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1 マルディアス学園の広い敷地内には数多くの旧校舎が存在しています。 現在は使われることもなく廃屋となっている建物の中の一つ、 その人通りもなく静まり返った廊下を、一つの人影が早足で進んでいます。 ロングの黒髪を左右に揺らしつつ進む人影は正面の闇を怯むことなく見据え、 ただ目的地に向かって歩を進めました。 やがて扉の前にたどり着いた人影は木製のドアを押し開きました。 ギ、ギ、ギと不快な音を立てて開いたドアの先には二人の人物がいました。 壇上に一人。生徒用の古びた椅子の上に一人。 ストライフちゃん「こんなところに呼び出して何のつもりだ?・・ヘイト」 質問を投げかけられたヘイトちゃんはピクリとも反応せず、教壇に手をつき俯いています。 ストライフちゃん「おい?」 ワイルちゃん「私もさっき来たばっかりなんですけど、もう五分はああしてます。 あ、椅子どうぞ」 椅子の上の埃をハンカチで払いストライフちゃんに促しました。 ストライフちゃん「ああ、すまんな。・・なんであいつは妙な格好をしてるんだ?」 壇上のヘイトちゃんはリガウ島に古くから伝わる伝統衣装、『着物』を身に付けていました。 なおストライフちゃんは知る由もありませんでしたが、 ヘイトちゃんが着ているのは男性用の羽織と袴でした。 ワイルちゃん「さあ?私にはわかりかねま・・・」 【ああ・・・・・・・・ それにしても力が欲しいっ・・・・・・・・・・!!】 低く、しかし腹の底から響くような声に二人は思わずヘイトちゃんに視線を向けました。 視線の先には顔を上げ不敵に笑うヘイトちゃんの顔がありました。 ヘイトちゃん「むろん・・・と言うか・・・・・・・・言うまでもなく・・・・・・ 私は持っておるっ・・・・! この教室の誰よりも・・・・・・・・持っておるっ・・・・・・・・! 力をっ・・・・・・! 火術で・・・幻術で・・・・・・! 闇術で・・・・・・・・邪術で・・・・!持っておるっ・・・・! ククク・・・・・・どこに鼠・・・・・・敵勢力のスパイが潜んでいるか知れんから 大きな声では言えんが禁呪を含めそれぞれ・・・・・・ 10はくだらない術を習得しておるっ・・・・・・・・・・!」 ストライフちゃん「いや、まあ知ってるけどな。なんかむかつくけど」 ワイルちゃん「単純な力なら確かにヘイトちゃんが一番ですよね」 ヘイトちゃん「最近では・・・・・・・・ 術法ばかりに力を集中させるのもどうかと思い・・・・・・ 体術、細剣術、両手大剣術も身につけた・・・・・・ ほんのスキルレベル4ほどだが・・・・・・・・・・・・ 転ばぬ先のなんとやらだ・・・・・・・・・・! 常にリスクの分散は怠らないっ・・・・・・・・!」 ワイルちゃん「へぇ〜、地道に頑張ってたんですねぇ」 ストライフちゃん「盗撮以外のこともやってたんだな」 二人は拍手をぱらぱらと送りました。 ヘイトちゃんはそれに両手を掲げて答え・・・・ バ ン ッ ! ! ヘイトちゃん「バカがっ・・・・・・!」 突如教壇を叩いてバカ呼ばわり。二人は唖然です。 両の拳を握り締めてヘイトちゃんは力説します。 ヘイトちゃん「足らんわっ・・・まるで・・・・!! 私は・・・・・・・もっともっと・・・・・欲しいんぐはぁ!」 いいかげん腹を立てたストライフちゃんの拳がヘイトちゃんの顔面に突き刺さりました。 ストライフちゃん「さっさと用件をいえ」 陥没した顔面を、鼻を引っ張り元に戻すと、 ヘイトちゃん「そこの娘・・・制裁っ・・・・・!」 ワイルちゃん「え?私が?・・・じゃあ、えい!」 指名されたワイルちゃんはストライフちゃんの頭に、たぁーっと手刀を打ち込みました。 