第14話「彼女達のお仕事」

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銀鱗の巨龍からホークが降り立ちました。
ホーク「よ〜〜ぅ、ブッチャー。あんまり遅いんで迎えにきてやったぜ!」
ブッチャー「ケッ!生きてやがるとは相変わらず悪運だけはいい野郎だ」
ホーク「そうでもねぇ。お陰でレイディを犠牲にしちまった」
ブッチャー「ほぅ、てめぇに似て根性のねぇ船だ」
ホーク「・・・てめぇにチャンスをやる。俺との決闘に勝ったら見逃してやる」
静かに怒りを噛み殺しホークは告げました。
アディリスちゃん「ええ〜、そんなことしなくても、とっ捕まえて縛り首にすればいいじゃん」
ホーク「こいつぁ男の意地ってやつだ。外野は黙ってろ」
デイアナちゃん「なにやら因縁があるようですし、ここは黙って見守りましょう。
        ・・・それにあの龍の事もありますし」
わずかに視線を向けアディリスちゃんに耳打ちしました。
アディリスちゃん「へ〜い」
ブッチャー「(クク、どこまでもあめぇ野郎だ)いいぜぇ、来な!」
言うが早いかブッチャーは愛機シーデビルに乗り込みます。
ゲラ=ハ「キャプテン、船はどうするのです?」
シルバー「あたしの背に乗せてやろうか?」
ホーク「馬鹿野郎!おれたちゃ海族だ!決闘は船って決まってんだ!
    あの軍艦を借りるんだよ!」
ホークの指差す先には海軍用軍艦がつながれていました。
ホーク「いくぞ!野郎共!」
海賊「応!」
ホーク達は雄雄しい鬨の声をあげ軍艦に乗り込んでいきました。
アルドラちゃん「・・・俺達はどうするんだ?」
アディリスちゃん「ついていこう。面白そう♪」
ディアナちゃん「銀龍を見失うわけには行きません」
タイニィ「ふむ。では、我が背に乗れ!」
タイニィは大きく翼を広げ飛び立ちました。

ホーク「待ってろよブッチャー!!レイディの痛みを百倍にして返してやるぜ!
    そのために力を貸してくれよ。レイディラック(仮)!」
ゲラ=ハ「そのネーミングセンスはいかがなものでしょうか・・」



――エリザベス宮殿

兵士A「ネビル様!新たにモンスターが現れました!」
ネビル「なんだと!影ではないのか!?」
兵士B「はい!黒いもやのような物の中から恐るべき数のモンスターたちが現れています!」
ネビル「落ち着け!救援は既に要請してある!それまでここを守り抜くのだ!」
ネビル「(本当に増援が必要になるとは・・・ニーサ様の先見の明だな)
    私に続け!」
兵士達「はっ!」



――下水道、秘密神殿

マックス「くくくく、ははははは、はーっはっはっはっはっは!!
     すばらしいぞ!この力!」
ゴブリンセージにより付与された『力』は、いまや完全にマックスの身に馴染んでいました。
その『力』を自分の杖に込め、自在に操っていました。
『力』はマックスの負の思念を糧とし、その威力を増していきました。
マックス「いいぞ、くれてやる。もっと俺の憎しみを喰らえ!」



――再びエリザベス宮殿

ネビルは爪を振るってきたガーゴイルを切り伏せ、声をあげました。
ネビル「いいか!無理に倒す必要は無い!時間を稼げ!」
兵士A「うわあああああああああ!!」
ネビル「ええい!今度はなんだ!」
そこにいたのは高位の魔族、パワーデビルでした。
その化け物が腕を振るうと兵士達は紙のように吹き飛ばされました。
兵士長V「ネビル様!あいつは私が引き受けます!傷ついた兵達を頼みます!」
ネビル「待て!無理をするな!」
兵士長Vはグレートソードをパワーデビルの腕に叩き込みましたが、ほとんどダメージを与えられません。
兵士長V「く!ならば!」
ヘビースイングをかいくぐり、流れるような動作でパワーデビルの胸元を切り裂きました。
兵士長V「やった!」
しかし喜んだのもつかの間、僅かに体が傾いだものの、すぐに体制を建て直したパワーデビルは、
無数の拳による猛打、『コラプトスマッシュ』を兵士長Vに叩き込みました。
ドギャァァァァァァン、という効果音とともに兵士長Vは吹き飛ばされました。
兵士長V「流し切りが・・完全に入ったのに・・・・」

