アナザーストーリー「それぞれの幸せ」

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マルディアス学園の中でも最も訪れる人の少ない場所、冥部。
その部屋の中で、デスちゃんは苦悩していました。
デスちゃん「あの時は深く考えていなかったからな・・・。どうしたものか・・。
どこかに手ごろな器はないものか・・。・・?これは・・?
・・・やってみるか」



私は今、マルディアス学園の名物の一つ、『ニューロード』をノースポイント方面に北上している。
今日はアサシンギルドクラブの入部希望者の面接日だからだ。
私が誰であるか名乗る必要は無いだろうが、一応挨拶しておこう。
私の名はストライフ。サルーインちゃん様のミニオンだ。

私は今、非常に機嫌が悪い。いや、正確には「今も」だ。
その原因は数日前のヘイトがしでかした事だ。
あの紙一重級の馬鹿は、無駄に高い技術を駆使して私のプライベートを覗き見し、盗撮までやらかした。
しかもそれを不特定多数の男子生徒に売り飛ばしさえした。なんと言う非道か。
私が報復として右手の生爪を剥がしたことを、責められる人はこの世にはいないだろう。
その後、左手のつめと指の間に針金を捻じ込みながら売り払った実枚数を優しく聞いたところ、
あいつは十二枚と答えた。
ありえない。完全に予想の斜め上をいかれた。あいつは五枚ほど、と言ったはずだ。
「五枚ほど」が何故十二枚になる?四次元世界の論理か?
今思い出してもハラワタが煮え繰り返る!
ふと気が付くと、もうそこは面接会場であるパブの目の前だった。無意識のうちにずいぶん歩が進んだようだ。
私は身元を隠すための紅い魔道衣を今一度整え、パブの中へと足を踏み入れた。

安い酒の匂いと、紫煙が漂う空間の片隅に彼らはいた。
一人は鈍色の全身鎧と成人の半身を隠せるほどの大盾を持った屈強な男。
もう一人は青い髪をした寡黙そうな男。こいつは・・魔道士か?
ストライフちゃん「お前らか、我がアサシンギルドクラブに入りたいという酔狂な奴らは」
戦士風の男「ああ、給料が良いし、腕を試す機会も多そうだ」
青髪の男も静かにうなずいた。
ストライフちゃん「いいだろう。では一人ずつこちらの部屋に来い」
戦士風の男「よし!じゃあ俺からだ」
大男が私に続き部屋に入ってきた。

ストライフちゃん「ふむ。ではまず名前、出身、それから特技を言ってみろ」
ベア「俺の名前はベア。帝国出身だ。得意技は『パリィ』だ!」
ストライフちゃん「『パリィ』とは何のことだ?」
ベア「敵の物理的攻撃を剣で弾く技だ。」
ストライフちゃん「ああ、ディフレクトの事か」
ベア「違う!『パリィ』だ!ディフレクトなんかと一緒にするな!」
・・・・なにやら譲れないものがあるらしい。
ストライフちゃん「で、パリィとディフレクトはどう違うんだ?」
ベア「良くぞ聞いてくれた。『パリィ』がディフレクトより優れている点、それは盾を併用できる所だ!」
・・・・何を言ってるんだ、こいつは。
ストライフちゃん「・・・まぁいい。では早速そのパリィとやらを見せてもらおう」
言い放つとともに懐に忍ばせておいた短剣で乱れ突きを放つ。
しかしベアはその刺突の内四発を弾き、残り二発を盾で受け流した。なるほど、言うだけのことはあるな。
ストライフちゃん「?どうした。何故反撃して来ない?」
ベア「何を言うか!『パリィ』しているんだから反撃などできん!」
頭が痛くなった。
だが、人手不足だからな。それなりの技量を持っている以上こんな奴でも採用しないわけにはいかん。
ストライフちゃん「最後に質問はあるか?」
ベア「アサシンギルドクラブは独自の情報網を持ってるんだよな?」
ストライフちゃん「ああ」
ベア「このフォート、俺の宝物なんだがこの娘に会ってみたい。探してもらえないだろうか?」
そう言いながら取り出した写真には、着替え中の女の子が写っていた。
ストライフちゃん「お前かーーーーーー!!!!!」
電光石火の一撃が唸った。
ベア「ぐは・・」
ベアは仰向けに昏倒し、何故かスライドしてゆき、壁に激突して動かなくなった。
私は倒れているベアに「イーヴィルウィスパー」をかけ続けてやった。