ストライフちゃん「いた!・・・なんで素直に命令に従ってるんだ、お前は!」 ワイルちゃん「す、すみません。強く命令されるとつい・・・」 苛立たし気に舌打ちするとストライフちゃんは再びヘイトちゃんに詰め寄りました。 ストライフちゃん「もう一度聞く。何のようだ!」 ヘイトちゃんは真顔に戻り話し始めました。 ヘイトちゃん「さっき述べた通りじゃよ。もっと力が欲しい。 私だけじゃなく、私達全員の力を底上げする必要があると感じたのじゃ」 ワイルちゃん「なんでまだお爺さん言葉なんでしょうか?」 ストライフちゃん「黙ってろ。あの脳が腐りそうな話し方より余程マシだ」 ワイルちゃんの耳打ちを一蹴すると再び問い掛けました。 ストライフちゃん「何故急にそんなことを?」 ヘイトちゃん「急に?・・・わかっておらんな現実が。 自分で体感したのじゃろう?敵の力を」 鋭い視線とともにストライフちゃんに問い掛けました。 痛い所を突かれストライフちゃんは下唇をかみ締めました。 ストライフちゃん「・・・認めたくはないが一対一、それも正面からでは勝ち目はないな。 三人なら負けることはないだろうが・・・」 ヘイトちゃん「相手が常に一人とは限らんと言うことじゃ」 言葉を繋ぎヘイトちゃんが締めました。 ワイルちゃん「そんなに・・・・」 室内に重苦しい空気が流れました。 ヘイトちゃん「そこで私が考えたのが・・・糸石じゃ。ワイル今の糸石の状況は?」 ワイルちゃん「は、はい!わかっている範囲では水と幻それに闇はミルザさんの下に。 その他については風聞程度の情報しかありません」 急に話を振られ慌てながらも答えました。 ヘイトちゃん「闇がこちら側にあれば状況はもっと違ったじゃろうが・・・」 ちらりとストライフちゃんに視線を送りましたが、流されました。 ヘイトちゃん「敵の最終的な狙いはわからん。じゃが、糸石を狙っておるのは確かじゃ。 もし敵が糸石を手に入れたなら、もはや私達の手には負えんじゃろう。 敵が明確に動き出している以上、私達も糸石を手に入れ、力と安全を確保する必要がある」 ちなみに実際にはすでに敵方はエメラルドを保持しています。 ワイルちゃん「サルーインちゃん様には渡さないんですか?」 ストライフちゃん「まぁ、現場で戦うのは私達だからな。 デスちゃんに間に入ってもらって話をつけてもらおう」 ヘイトちゃん「それとミルザ、彼奴が持っておる糸石が奪われる可能性も考えねばならん」 ストライフちゃん「そうだな。実力はともかく搦め手にはとことん弱そうだからな」 ワイルちゃん「・・・・・・・・・・・・・・そうですね」 全会一致です。 ヘイトちゃん「今後は監視、もしくは護衛をつけておく必要があるのう」 ワイルちゃん「あ、わたしやります!」 ストライフちゃん&ヘイトちゃん「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 二人の視線がワイルちゃんに突き刺さります。 ワイルちゃん「な、なんですか?」 ストライフちゃん「いや。物好きだなと思っただけだ」 ヘイトちゃん「蓼喰う虫も、と言うやつか・・・。じゃあお主に任せるとしよう」 ワイルちゃん(ヘイトちゃんに言われた・・・・・) 少し傷つきました。 ストライフちゃん「それはともかく糸石の確保はどうするんだ?」 ワイルちゃん「ミルザさんに貸してもらうとか?」 ストライフちゃん「プライドがないのかお前は?」 ワイルちゃん「や、やだな。冗談ですよ」 結構本気で考えていたことは秘密です。 ヘイトちゃん「心配には及ばん。私がタイラントの奴から情報を仕入れておいた」 ではタイラントくんのお話をどうぞ↓ タイラントくん「あれはどのくらい前か・・・」 タイラントくん「というわけで『火』のルビーは騎士団寮にある。 ・・・・って待て!さすがにはしょりすg」 ヘイトちゃん「そういうことじゃ。詳しくは外伝『決して届かぬ炎の御許』を読むとよかろう」 ストライフちゃん「そんな話はないだろ」 ワイルちゃん「とにかく騎士団寮にいきましょう」 三人は頷き合うと準備に散りました。 【騎士団寮、敷地内林】 月明かりの届かぬ茂みの中に怪しい集団がいました。 ミニオンズです。 夜間迷彩という事で普段の赤い衣装の代わりに静脈血色のダークレッドの衣装に身を包んでいます。 ストライフちゃん「どう動く?」 ヘイトちゃん「強行偵察でいくわぁ*P>‘*.@i 可能な限り情報を収集でよろしくぅううううう!$#$%&=!」 ストライフちゃん「ふむ。では寮内に侵入後三方に分かれるか」 ワイルちゃん「・・・・あの〜〜〜〜」 ヘイトちゃんの下方から声があがりました。 ワイルちゃん「どうして私はヘイトちゃんを担がなきゃいけないんですか?」 ヘイトちゃん「物陰に潜むときは出来るだけ身を小さくした方がいいのよォォォ大+‘=#$%&g 一人が担げば横幅が減ってコンパクトォォォォォオオオオオオER&#‘)*@」 ワイルちゃん「私の体力も減ってます。それに縦幅は増えてるんですが」 ストライフちゃん「まあ頑張れ。理不尽は慣れているだろう?」 投げやりに酷いことを言います。 ワイルちゃん「慣れてても嫌です!」 思わず声を荒げてしまい慌てて口をふさぎましたが手遅れでした。 ミルザくん「誰かいるのか?」 夜間見回りをしていたミルザくん達にあっさり見つかってしまいました。 ストライフちゃんはさっさと身を隠しましたが、 肩車をしていたワイルちゃんたちは咄嗟には動けませんでした。 ワイルちゃん(ミ、ミルザさん!えーっとえーっと何かごまかす方法は・・・・) ミルザくん「・・・・誰?」 ヘイトちゃん「いえ、私は通りすがりの蒼き流星です。地球の危機を知らせに来ました」 ミルザくん「はぁ、それは大変ですね」 ヘイトちゃん「急ぎますのでこれで。レイ!V−MAX発動!」 ワイルちゃん「は?」 話についていけないワイルちゃんはきょとんとしています。 ヘイトちゃん(逃げるのよォォォォ:p^¥−、@!レディって言って走りなさぁぁいいm) 小声で耳打ちしワイルちゃんの頭をペシペシ叩きました。 ワイルちゃん「レ、レディ!」 脱兎の如く走り出しました。 ミルザくんは呆然とその後ろ姿を見送りました。 ノーデン「知り合いか?変な奴だな」 同じ組のノーデンに話し掛けられて、ミルザくんはようやく正気を取り戻しました。 ミルザくん「どこかであったような気がしたけど・・・勘違いかな、赤い彗星なんて知らないし」 ノーデン「別もんになってんぞ・・ってお前それじゃただの侵入者じゃねぇか!追わねぇと!」 駆け出そうとするノーデンの肩をミルザくんが掴みました。 ノーデン「なんだよ!?」 ミルザくん「交代の時間だ。オイゲン達に引き継いで任せよう」 ノーデン「・・もうそんな時間か。じゃ、帰って寝るか」 自分の仕事領域以外は基本的にやる気がないようです。 ミルザくん達から辛くも逃れたワイルちゃんたちは・・・別の見回り組に追われていました。 今は5〜6人の集団に追われて校庭を爆走しています。 ヘイトちゃん「なんで目立つような所に逃げ込むのよぉぉぉおおR★D=‘?#$f!」 ワイルちゃん「そ・・そんな!・・こと・・・言われても!!」 人一人担いで全力疾走しているので当然息も絶え絶えです。 ワイルちゃん「も・・・だめ・・・・・」 校庭に倒れ伏し、酸素を求め喘いでいるワイルちゃんの周りに生徒達が集まってきました。 