兵士長V、再起不能(リタイア)

ネビル「おのれ!!・・このままでは押し切られてしまう!」
ぎりっと奥歯を噛み締めたネビルの横を膨大な光の奔流が通過しました。
その光は大量のモンスター達をあっけなく飲み込むと、そのまま消し去ってしまいました。
???「あなた達は誰なのですか?」
兵士A「・・バファルを守る戦士だ!」
???「あなた達の使命は?」
兵士B「弱き者の盾となり、平和の礎となることだ!」
???「では、あなた達が今、成すべき事は?」
ネビル「目の前の化け物共を打ち倒す事!」
エロールちゃん「ならば立ち、そして私に続きなさい。
        我が名はエロール!私の愛すべき街を、生徒達を傷つけるものは何人たりとも許しはしません!!」
聖光を束ねた剣、『スターソード』を振り上げエロールちゃんが兵士達を鼓舞します。
兵士達「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
戦意高揚した兵士達が次々に立ち上がります。
ネビル「重傷の者は下がれ!ニーサ様も来ているはずだ!
(この力・・・生徒会長の名は伊達ではないという事か。・・・勝てる!)」
エロールちゃんを中心にまとまった部隊はモンスターの群れをどんどん圧倒していきました。



――再び下水道、秘密神殿

マックス「なんなんだよ・・・邪魔するなよ・・。
     ・・・・じゃあこんなのはどうだ?」
暗い笑みを浮かべたマックスは杖をかざし、声を殺して笑いました。



またまたエリザベス宮殿

兵士C「大変です!市街地にも黒いもやが現れました!」
ネビル「なんだと!」
エロールちゃん「・・・あなた達」
兵士D・E「はっ!」
エロールちゃんは二人にアーマーブレスとリヴァイヴァをかけました。
エロールちゃん「30分・・・もたせてください」
兵士D「30分といわず一時間もたせてみせます」
兵士E「エロール様の恩寵を頂きましたから。早々に倒れては申し訳ありません」
少しおどけた口調で2人は応えました。
エロールちゃん「ありがとう・・・死ぬ事は許しませんよ?」
兵士D・E「はっ!!」
2人は駆け出していきました。
数少ない兵力が減少した為、エロールちゃんたちの進攻速度は徐々に落ちてきました。
そこに更なる訃報が届きました。
兵士C「続いて、下水道、宮殿二階にも、もやが現れました!」
ネビル「もう割ける戦力は無いぞ・・・・!」
エロールちゃんの心中に苦いものが広がっていきました。
(なんてこと・・・・負ける気はありませんが勝てる気もしないだなんて・・・。
ここまで早く敵が来るとは考えていませんでした。実働部隊が出来る前に攻められるとは・・!)
エロールちゃん「もうすぐ増援が来ます!それまで耐えてください!」



――数刻前

ニーサちゃん(いま、メルビルは危機的状況に陥っています。
       救援が必要です。メルビルを助ける力を貸してください!)
その声はバファルの大地に立つ力あるものたちの頭に響き渡りました。



――迷いの森

シリルくん「大変だぁ〜。ええと。ああ、そうだ。
      オウル、聞こえたかい?」
シリルくんは、使いである森の魔女オウルに思念を飛ばしました。
オウル「ええ、聞こえましたとも、娘にも既に伝えました」
シリルくん「さすがオウル。じゃあ僕も力を貸すよ。こう伝えておいて。――――」



――ゴールドマイン

クローディアちゃん「――ええ、わかったわ。オウル」
ジャン「どぅおぅしたんです?早くムェルヴィルへ急ぎましょう!」
妙にイントネーションのおかしな声でジャンが急かします。
クローディアちゃん「助っ人が来るらしいの。頼りになる人だって。その人たちが近くにいるらしいの」
そこへ二人組みが話しながらやってきました。
???「あ〜気が進まない。メルビルには絶対あいつがいるし」
???「何を言っている。義を見てせざるは勇無き也、だ。
    好き嫌いをいっている場合ではない」
???「わかってる。単なる愚痴。シリルの頼みは断れないわよ。
    そんなこと言ってるあんただって、珍しい物見たさがあるんじゃない?」
???「まあな。海賊と龍だぞ?面白そうじゃないか」
???「・・・好奇心が猫を殺すって言葉知ってる?」
???「その猫は弱かったんだな。俺は強いぞ」
そんな会話をしながらその二人は近づいてきました。

