第5話「メルビル誘拐事件」

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貧乏なミルザくんはどん底でした。
アルドラを自分の為に放寮に追いやってしまったという事実が彼を苛み続けます・・・。
しかしミルザくん、不幸に浸ってられるほど貧乏に生活の余裕はないものなのです。
ミルザくん「・・・なにか割のいいバイト探さなきゃ・・・ハア・・・」
しかしミルザくんには必勝健康法があるのです!
『サルーインちゃんとの新婚SMプレイ生活を想像する』
ミルザくん「フォーーーーーーーーーーーーーーゥ!!!」
エクスタシー!これでミルザくんは元気363倍です。さあ新しいバイトを探さなければ!

オイゲンくん「おーいミルザー聞いたか?」
ミルザくん「フォゥッ!?・・あ、いや、オイゲンか、聞いたって?何のことだい」
オイゲンくん「最近メルビル寮の方で不信な事件が多発してるらしいんだよ。
    でさ、騎士団寮の方にまでチラシが回ってきたってわけ。(ペラッ)
    メルビル寮は金持ってるからな、報酬は・・・」
オイゲンくんはニヤリと目を光らせました。ミルザくんも同様、目をキラキラと輝かし
オイゲンくんを見つめます。二人の目と目はぴったり合いました。
ミルザくん「・・・行くか?」
オイゲンくん「聞くまでもなかろうよ!」
ミルザくん「よーーーーーーーっし!我に続け!」
ミルザくんとオイゲンくんは早速出かけてゆきました。ミルザくんはバイト代のことも
もちろん考えていましたが、もう一つのことも考えていました。
ミルザくん(メルビル寮か・・・行ったことがないんだよな、折角だしそこで一つ
    『糸石』の探索もしていこうかな・・・待っててねサルーインちゃん・・・v)



サルーインちゃん「メルビル寮で不可解な事件が多発してるですって?」
ワイルちゃん「はい、そうなんです」

カチャリとコーヒーカップを置く音が響きます。サルーインちゃんたちセレブ三姉妹の午後は
優雅にアフタヌーンティーを飲むのが日課です。オマケでミニオンちゃんたち付き。
飲み終わったらサルーインちゃんがカップを叩きつけて壊してしまうのも日課なのですが。
毎日が新品なんてさすが超セレブですね。
デスちゃん「メルビル寮周辺はお前の預かるところのはずよワイルちゃん。不可解とは
    情けない言い訳ね、管理が甘いのよ」
シェラハちゃん「管理と聞くと悲しい話を思い出すわ・・・あるマンションの管理人が」
ワイルちゃん「も、申し訳ございませんデスちゃん・・・」
サルーインちゃん「どうせ私を支持する男子生徒がやりすぎてるのだろう?アッハハ」
ストライフちゃん「それがサルーインちゃん、メルビル寮では今あなたの支持率が
   急降下してるんだぜ」
サルーインちゃん「何ですって!!!!」
ガチャーンとサルーインちゃんはテーブルを叩き壊してしまいました。
デスちゃんはまたかよという顔をしており、シェラハちゃんは「テーブルと聞くと」云々と言っていました。
サルーインちゃん「ワイル!!お前どういうことなの!!エロールちゃん側の工作じゃないでしょうね!!」
ワイルちゃん「そ、それがわからないのですエロールちゃんの工作の痕跡を見つけ出そうとしても
   まるで出てこないし・・・いえそれはエロールちゃんのことですから当然ですが
   それよりおかしいのが妙な風聞と・・・」
へイトちゃん「なぁんでも、女生徒の行方不明事件が多発しているとかぁ〜ん☆☆」
デスちゃん「・・・男子生徒が減ることでサルーインちゃんの支持率が下がるのはわかるが、
   女生徒が大量に行方不明になっていてサルーインちゃんの支持率が下がる?」
シェラハちゃん「行方不明と聞くと悲しいことを思い出すわ・・・ある青年が超絶絶世黒髪美女に
   恋をした話。彼は彼女のために何でもすると言ったのだけれど、彼女のお願いはスカーブ山の
   クライミングレベル5の地点にあるという至宝を取ってきて欲しいことで、
   彼女のお願いのため青年は老後と今後の人生のためのジュエル全てをはたいて
   クライミングレベル5の資格を取ったのに、そこにあった宝とはただのロバの骨で、彼女には
   そんなもん要らねーよバーカと突っぱねられ、彼の手にはただロバの骨だけが残って、
   青年はロバの骨一つを胸に抱いて笑いながらいずこかへ去っていって行方をくらまし、
   今もずっとこれからも行方不明者リストの筆頭に載っているの」

