベルトくん「さぁ、来い!」
扉を開け放った先に現れたのは――

ツフ「やるよ」

アルベルトくん「くっそおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」
はらはらと落涙しつつアルベルトくんは脱兎の如く走り出しました。

赤カブ「自分の心には嘘をつけないものだからな」



――魔龍公の巣

前の失敗を反省材料にし、弓でライフトラップを片付けつつ二人は巣の中を進んでいました。

その二人の前に三つの影が立ちはだかりました。
???「貴様らの快進撃もここまでだ!」
???「ここは山頂に行かせるわけにはいかん!」
???「あんたたちはここで死ぬでちゅ!」

ディアナちゃん「あなたたちは!?」

ドッグ「われらは魔龍公様の僕よ!ドッグ!」
バード「主の眠りを妨げる者は許さん!バード!」
???「ばらばらにしてyナイトハルトくん「イクゾー」
口上をあげる三匹をチャージで華麗に跳ね飛ばしました。
ナイトハルトくん「急ぐぞ、ディアナ」
ディアナちゃん「はい。・・・山頂には多分行きませんので」
振り返り、告げると二人は再び走り出しました。

???「せめて名乗りたかったでちゅ・・・ぐふ」



――魔龍公の巣、七合目

山の洞窟を抜けた先には、白い霧が覆っていました。

しかし、飛竜草と思しき草が大量に群生していたため、すぐに見つけることが出来ました。
ナイトハルトくん「どのくらい必要かわからん。多目に採って帰ろう」
ディアナちゃん「はい!・・・痛っ!」
ナイトハルトくん「ディアナ!?」
飛竜草の毒刺により、ディアナちゃんの指は大きく腫れ上がりました。
ナイトハルトくんはすぐに患部から毒を吸い出し始めました。
ディアナちゃん「・・・ナイトハルトさん・・・解毒剤ありますよ?」
・・・・・ナイトハルトくんは無言で口を離しました。

ナイトハルトくん「・・・・・・・・・・・ディアナ、君は・・・・・・いや、ワスレテクレ
         さあ、帰ろう・・・・・・・」
心なしか肩を落としてナイトハルトくんが歩き出しました。

ディアナちゃんは一瞬ポカンとしていましたが、
ナイトハルトくんの行動の意図を察すると、顔を真っ赤にして、涙目で謝りました。
ディアナちゃん「ご、ごめんなさい!ムード読めなくてごめんなさい!」
ナイトハルトくん「いや、謝らなくていいって。こちらこそすまなかった。
         今度はもう少しわかりやすいアプローチにする」
ディアナちゃん「気が利かなくてごめんなさい!」
ナイトハルトくん「私の思慮がたらなかったのだ。すまない」
ディアナちゃん「私ががさつだから・・・ごめんなさい!」
ナイトハルトくん「いや、私が・・・」
ディアナちゃん「いえ、私が・・・」

二人して謝りながら下山していきました。



――アルベルトくんの夢の中

危機的状況です。
すでに背後には二十を越えるツノが迫っています。
アルベルトくん「なんでこんなにいるんだぁーーーーーーーー!!」
赤カブ「まぁ、夢だし」
アルベルトくん「ゆめ?そ、そうか夢なんだ!」
???(そうこれは夢。危ないことなんてありません。さぁ身を委ねなさい)
とても優しそうな声がアルベルトの脳裏に響きました。
その声に思わずアルベルトくんの足が止まりました。

アルベルトくん「委ねる・・・?」
そのほうが楽かもしれない、どうせこれは夢だ。
そんな考えが浮かび、振り向きました。

アルベルトくん「いやだあああああああああああああああああ!!!」
本能が拒否しました。
ツフ「チッ!!待ちな!」
途端にしゃがれた声にもどり、ツフが追いかけてきます。
赤カブ「ふむ。搦め手まで使ってくるか。多分あいつが夢魔自身だな。
    喜べ。あいつを倒せばここから出られるぞ」
アルベルトくん「あいつってどのツフですか!?」
赤カブ「ほれ、あのツノの反り返りが一番激しい真中のやつ」
そのツノは激しく反り返るあまり後頭部に突き刺さっていました。