ジャン「・・・・頼りになる・・・『人』?」



――ローバーン

ミリアムちゃん「グレイ!今の!」
グレイ「ああ、聞こえた」
ガラハド「我々も行こう。無辜の民が傷つけられるのを黙って見ている訳にはいかん!」
ミリアムちゃん「それに褒美ももらえるだろうし、
        英雄として名を上げればいい情報も入ってきやすくなるだろうし!
        こりゃ、行かない手は無いよ!」
ガラハド「現金な奴だ」
ミリアムちゃん「現実主義なのよ!」
グレイ「・・・・・・・・・・・・・」
その時、腰に差した古刀が僅かに振動しました。
(我を振るえ。この身が砕けるまで。我を振るえ。さすれば汝の力となろう)
その声はグレイにしか聞こえていませんでした。
ガラハドとミリアムが黙り込んだグレイを不思議そうな顔で見つめています。
グレイ「いいだろう。いくぞ」
ガラハド「さすがグレイだ」
ミリアムちゃん「そうこなくっちゃ♪」

グレイ(貴様の狙いは知らんが・・・今はあえて乗ってやる)
刀の鞘を強く握り締めると、グレイはメルビルへ向けて歩を進め始めました。



――ブルエーレ

そこには運びの仕事で道中を共にした四人組がいました。
ミルザくん「大変だ!すぐに行かないと!」
オイゲンくん「おいおい、また面倒ごとに首を突っ込むのかよ」
ダウドくん「そ、そうだよ!海賊ぐらいなんとかなるよ!メルビルには生徒会長もいるんだよ?」
ジャミルくん「バカ!なんとかならないから救援要請してんだろうが!
       それにな、考えてみろよダウド。エリザベス宮殿にはお宝がザクザクあるって聞くぜ?」
ミルザくん「駄目だよ!僕達は救援に向かうんだ。泥棒をしに行くんじゃないよ!」
オイゲンくん(いつの間に行く事に決定したんだ?)
鼻息荒くまくし立てるミルザくんをジャミルくんは静かに諭します。
ジャミルくん「それは違うぜ、ミルザ。海賊が暴れまわってんだ。奴らの第一の目的はお宝だ。
       あんな奴らにバファルの財産が奪われるくらいならオイラみたいな義賊が使ったほうがはるかにマシだろ?
       金を手に入れて南エスタミルの貧しい子どもに腹いっぱい飯を食わせてやるのがオイラの夢なんだ」
ダウドくん(絶対嘘だ)
ミルザくん「そ、そうだったの・・・ごめん。僕がバカだった」
オイゲンくん「そうだな。おまえはバカだ」
ミルザくん「なんでオイゲンに言われなくちゃならないんだよ」
オイゲンくん「それがわからんからバカなんだ」
ダウドくん「まぁまぁ、落ち着いて。それより本当に行くの?
      おいらすごく嫌な予感がするんだ。昔から嫌な予感だけは外れた事が無いんだよ」
弱々しくも抵抗を試みましたが、結果は変わりませんでした。
ミルザくん「なら尚のこと行かないと!」
ジャミルくん「男だろ!腹ぁくくれ!」
オイゲンくん「残念だが諦めてくれ、ダウド。俺達じゃあこいつらを止められん」
ダウドくんはがっくりと肩を落としました。