―――5分後
ストライフちゃん「お前の名前は?」
ベア「パリィです」
ストライフちゃん「お前の出身は?」
ベア「パリィです」
ストライフちゃん「お前の特技は?」
ベア「パリィです」
ストライフちゃん「お前の宝物は?」
ベア「パリィです」
正答率25%。大丈夫だな。
ストライフちゃん「面接は終わりだ。向こうで待っていろ」
ベア「パリィです」
・・・・20%か。



続いて青髪の男が部屋に入ってくる。
ストライフちゃん「まず名前、出身、それから特技を言ってみろ」
青髪の男「・・・・・・・・・・・」
しかし男は口を開かない。すると男はどこからとも無く取り出した紙にいきなり文字を書き始めた。
ポルナレフ[俺の名前はポルナレフ、ダーム出身だ。特技はモンスターの肉やメカのパーツを摂取し、体を変態させることだ]
どうやら口が利けないらしいな。
ストライフちゃん「中々面白い特技を持っているな。だが、モンスターの肉はともかく『メカノパーツ』とはなんだ?」
ポルナレフ[メカの部品のことだ]
ストライフちゃん「『メカ』とはなんだ?」
ポルナレフ[動く機械のことだ]
ストライフちゃん「『キカイ』とは・・・もういい」
非常に不毛な会話をしている気がする。
ストライフちゃん「実際にやってみろ」
するとポルナレフは肩をすくめて、紙を見せた
ポルナレフ[残念だったな、今日は持ってきていない]
殺してやろうかと思った。
次いでポルナレフが紙を見せた。
ポルナレフ[だがモンスターの肉は持ってきている。たっぷりと見るがいい]
そしてポルナレフは懐から出した肉に喰らいつき、咀嚼し、嚥下した。



あっという間にポルナレフの体が変化し―――コロコロムシになった。
・・・・・。私は無言でそれの掴み上げ、握り締めた。
ストライフちゃん「それでお前はそんな虫ケラになって何ができるというんだ?ああ?」
掌中の虫ケラが必死に糸を吐き抵抗している。面倒になったので放り投げるとポルナレフは元の姿に戻った。
ポルナレフ[肉が悪かった]
決まり悪そうに紙を見せる。なんかもう怒る気もしない。
ストライフちゃん「はいはい、じゃあ最後に質問はあるか?・・・いや私が質問をしよう。
これを知っているか?」
そういってさっきベアから没収したフォートを見せる。
それを見たポルナレフは眉根を寄せ渋い顔押している。
ストライフちゃん「いや・・なんでもない忘れてく・・」
ポルナレフ[それは俺が持ってない奴だ。ゆずってくれ頼む!]
ストライフちゃん「前言撤回だこの変態がーーーー!!」
本日二度目の怒声が響き渡った。



日はすっかり傾き、空を徐々に闇が侵食しつつあった。
ストライフちゃん「いいか。アサシンギルドクラブはタルミッタ寮の西にある。
詳細はその地図に書いてある。・・・迷子になるなよ?」
ベア「パリィです」
ポルナレフ[・・・・ニク・・・]
こいつらのことを考えると頭が痛い。帰ってから再教育する必要があるな。
ストライフちゃん「少し風に当たって帰るか・・・・」
ノースポイント寮の岬へと足を向けた。