生徒1「てこずらせやがって!このクソ侵入者が!」 生徒2「どれ、面を拝んでやるか」 そういうとあっという間にワイルちゃんの覆面を剥がしてしまいました。 ワイルちゃん「あ・・・・・・!!」 生徒3「へぇ〜ガキっぽい面だが結構上玉じゃねぇか!」 生徒4「体つきもガキっぽいが結構楽しめそうだぜ」 下卑た笑みを浮かべ男達はワイルちゃんの体を嘗め回すように視線を這わせました。 ワイルちゃん「やっ・・!!」 思わず身を固め、術を展開しようとしましたが疲労のため上手く集中できません。 生徒5「あ〜〜〜〜〜〜〜!!こいつ今術使おうとしたぜ」 生徒6「そんな悪い娘にはお仕置きしねぇとな。とりあえず邪魔な服剥がせ!」 生徒達の魔の手がワイルちゃんに伸びます。 ワイルちゃん「ちがっ・・・やめて・・・!」 必死に身を引きずり逃げようとしましたが、男達にあっという間に組み敷かれてしまいました。 ワイルちゃん「なんでも・・・話すから・・・!!」 必死に懇願しますが聞く耳持ちません。 生徒1「あーそういうの後でいいから」 生徒2「侵入なんてする以上覚悟してたんだろ?諦めな」 ワイルちゃんの目が大きく見開かれました。 ヘイトちゃん「こんな風になりたくなければ走りなさぁぁああいいぃぃT☆*@#&!」 ワイルちゃんは死ぬ気で足を動かし加速しました。 ワイルちゃん(私・・・いま風になってる・・・・・) ランナーズハイに浸り始めた頃、前方にも見回り組みが現れました。 ハイな気分は一瞬で吹き飛びワイルちゃんは恐慌状態に陥りました。 ワイルちゃん「もう駄目・・・犯される・・・!!!」 ヘイトちゃん「落ち着きなさい」 ヘイトちゃん(目立ちたくはないけど仕方ないわねぇぇぇエエン*‘^−○∴) 傍目に見ても十分目立っていたような気がしますが、ヘイトちゃんは気にしません。 見回り組みがじりじりと包囲の輪を狭めてきます。 生徒「よーし確保!その後尋問だ!」 ワイルちゃん「拷問はいやぁぁぁぁああああああああああああ!!」 ヘイトちゃん「うるさい!」 頭をはたいて黙らせると、ヘイトちゃんは高い声で叫びました。 ヘイトちゃん「やめてください!私達はあなた方との戦闘を望みません!」 確保に移ろうとしていた生徒達は思わず足を止めました。 ヘイトちゃん「どうか私達を行かせて下さい。そして皆さんももう一度、 私達が本当に戦わなければならぬのは何なのか、考えてみて下さい」 彼らが戦うべきは侵入者で合っているのですが思わず考え込んでしまいました。 ヘイトちゃん「クラック」 生徒達「うわあああああああああああああああああああああああ」 局所的な地震に呑み込まれ、見回り組みは沈黙しました。 ストライフちゃん「えげつないな」 校庭脇の茂みからストライフちゃんが姿を現しました。 ヘイトちゃん「自由と正義の名のもとなら何をしてもおっけぇぇえええ<‘〆∀◎l!!」 ストライフちゃん「貴様はお米の国の人か」 生徒「い、いやどっちかっていうとたn・・・」 ヘイトちゃん「まだ生きてたのか!死ねぇ!!」 生徒は体を真っ二つにされる勢いでヘイトちゃんに締め落とされました。 ストライフちゃん「とにかく今の騒ぎで人が集まってくる。この場を離れるぞ!」 ヘイトちゃん「おっけぇぇぇえええええω□◆‘=?*Ln」 ワイルちゃん「私・・・・無事・・・・?」 ストライフちゃん「何を言ってるしっかりしろ!」 ぼーッとしているワイルちゃんを二人がかりで物陰に引っ張り込みました。 それからいくらもしないうちに現場には多くの生徒が集まってきました。 ストライフちゃん「どうしたものか・・・一度撤退するか?」 ヘイトちゃん「まぁぁああだなんにも情報手に入ってないのにいい◇‘−^^@j!!?」 