――某時刻、冥部
ワイルちゃん「大変ですよぉ〜。メルビルが襲われているそうです」
ストライフちゃん「ふーん」
サルーインちゃん「それで?」
ワイルちゃん「え、あ、いや、なんだってー!?とか、助けに行こう!とか、ないんですか?」
デスちゃん「耳が早いな。何処で手に入れた情報だ?」
ワイルちゃん「あ、実はですね、諜報員を数人雇っているんですよ。
       ・・・じゃなくて!何でそんなに冷めた反応なんですか!?」
サルーインちゃん「メルビルはエロールちゃんの支配域だろ?何でわざわざ助ける必要がある?」
ストライフちゃん「メルビルはエロールちゃんシンパの生徒が多い。死んでくれた方が助かる」
酷い事をさらりと言ってのけます。
ワイルちゃん「で、でも!力を貸せばきっと票を入れてくれる生徒はいるはずです!」
必死に言い募るワイルちゃんにシェラハちゃんが助け舟を出しました。
シェラハちゃん「姉さん。傍観していると姉さんの仕業とかあらぬ噂が流布されるかもしれないわ」
サルーインちゃん「それは面白くないな・・・よし。ワイル行け」
ワイルちゃん「わ、私だけですか?」
ワイルちゃんはストライフちゃんすがるような視線を向けました。
ストライフちゃん「嫌」
シェラハちゃんに懇願の視線を向けました。
シェラハちゃん「日に焼けそうだから」
デスちゃんに必死な視線を送りました。目には涙が浮いています。
デスちゃん「あ〜、すまん先約があってな。強い武器と防具を貸してやろうか?」
ワイルちゃん「・・・気持ちだけ貰っておきます」
(やっぱり駄目です。サルーインちゃん様の評判を上げるために行くんですから。でも・・)
絶望の淵に沈んだ顔でヘイトちゃんを見ました。
ヘイトちゃんのきらきらと輝いた目は期待に染まっていました。
ワイルちゃん「・・・1人で行ってきます」
ヘイトちゃん「ちょっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉl!:;@「@;」:ぉぽ。
       なぁぁぁぁぁあんでわたしにはきかないのよぉぉぉぉぉぉぉおぉ<__P*:pl;」
途端、部屋に公害が生まれました。
ワイルちゃん「・・・・・・・・・・・・ヘイトちゃん一緒に来て下さい」
ヘイトちゃん「い・や♪」

ワイルちゃん『考えるより先に手が出たのはこの時が初めてでした:後日談』

綺麗な弧を描き、
飛んで行ったヘイトちゃんは『メメシャァ!!』という頭蓋骨陥没クラスの音を立て床に叩きつけられました。
ヘイトちゃん「フッ、いいパンチだぜ・・・」
当然生きています。
ワイルちゃん「ああ!ごめんなさい、つい!」
デスちゃん「謝るのがあいつらしいな」
シェラハちゃん「欠片も悪くないのに」
ストライフちゃん「甘すぎる。つけあがるだけだ」
サルーインちゃん(いいパンチだ・・・)
外野は好き勝手に話しています。
ヘイトちゃん「かまわないわぁぁぁっぁ」:^」:。」
そういいながら懐から綺麗な石を取り出しました。
ヘイトちゃん「『リヴァイヴァストーン』私が開発した一品よぉぉ>‘{?><
致命的な一撃からいちどだけみをまもってくれるのぉぉぉおっぉ‘〜|#%“
私の代わりに持っていてぇぇえぇえぇ‘&(“=”1gsdw)
ワイルちゃん「うう、ありがとうございます。私ヘイトちゃんの事、誤解していました」
ワイルちゃんは感涙しつつ石を受け取りました。
ヘイトちゃん「ただし魔法は尻から出る」
ワイルちゃん「いりません!!!」
即座に石をつき返しました。
サルーインちゃん「ええい、うるさい!ワイル、これをやるから早く行け!」
サルーインちゃんは小さな箱を投げてよこしました。
ワイルちゃん「これは・・・?」
サルーインちゃん「『ゲート』と呼ばれている。遺跡から発掘されたものだ。
遠く離れた地へ一瞬にして移動できる優れものだ。エネルギーの関係で後三回しか使えんがな。
それを使ってメルビルへいけ。残り二回の使用はおまえの判断に任せる」
ワイルちゃん「ああ!光栄です!
       私の一の僕としての働きを見てくださっていたのですね!
       ああ!・・・私は・・・私は・・今最高に幸せをかn」
サルーインちゃん「浸っとらんで早くいかんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ワイルちゃん「行ってきまぁぁぁぁぁぁぁぁぁす」
ワイルちゃんの体が一瞬で掻き消えました。

シェラハちゃん「随分と準備がいいのね」
サルーインちゃん「備えあれば憂いなしだ」
デスちゃん「この前の件で少しは成長したようだな。結構な事だ」
サルーインちゃん「子ども扱いするな!」

こうして十人と一匹の勇士がメルビルに集ったのです。


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