そこには小さな先客がいた。誰かに花を供えているようだ。
???「誰?」
ストライフちゃん「すまない、邪魔をしたな少年」
???「僕女の子だよ?」
ストライフちゃん「重ね重ねすまないな、お嬢ちゃん。差し支えなければ名前を教えてくれないか?」
ジェシー「僕はジェシカ。兄ちゃんたちはジェシーって呼ぶよ。お姉ちゃんの名前は?」
ストライフちゃん「私は・・ストライフだ」
ジェシー「いいお名前だね!」
花の咲いたような・・しかしどこか陰のある笑顔でジェシーは微笑んだ。
ストライフちゃん「ありがとう。・・・さっきの花は誰に?」
ジェシーの笑顔が強張った。
ジェシー「大兄ちゃんと母ちゃんに・・・。二人がウコム様を怒らせちゃったから・・・」
・・・ああ、思い出した。あの時の家族の子か。
ジェシー「大兄ちゃんと母ちゃんは間違ってたんだ・・・幸せなれるなんて・・」
ストライフちゃん「それは違うぞ」
ジェシー「え・・?」
ジェシーはいまにも泣きそうな顔を上げた。
ストライフちゃん「確かに方法はまずかったかもしれん。
だがその二人が幸せを掴もうとしたのは家族のため、ジェシーのためだったはずだ」
ジェシー「それは・・」
ストライフちゃん「だから・・ジェシーがその想いを否定しちゃ駄目だ」
ジェシー「・・・うん。お姉ちゃんは優しいね」
ストライフちゃん「私は優しくなんて無い。」
ジェシー「ううん、優しいよ。・・・あのね・・お姉ちゃん・・その・・」
ジェシーはなにやらもじもじしながら言いよどんでいる。
ストライフちゃん「なんだ?いってみろ」
ジェシー「ぎゅーってしても・・いい?」
ストライフちゃん「・・・ああ」
素直に了承する自分に軽い驚きを覚えた。
ジェシーの華奢な体を胸元に迎え入れ、優しく腕をまわす。ジェシーが小さな腕でしがみついてきた。
ジェシー「ぅぅぅぅぇぇぇ・・ぁぁぁぁぁわわああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああ」
私の腕の中でジェシーは慟哭した。

ジェシー「ありがとう、お姉ちゃん。僕きっと幸せになるよ」
元気が戻ったようだ。もう笑顔に陰りは無い。
ストライフちゃん「ああ、達者でな」

???「ジェシーーー。どこだーーー?」
ジェシー「あ、小兄ちゃん」
小兄ちゃん「ここに・・いたのか・・・」
ジェシー「あのね、小兄ちゃん、僕の大丈夫だから!」
小兄ちゃん「・・・そうか。・・うん!なら安心だ。さあ、ルーイ兄貴も待ってるぞ。 帰って晩飯にしよう」
ジェシー「小兄ちゃん」
小兄ちゃん「ん?」
ジェシー「幸せに・・なろうね!」
小兄ちゃん「・・・ああ!」

私は少し子供に甘いな。帰り道にそんなことを考えていた。
ストライフちゃん「幸せか・・・」
我知らず言葉が漏れた。私にとっての幸せとは・・・なんだろう。
考えてみたことも無かったな。
時間はある・・・ゆっくり考えてみるか。
考えているうちに寮についた。



寮について最初に出会ったのは・・・ヘイトの奴だった。・・・最悪だ。
しかも奴は顔に花のような笑顔を貼り付けこっちを見ている。猛烈に嫌な予感がする。
そしてそのまま両手広げてこっちに走ってきやがった。
ヘイトちゃん「お姉ェェェェェちゅわぁぁぁぁぁぁぁぁんんんんん☆☆★##@:**♭♭♪♪」
全体重を右足に乗せて渾身の右を叩き込む『ジョルトカウンター』をヘイトの顔面に打ち込んだ。
冗談抜きでヘイトの体が一回転した、しかし手ごたえが無い、幻体か!
ヘイトちゃん「おねぇぇぇぇちゃぁぁんやさしくなぁぁぁぁいい*@@##♭」
背後から煽るヘイトの声が聞こえる。
ストライフちゃん「どこで見てやがったこの出歯亀野郎!!」
ヘイトちゃん「ちょっと不良な女の娘と真っ直ぐなショージョのはぁとがキュンっとなる
はぁぁぁとうぉぉぉみぃぃぃぐなストーリーをみのがすわけなぁぁぁいじゃなあああいいい@、・#%&」

ジェシー、私も幸せを見つけたぞ。
この公害を根絶することだ。


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