ワイルちゃん「でも警備も厳しくなるでしょうし・・・」 ラミアちゃん「まいっちゃうよねえ?」 ・・・・・・・・・・・場の空気が固まりました。 ワイルちゃん「あなた誰ですか?」 ラミアちゃん「あたし?あんた達と同じ侵入者、いわゆるエージェントってやつ?イカスっしょ?」 ワイル「はぁ」 困惑気味に応じます。 ラミアちゃん「いやさ、あたしはとある情報筋からここに眠る宝の事を知って調査に来たのよ。 あ、やべ。あんた達ライバルになるのか。ま、いいや。なんか知ってたら教えて」 ストライフちゃん「貴様・・・・・」 ラミアちゃん「へ?」 ストライフちゃんは覆面を脱ぎ素顔を晒しました。 ストライフちゃん「久しぶりだな。おい、お前ら。私達の敵が現れたぞ」 ラミアちゃん「・・・・・・・・・・・・じゃが芋の様子を見にいかにゃならね。したらな」 ミニオンズ「まぁ待て」 さすがに多勢に無勢、縛り上げられたラミアが地面に転がされました。 ラミアちゃん「くっ!殺せ!」 ヘイトちゃん「OK」 巨大な断頭斧『エグゼキューショナー』を取り出しました。 ラミアちゃん「ウソ。違うの。雰囲気に呑まれただけなの」 ワイルちゃん「では質問に答えてもらいます」 ストライフちゃん「結局わかったのは『マスター』と呼ばれる敵の頭だけか」 ワイルちゃん「収穫とはいえませんね」 地面に転がされたラミアちゃんはヘイトちゃん手製の尋問グッズにより悶えていました。 苛烈な責めに耐え抜きついにエメラルドと将魔のことには沈黙を貫き通しました。 ラミアちゃん(デモコマ様・・あたし耐え抜きました・・・・) ヘイトちゃん「自室に帰れば廃人量産系自白剤あるわよぉぉおおPi☆*@1e!」 ラミアちゃん(やっぱ無理かも・・・・・) ストライフちゃん「いや、こいつは小物だ。そこまでする必要はない。 ヘイト、『時間凍結』をこいつにかけろ」 ヘイトちゃん「はいよぉ&#‘:;!!」 ストライフちゃん「ワイル、控えの衣装をくれ」 ワイルちゃん「はい」 テキパキと謎の指示を出していくストライフちゃんにラミアちゃんは猛烈に嫌な予感を覚えました。 ヘイトちゃん「どーせならこれの方がいいんじゃないぃぃぃぃいいい‘:;@=#&!?」 ストライフちゃん「以前私に着せようとした紐だか布だかわからんやつか・・じゃそれで」 ワイルちゃん「ちょっとかわいそうじゃ・・・」 ストライフちゃん「こいつはサルーインちゃん様の敵だぞ」 ワイルちゃん「そうですね」 状況がまったく読めず、ラミアちゃんは混乱の極みでした。 ヘイトちゃん「はーい、着替えましょうねぇええええPM<j5wv∴∴!」 言われるがままに着替えた服は服ともいえない布切れ、しかも極端に面積が小さい物でした。 ラミアちゃん「やっ!何これ!?」 思わずしゃがみこみました。 ストライフちゃん「術は使えんぞ。お前の時間は止まっている」 確かに術を使おうにもまったく力が足りませんでした。 ラミアちゃん「ど、どうするつもり?」 ヘイトちゃん「お腹が空いてる時に食べ物があったら食べるわよねぇえ〜P*〆ゞ●h?」 ワイルちゃん「急いでいるときに馬車が来たら乗りますよね?」 ストライフちゃん「では、警備の固い建物に侵入するときオトリが手に入ったら?」 ラミアちゃん「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・また?」 ストライフちゃん「正解だ。じゃ頑張ってくれ」 三人は力を合わせてオトリを生徒達の密集地帯の方に放り投げました。 ラミアちゃん「うきゃああああああああああ!!ひとでなしいいいいいぃぃぃぃ・・・・」 向こうの方から妙な喧騒が聞こえてきます。作戦は成功のようです。 