アルベルトくん「無理!怖すぎ!赤ん坊が熊に勝つ位無理!」
赤カブ「そんなにか。じゃあ扉を開けるしかないな」

こうしてツフはどんどん増えていきました。



――アルベルトくんの部屋

N先生「・・・これでよし」
処置を終えたN先生は額の汗をぬぐいました。

N先生「量を抑えた分、効果が出るまでしばらくかかる。
   こいつが自分でおきるまでそっとして置くようにな。では私は帰る」
ルドルフ「ありがとうございました。マリア、ディアナ、ナイトハルトくん。
     わしらは別室で待とう。君、ここを頼む」
メイド「はい」



――アルベルトくんの夢の中

本格的にどうにもならなくなりました。
今や百を越えるツノがアルベルトくんたちを取り囲んでいます。

赤カブ「覚悟を決めた方がいいな」
アルベルトくん「うう、嫌ですが仕方ない!夢魔!勝負だ!」
ツフ「いいねぇ!じゃあ魅力で勝負!負けた方が服を脱ぐ!やるよ」
アルベルトくん「いやちょっとまって・・」
ツフ「やられたねぇ!あんたの魅力にゃかなわないねぇ!脱ぐよ」
アルベルトくん「脱ぐなあああああああああああ!!」

その時、暗い空間に光が降り注ぎました。
光を浴びたツフ(偽者)が消えていきます。
ツフ(夢魔)もツフの姿を保てず、本来の姿に戻ってしまいました。
夢魔「おおお、ツノ ツノはどこだ」
赤カブ「チャンスだな」
アルベルトくん「ええ!」
腰の剣を構え夢魔に突撃しました。
斬撃を放つも、決定的に力が足らないため致命傷を与えられません。
そのとき更に強力な光が夢魔に降り注ぎ、夢魔の身体は崩壊を始めました。

夢魔「おおお、ツノ ツノはどこだ」

アルベルトくん「ツノは もうないんだ!」
決め台詞だけは格好よく決めます。
そして夢魔は完全に崩壊しました。

アルベルトくん「戦いとはむごいものですね・・・・」
赤カブ「君は戦ってすらいないだろうに。・・・この世界も崩壊が始まった。
    まもなく君も目がさめるだろう。お別れだな」
赤カブの身体も徐々に崩れ始めています。
アルベルトくん「赤カブさん!!」
赤カブ「なぁに。気にすることは無い。私本体が死ぬわけではないからな。
    だが、最後に一つ言わせてくれ。君は辛い事から目を背けすぎだ。
    それでは本当に守らなければならないものさえ守れないぞ。
    試練を乗り越えてこそ本物の男になれるのだ。・・・では、さらばだ」
アルベルトくん「赤カブさん・・・忘れません!!」

アルベルトくんの視界が白く染まりました。



――広間

ディアナちゃん「アルベルトが目を覚ました!」
ルドルフ「なに!本当か!?」
ナイトハルトくん「なぜわかるのだ?」
マリア「この子は昔から勘がよくて・・・気は利きませんが」
ディアナちゃん「や、やめてくださいお母様」
ルドルフ「とにかく行ってみよう」



――アルベルトくんの部屋

アルベルトくん「ん・・夢・・・か・・・そうか戻ってきたのか・・・
        強く・・・強くならないと・・・・・・」
夢の中の記憶が希薄になっていく・・・多くの扉・・・赤カブ・・・ツフ・・・ツフは消えない!
ツフ「目を覚ましたかい!メイドになって看病した甲斐があったよ!」

ベッドにツフが横たわっていました・・・・・・・・・全裸で。
アルベルトくん「!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
その時扉が開け放たれました。

デッデッデデデデッ!

ナイトハルトくん「アルベルト・・・アルベルトカー!」

そして目にした光景に誰もが言葉を失いました。

いち早く正気に戻ったナイトハルトくんは皆に告げました。
ナイトハルトくん「皆、さがれ。アルベルトだけにしてやってくれ」
ディアナちゃん、ルドルフ、マリアはこくこくうなずくと部屋から出ていきました。

アルベルトくん「で、殿下?」
ナイトハルトくんは優しい笑みを浮かべ、親指を上に向けた拳を突き出しました。
そして自らも部屋を出て、扉を閉めました。

アルベルトくん「で、殿下ぁ!?うわああああああああああああああああああああああああ!!」


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