第17話「ツー・ムーン・ラブ!」

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紅色の体、翠眼のゴブリン、セージが、仮面の男・・・ソードスレイブに近寄ります。
セージ「こんな所で油を売っていただなんて・・・そんなヤツはほうっておいて、早く例の場所へ向かってください!」
ソードスレイブ「んだよ、羽がついた帽子、緑色の髪、テメーが言ってた三人のうちの一人だろーがよコイツは。」
セージ「いえいえ!目的は敵を減らすことではなく、あくまでモンスター退治の阻止なんですよ!
     神殿に入れなくなっていいんですか、そんなヤツは無視して、早く、早く!」
ソードスレイブ「・・・コイツをぶっ殺してから。それからじゃダメか?十秒だってかかんねえよ!」
言って、ジャミルくんをギッと睨みつけるソードスレイブ。
セージ「ダメです。十秒だって一秒だって余計な時間はかけられません。(この将魔は殺してからが長いからね・・・十秒以上は確実だ。)」
ソードスレイブ「チッ・・・またいいとこで寸止めかよ!!今日何度目だ?二度目だッ!!二度も!!ありえねェ!!うぜぇうぜぇ」
セージ「そのフラストレーション、思う存分あちらの愚か者達にぶつけてやってください。
     溜めれば溜めるほど解放のカタルシスがなんとやらって言うじゃないですか?解放はあなたを待ってくれていますよ。」
ソードスレイブ「ケッ、俺はあんま溜めるのは好かねぇんだがな。溜まっちまったもんは仕方ねぇが・・・
         えーと、どっちだったっけか?」
セージ「あっちですよ。」
セージがある方向を指差しました。
ジャミルくん(!!・・・あの方向・・・やっぱりこいつ!)
ジャミルくんは確信しました。
ソードスレイブ「んじゃあ、行くとするか。・・・ケケ、待ってろよ。」
ジャミルくんは目を疑いました。
ソードスレイブは突然床に”沈んで”いき、その場から消えたのです。
セージ(やれやれ、まったくバカな犬は飼いならすのに苦労するよ、それにしてもサルーイン、来るのが遅いな、まぁいいけど)
ジャミルくん「なっ・・・」
戸惑うジャミルくんを、その場に残っているゴブリンセージがまん丸い瞳でじいっと見つめ始めました。
その視線にジャミルくんが気づきます。

ジャミルくん「・・・な、なんだよ」
セージ「・・・・・・」
目を細めながら、トコトコとゆっくり近づいてきます。
目の前で止まると、ふふっといやらしく笑った後言いました
セージ「君にはお世話になったネ、礼を言うよ、愚かなこそ泥さん。
     この感謝の気持ち、何か違う物にして君に手渡したいところだけど・・・残念。今はできないんだ・・・
     きっとまた会うよ。その時に今回の件の分のお礼をたっぷりしたげる。
     ・・・んじゃネ、バイバイ♪」
セージはそこまで言い終えると、突如黒い穴に包まれ跡形も無くその場から消えてしまいました。

ジャミルくん「・・・・・・・・・」
ジャミルくんは一連の出来事に呆然としてしまいました。
・・・しばらく経ち、状況が頭の中で整理しかけてきた時、当然の感情、命の危険が去ったその安堵、
喜びの感情がジャミルくんを満たします。
ジャミルくん「何はともあれ・・・オイラ、助かったんだなぁ〜!!」
大きく伸びをして喜びを表現します。
伸びきりプルプルと体を震わせている途中・・・ジャミルくんははっとしました。
ジャミルくん(あ!・・・牙は!?)
焦りは一瞬だけでした。
解かれていない右の握りこぶし。開くとそこにはちゃんとアルの牙が存在していました。
・・・少し血に濡れています。
ジャミルくん「よかった、よかった!流石俺様だねぇ、ちょいと危なかったが結局は守り切れたってわけだ、俺たちの切り札・・・
        ・・・それにしてもあの仮面のヤツはなんだったんだ?
        ヤバかったな、あのゴブリンも一体・・・それにしてもあいつが指差した方向・・・
        あの仮面のヤツが向かったのはミルザとオイゲンのとこだ!やべぇぞ・・・早く着てくれよぉ猫さんよぉ・・・」
再び牙をぎゅうと握り締め、周りを見渡しました。

ガサガサガサガサ!!

ジャミルくん「!!」
静けさの中から、葉擦れの音が近づいてきます。
一つではない、複数・・・
ジャミルくん(・・・来た!?いや、違う可能性も・・・!)
ジャミルくんはその方向へ目を凝らしました。
そこから出てきたのは・・・


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