ストライフちゃん「今のうちに裏手に回るぞ」 三人は頷き合うと再び駆け出しました。 ひゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん、ドガ!! 派手に尻もちをつき、ラミアちゃんは着地しました。 ラミアちゃん「あいたたたた・・・ん?」 周囲の15人程の生徒達が自分を凝視していました。 そして自分が現在どんな服装かも思い出しました。 生徒1「・・・・・・・ち・・・・・・・・」 ラミアちゃん「ち?」 生徒1「痴女だあああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 ラミアちゃん「ちがああああああああああああああああああああああああああああう!!」 その叫びを聞いた思春期の男子生徒がわらわら集まってきました。 シュチュエーションレッドです。 そこから少し離れた場所、 ブラッツ「おい、聞いたか!痴女だってよ!は、早く見に行こうぜ!」 オイゲンくん「なにテンパってんだよ。こんな夜中にそんなもんいるわけないだろ」 ブラッツ「夜中だからいるんだよ!!もし見逃したら俺はお前を一生恨むぞ!!」 血走った目は確かに呪いが込められていてもおかしくないパワーを発していました。 オイゲンくん「わかったわかった」 こんなくだらない事で呪われるのも馬鹿馬鹿しいと思ったオイゲンくんは素直に従いました。 オイゲンくん(やれやれ、侵入者をほっといていいのかねぇ) ラミアちゃんの脳内ではアラームが鳴りっぱなしでした。 この状況はまずい。まずすぎる。 周囲にはなんだかもういっぱいいっぱいな男子生徒多数。 自分は術が使えない。退路は無し。 この現実が導き出す答えは・・・・・・・・・。 ラミアちゃん(う、ウソでしょおおおおおおおおおおおおおおお!?) ラミアちゃん「き、騎士の卵たる皆さんは女性に乱暴なんてしませんよね?ねぇ!!?」 生徒1「今の僕達は騎士なんかじゃない・・・・ただのケダモノだ!!」 生徒2「騎士の名を汚そうとも譲れないものがある!!」 生徒3「今がそのときなんだ!!」 生徒4「こんな俺たちを嗤うがいいさ!!」 格好つけて下衆なことを述べました。 ラミアちゃん「あんた達最低だ!!」 一方、人垣の外。 ブラッツ「お、女だ!女の声がする!!」 オイゲンくん「頼むから落ち着け」 ブラッツ「クソ!!邪魔な奴らだ!!こうなったら屍山血河を開いてでも!!」 オイゲンくんは物騒なことを言い出したブラッツの頭に巨大な打槍を打ち下ろしました。 ブラッツ「がっ!!・・・見える。俺にも裸が見えるぞ!!・・・がく」 気絶間際ひと時の幸福を得たようです。 オイゲンくん「なによりだ。・・・・しかし一体全体どういうことなんだ?」 侵入者といい、痴女騒動といい、一晩で色々なことが起き過ぎだ。 何かが動いているのか? 生徒5「最後に聞かせてくれ・・・君の名前は?」 ラミア「さ、最後?・・・・ラミア」 生徒6「うん、いい名前だ。では・・・・」 生徒達『 『 『 ラ〜ミアちゃ〜〜ん!! 』 』 』 生徒達は跳躍しつつパンツ一丁になる荒業『ル●ンダイブ』で飛び掛りました。前方位から。 ラミアちゃん「いやああああああああああああああああああああ!!」 その時、ラミアちゃんを中心とした小範囲に重力力場が展開され、 ラミアちゃんを除く全ての物は地に叩き伏せられました。 生徒達『 『 『 グエ!! 』 』 』 オイゲンくん「このプレッシャー・・・・奴か!!」 デーモンコマンド「く・・・!われながら情け無い威力だ・・・・・・」 上空から降り立ったデーモンコマンドは降り立ったスピードそのままに急上昇し、 その場を離脱しました。 