サルーインちゃん「うるせえええええぇぇぇもういい!!私が自らメルビル寮に行ってやる!!!」

ワイルちゃん「さ、サルーインちゃん!!」
ストライフちゃん「危険だぞ、今メルビル寮にはあなたに反感抱いてる奴がいっぱいいるんだ!」
サルーインちゃん「ふん!血の巡りの悪い子ね、変装していけばいいだけの話じゃないの!」
ヘイトちゃん「ヘェイトの出番ねえエェエ!!華麗なる変装術を御教授いたしまするん」
サルーインちゃん「あんたの変装って声変えスプレーだけじゃないの!!」
デスちゃん「私の純白ブレザーだったら妹のためだ、ただで貸してやろう」
サルーインちゃん「余計目立つじゃないのこのバカ姉貴!!」
シェラハちゃん「私が素敵なパーマをかけてあげる・・・」
サルーインちゃん「大 却 下 !!!
   もういいわよ!!ちょっと金髪のウィッグでも被って日が暮れる頃に行けばばれないでしょ!」
ワイルちゃん「わ、私もお供させてくださいサルーインちゃん〜!ここはこの一の僕、
   ワイルの責任でもございます、謎を究明するためなにとぞお役に!
   (この人危なっかしいからお守りしなきゃなー)」
サルーインちゃん「ふん!名誉回復したかったら勝手についてくるが良い!では、私の謎追究の舞台へ!」



ミルザくん「すみませーん、ちょっと聞きたいんですがー」
オイゲンくん「すみませんちょっと・・・いえ少しお伺いしたこととが」
ここはメルビル寮。ミルザくんとオイゲンくんは地道な捜査の大基本・聞き込みから入っていました。

女生徒A「最悪よねサルーインちゃんってー!ちょっと男に人気あると思っちゃってさ!」
ミルザくん「(・・・うう、仕方がないとは言え胸が痛む・・・)い、いえ、
   そういうことじゃなくて何か最近の変な事件について・・・」
女生徒B「ああ!あの連続行方不明事件ねー!女生徒ばっかり狙われてるのよ、怖いわー
   しかも狙われるのは美人ばっかりだって!!いやー私チョーヤバ怖い〜!」
ミルザくん「・・・・・・・・・ははは・・・(成る程・・・美人ばっかり?・・・変質者かなあ)」

オイゲンくん「おい、ミルザそろそ日が暮れてきたぜ、今日は休憩にしてどっかに泊めてもらおうぜ」
ミルザくん「ああ・・・うん、そうだね」
ミルザくんが天を仰ぐと、もう空は紫色に滲み、宵の明星が輝いていました。



空き部屋の親父「ああああお前らか!!娘を攫っていったのは!!」
ミルザ&オイゲン「うげっ」
他寮生が事情ある場合に泊まっていく空き部屋に入ると、急にそこの管理人の親父が二人に飛び掛ってきました。
オイゲンくん「な、な、なんのことだ!離してくれ!」
親父「ああ、済まない取り乱して・・・俺はここに娘と二人で住んでるんだ、
   昨日の夜急に娘が居なくなって・・・!」
ミルザくん「例の行方不明事件か!?」
親父「ああっ!言わないでくれ、あんな娘でも俺には大事な・・・」
オイゲンくん「落ち着いてください、なんとか僕達が救い出しますから」
親父「本当か!?」
ミルザくん「もちろんです、どうかお気を静めて・・・」
親父「ああ、ありがたい、頼むよ、頼むよ!!」