それと同時に生徒達を縛り付けていた戒めが解かれました。 オイゲンくん「奴らがここに来るということは糸石絡みに違いないな・・・ミルザに知らせるか」 生徒7「おい、あっちから走ってくるのは・・・?」 オイゲンくん「今度はなんなんだ?」 そこで彼らが見たものは・・・・。 オイゲンくん「あれは・・・ラファエル?」 【上空】 夜空を滑るような速度で飛びながら声をかけました。 デーモンコマンド「あまり手間をかけさせるな」 ラミアちゃん「や、違うんですよ!デモコマ様はまだ本調子じゃないし、 少しでも情報を集めておこうとしたんですよ!そしたら敵に」 デーモンコマンド「敵だと!?どういうことだ!」 凄まじい形相でといただしました。 ラミアちゃん「ひい!あ、あれですよ!海底神殿の時いた黒髪のロングの女」 デーモンコマンド「奴か・・・・。ならば奴らも糸石の情報を得たと見て間違いないようだな」 ラミアちゃん「そうみたいっすね」 デーモンコマンド「そういえば敵にやられたと言っていたが、 よもや情報を洩らしてはいないだろうな?」 ラミアちゃん「・・・・・・・・・・マスターの名前を、ア リトル」 デーモンコマンド「死んで償え」 デーモンコマンドは爪を槍のように硬質化させました。 ラミアちゃん「違うんです!『お前らのボスは?』って聞かれて『マスター』と答えただけです! それ以外のことは何も!エメラルドとか将魔のことも本拠地のことも全然!」 必死になって弁解しました。 デーモンコマンド「・・・まぁいい。私の瞑れる目は三つしかない。覚えておけ」 ラミアちゃん「はい!それはもう!」 デーモンコマンド(とはいえまずいな。 こいつの話からすると奴らが糸石を手に入れるのは時間の問題かもしれん。 私自ら行きたいところだが体力が万全ではない。 他の奴に任せるのは業腹だが・・・マスターのためだ、仕方あるまい。 誰に任せるべきか・・・・・・・・・) 思案に暮れていたデーモンコマンドがふとラミアちゃんに視線を移すと、 ラミアちゃん「むぅぅぅぅぅぅぅ」 ラミアちゃんは目を閉じ、唇を3字にして突き出していました。 デーモンコマンド「・・・・・・・何をしている?」 ラミアちゃん「え?デモコマ様急に黙っちゃったから、助けたお礼のキスでも待ってるのかと。 あたしはOKですよ?さぁ、熱いヴェーゼを」 再びむぅぅぅぅぅと唇を突き出しました。 デーモンコマンドは黙って手を離しました。 ラミアちゃん「冗談なのにいいいいいいいいいいィィィィィ・・・・・・」 デーモンコマンド「やれやれ。・・・・そうだ。あのバカが仰向けに落ちていたらリザードに。 うつ伏せに落ちていたら『あいつ』に任せるとしよう」 うむ、っと頷くとデーモンコマンドは『下駄』の出目を確認しに降下しました。 少し時間は遡って寮の裏手 ミニオンズは寮入り口前で足止めを喰らっていました。 というのも。 ラファエル「僕はいつでも君のそばにいるよ・・・」 コンスタンツ「ああ、ラファエル・・・」 二人がイチャついていたからです。 ストライフちゃん「ええい、邪魔くさい!もっと目立たんところでやれよ!」 ワイルちゃん「うわー、うわー、うわあー」 ストライフちゃん「何感心してるんだ!ヘイト!盗撮してる場合か!」 ラファエル「コンスタンツ・・・必ず君に・・・」 コンスタンツ「信じているわ・・・」 ヘイトちゃん「コンスタンツ・・・?」 ストライフちゃん「知っているのか?」 ヘイトちゃん「騎士団の剣、テオドールの娘よぉおおお‘@:。☆」 ストライフちゃん「いいとこのお嬢さんか・・・」 しばし考え二人は同時に声を出しました。 ストライフちゃん&ヘイトちゃん「拉致るか」 ワイルちゃん「うわーって、ええ!?」 