二人(・・・やれやれ・・・また良く分からないいまま深入りする羽目になっちゃったなあ・・・)



二人は星も満開に輝きだす頃、空き部屋で語り合っていました。
ミルザくん「有力な情報はあんまりなかったよなあ・・・」
オイゲンくん「疲れたぜ!むしろばかばかしい話ばかりだよ、全く女生徒ってのは変な話が好きだなー」
ミルザくん「変な話って?」
ミルザくんは何となく暗くなった寮の風景をガラス越しに見ながら、オイゲンくんにたずねました。
オイゲンくん「男子生徒がメルビル寮の地下水道で・・・おっと、あるのは知ってるよな、
   そこでサルーインちゃんの公共には見せられないようなファンクラブを結成してるとか、
   サルーインちゃんは若い美女の生き血を啜ってるからあんな美人なんだとか全く馬鹿馬鹿しい・・・」
ミルザくん「酷い侮辱だ!!!サルーインちゃんは優しい子で本当は最強のSなだけなんだ!!」
オイゲンくん「お、おいおいちょっと待ってくれ、そう熱くなるなよ、星でも見て落ち着こうぜ・・・ん?」
二人は窓の外を見ました。そして二人とも怪訝な顔をしたのです。
ミルザくん「・・・あ・・・あれは?」



サルーインちゃん「着くのが遅くなってしまったわね、黄昏時どころかもう星がいっぱいよ」
ワイルちゃん「そうですねえ・・・でもこれだけ暗ければ変装がばれる心配も少なくなりますし」
サルーインちゃん「ばかめ、殆どの寮生がもう部屋に戻ってることが問題なのよ。ギリギリ夕方来て
   聞き込みしようと思ってたのにこれじゃあ調査もなにもあったものではないでしょうが。
   折角気合入れて変装してきたのになー」
ワイルちゃん「ははは・・・ばかでぇす・・・(夕方だろうと昼だろうとどっちにしろ
   ばれるんですよサルーインちゃん・・・そのネクタイのせいで・・・)」
サルーインちゃん「ま、良かろう。まだ門限も破ってたむろしてる奴を探して聞き込みするとしよう。
   そういう奴らの方が得てして詳しいものだからな」
そういうとサルーインちゃんはモデル歩きで周りをうろつき始めました。

サルーインちゃん「さて、とっとと出て来い道具どもが・・・・・・・・(バコッ)うっ」

ワイルちゃん「(嫌だなあ・・・サルーインちゃんあなたは知らないでしょうけどメルビル寮の
   夜って物騒なんですよ・・・優等生の寮ほどそういうものなんです・・・はあ・・・)
   ねえーサルーインちゃん今日はひとまず帰って・・・サルーインちゃん?」
ワイルちゃんは辺りを見回します。何度も見回します。何度も見回してもサルーインちゃんの姿が・・・
ワイルちゃん「サルーインちゃん・・・?サルーインちゃん!サルーインちゃんー!?」



オイゲンくん「あの・・・男子生徒か?なにか担いでないか・・・・・・ありゃ女だぞ!」
ミルザくん「まさか尻尾を掴まえたのかっ!?行こう、オイゲン!!」



???「今日はすごい上玉が手に入ったぞ・・・あの空き部屋の親父の娘はもう用済みだな・・・
   こんな上玉の血をかのお方の為に捧げれば・・・クックックック・・・」

この夜、メルビル寮のとある隅には、この学園のものなら誰でも見たことのあるネクタイが落ちていました・・・


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