ヘイトちゃん「身代金の代わりに糸石を要求ぅぅぅうううう*&“!f!!」 ストライフちゃん「闇雲に探すより手っ取り早いな」 ワイルちゃん「上手くいくかなぁ」 ストライフちゃん「やってみなければわからん。いくぞ。まずあの邪魔な奴を排除する」 コンスタンツ「きゃ!!」 ラファエル「なんだお前たtぐわ!」 ヘイトちゃん「はい、君にはオトリ二号になってもらいまぁああすぅ‘#&%6〆∀!!」 懐から10cmほどのボルトを取り出しラファエルの額に捻じ込み始めました。 ヘイトちゃん「洗脳洗脳☆★〜♪」 ラファエル「ぐわああああ!!」 ストライフちゃん「見るなよ。見たら後悔する」 ワイルちゃん「ラジャーです」 その残虐行為から目をそむけました。 ヘイトちゃん「ほい完了#‘:@,.!!いっといで〜‘∀‘/!」 ラファエル「・・・はい・・・」 ラファエルは駆け出しました。 コンスタンツ「あなた達・・!ラファエルに何をしたのです!」 ストライフちゃん「気にするな。多分ボルト抜きゃ元に戻るだろ」 ワイルちゃん「明らかに超えちゃいけないラインを楽に越える長さだった気がしますが・・」 コンスタンツ「ラファエルをすぐに元に戻してください! こんなことをしてなんになるというのですか!?」 ヘイトちゃん「だが断る。このヘイトちゃんが最も好きなことの一つは、 必死で懇願する奴に『NO』と言ってやることダァァァーッ!」 ヘイトちゃん「そして名前を知られた以上黙って返すわけには行かないわぁ@*3%!」 コンスタンツ「そんな・・!!」 自分で明かしといてこの言い草、まさに外道です。 ストライフちゃん「悪いがしばらく眠ってもらう」 首筋に手刀が打ち付けられました。 コンスタンツ「あ・・・・・」 ストライフちゃん「よし、オトリ二号が騒ぎを起こしているうちに撤退だ」 ワイルちゃん(ほんとにいいのかなぁ) 【そして、校庭】 生徒8「ラファエルどうしたんだ?」 生徒9「コンスタンツと乳くりあってたんじゃねぇの・・か?」 からかってきた生徒を一瞬で切り伏せました。 刃を潰した剣とはいえ、鉄の塊を叩きつけられればただではすみません。 ラファエル「僕は・・・僕は・・・殺したくないのにーーーーっっ!!!」 生徒9「ちょっ・・おまっ・・言ってる事とやってる事ちがっ・・・」 生徒8「ラファエル乱心!ラファエル乱心!ラファエrぐあ!」 すぐさま他の生徒が集まってきました。 生徒10「お前自分がなにやってるかわかってんのか!?」 生徒11「どうでもいい!前からお前は気に入らなかったんだ!」 生徒12「この機会に根性を叩きなおしてやる!」 ラファエル「やめてよね。本気で戦闘したら君達が僕にかなうワケ無いだろ」 生徒13「うわむかつく!!」 生徒14「やっちまえ!!」 戦闘が始まりました。 オイゲンくん(明らかに様子がおかしい。これも奴らの仕業なのか?) 生徒達『 『 『 うわ!! 』 』 』 ヘイトちゃんの技術により限界まで力を引き出されたラファエルは、 傷つきながらも生徒達を全て斬り伏せました。 幽鬼のように立ち上がり、一人残ったオイゲンくんを見据えます。 その瞳はトランス状態のためか、完全に瞳孔が開いているように見えました。 ラファエル「それでも・・・守りたい世界があるんだ!!」 腰だめに剣を構えて突進してきました。 オイゲンくんは携えていた打槍『ウコムの矛』を中段に構えて迎撃の体勢をとりました。 オイゲンくん「ラファエル、お前の意思ではないだろうが立ち塞がるのなら容赦はしない!」 剣と槍とが激突し、甲高い金属音が夜空に響きました。 |
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