第14話「彼女達のお仕事」

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ピンポ〜〜〜ン
シェラハちゃん「『ロマンシングサガ・私立マルディアス学園』
を見るときは部屋を明るくして離れて見ることをお勧めするわ。
これを破って目が痛くなったとしても私は責任をもてないわ・・・」



――生徒会室

アディリスちゃんからの連絡を受けたエロールちゃんは微笑を浮かべていました。
エロールちゃん「彼女達の力を借りたとはいえ、独力で脱出とは・・・
やはり侮れない力を持っているようですね。
あの子と共に私の下についてくれれば心強いのですが・・・」
エロールちゃん「敵はサルーインちゃんだけではないようですし・・・」
エロールちゃんは席を立ち、窓から空を見上げました。
空はどこまでも蒼く、白い雲は輝くほどでした。
しかし、エロールちゃんにはそれがやがて来る嵐の予兆のように思えてなりませんでした。



アルドラちゃん、ディアナちゃん、アディリスちゃんの三人は
エロールちゃんの呼び出しを受け、生徒会室に向かっていました。
アルドラちゃん「エロールちゃんか。あんまりいい噂聞かないんだよな」
ディアナちゃん「為政者としては有能な方なのですが・・・」
アディリスちゃん(自業自得とはいえ評判よくないな〜)
三人は生徒会室のドアの前に着き、ノックをしました。

コンコン

エロールちゃん「どうぞお入りになってください」
ディアナちゃん「失礼します」
エロールちゃん「ようこそいらっしゃいました。まずはこれをお受け取りください」
そういってエロールちゃんはアルドラちゃんとディアナちゃんの前に小箱を差し出しました。
小箱の中にはきっかり100ジュエルが入っていました。
アルドラ&ディアナちゃん「これは・・・」
エロールちゃん「お見舞金ですわ。このたびのような事がおきたのは私の執政の至らなさによるものです。
本来なら私が直接お渡しに行くべきなのですが・・未熟ゆえ仕事に追われています。
このような形になってしまったことをお詫びしますわ」
そう言ってエロールちゃんは頭を下げました。
ディアナちゃん「そ、そんな!どうか頭を上げてください!」
アルドラちゃん「そうだよ。別にあんたが悪いわけじゃない」
エロールちゃん「では、どうかお受け取りください。これはけじめですので」
ディアナちゃん「わかりました。アルドラ」
アルドラちゃん「ああ」
二人は小箱を懐に納めました。
エロールちゃん「ありがとうございます」
アディリスちゃん「私のは〜?」
エロールちゃん「どのような形であれ、あなたにお金を渡すのはまずいでしょう?」
アディリスちゃん「ちぇ!」

エロールちゃんはエヘンと咳払いをした後、切り出しました。
エロールちゃん「もう一つお話があります。回りくどい言い方はお嫌いでしょうから単刀直入に申し上げます。
アルドラちゃん、私の下で働いていただけないでしょうか?」
アルドラちゃん「俺?」
思いもかけない誘いにアルドラちゃんは目が点になりました。
エロールちゃん「はい。私は来る選挙に向けて、対立候補たるサルーインちゃんと戦わねばなりません。
また、現生徒会長としてこのところ頻発している事件とも。
そのためにあなたの力を借りたいのです。もちろん報酬は満足いただける額を用意します」
アルドラちゃんは逡巡した後、こう返しました。
アルドラちゃん「・・・確かに俺は今でもサルーインちゃんが嫌いだ。
それから俺をこんな目に合わせた奴らを見つけ出して叩きのめしたいとも思っている。
だけど・・決着は俺の手で・・いや俺たちの手でつけたいんだ。
だからあんたの下で働くわけには行かない。すまない」
ディアナちゃん「アルドラちゃん・・」
アディリスちゃん「いや〜んかっこいい!!おね〜さん惚れちゃいそう♪」
エロールちゃん「そうですか・・残念ですわ。では仕方ありません。諦める事にしますわ」
アディリスちゃん(諦め・・って、ええ!あきらめちゃうの!?)
アディリスちゃんは普段のエロールちゃんらしからぬ言動に戦慄しました。

エロールちゃん「では、それとは別の仕事を受けてもらえませんか?
報酬は10000ジュエル用意いたします」
アルドラちゃん「い、10000?あ、いやでも俺達にはやるべきことが・・」
エロールちゃん「存じていますわ。しかしなにかをするには先立つものが必要ですわ。
それが多いに越したことはないでしょう?
それにこの仕事をやることであなたたちが必要とする情報が手に入る可能性もあるかもしれません」
ディアナちゃん「どのような仕事なのです?」
エロールちゃん「ある者を探し出し、私の元へ連れてきていただきたいのです」
アディリスちゃん「人物、じゃなくて者ってことはひとじゃないの〜?」
エロールちゃん「ええ。文字通り空を飛び、世界中を旅していますわ。

彼女は――ドラゴンです」



エロールちゃん「以前彼女は私の下に訪ねてきました。人間にして欲しい、と」
アルドラちゃん「人間に?変わった奴だな。・・なんで変えてやらなかったんだ?」
エロールちゃん「勿論変える事はできました。しかしそうするわけには行かなかったのです。
例えばあなたの前に今にも死にそうな人が100人いたとします。
あなたはその人たち全てを救うことが出来ますか?」
アルドラちゃん「それは・・」
エロールちゃん「無理でしょう?10人か20人助けるのが精一杯のはずです」
アルドラちゃん「しかし助けないよりは良い!」
エロールちゃん「はい。しかし人の上に立つものはそうはいきません。
助けられなかった80人の人たちの家族や恋人はこう思うでしょう。
『あいつらは助けたのに、何で俺の大切な人は助けなかったんだ?!』と。
その感情はやがて為政者と民との間に綻びを生むことになります。
しかし仮に全員が死んだのなら不幸な事故、で終わります。
人の上に立つものは時として残酷なまでに平等でなくてはならないのです」
アディリスちゃん(あいかわらず口がうまいな〜。微妙に話がすりかわってるような気がするし)
アルドラちゃん「・・・わかった。話の続きをしてくれ」
エロールちゃん「私が断ると、彼女は自分で人間になる方法を見つける、と言い残し去っていきました。
それ以降学園中を転々としているそうです」
ディアナちゃん「何故また彼女を連れてくる必要があるのですか?」
エロールちゃん「先に述べた事件や選挙に向けて私には強い味方が必要なのです。
そこで、彼女と取引をしようと思いまして。
人間にする代わりに私に力を貸してくれ、と」
アルドラちゃん「取引は良いのか?」
エロールちゃん「ただで物をもらう様子を見て不公平に感じる人はいても、
お金を出して物を買う様子を見て不公平だ、と感じる人はいないでしょう?」
アルドラちゃん「なるほどな。・・・確かに俺を弄んだ奴を探そうにもあてはない。金もな。
この仕事引き受けてもいいかな?ディアナ、アディリス?」
ディアナちゃん「あなたが引き受けたいなら反対はしないわ」
アディリスちゃん「もてあそんだ・・・ってなんだかエロスだわ〜〜〜♪
・・・うそうそ、ちゃんと聞いてるって。もちろん賛成」
アルドラちゃん「でもいいのか?エロールちゃんに肩入れしちゃまずいんじゃ・・?」
アディリスちゃん「いいのいいの。私はアルドラちゃんとディアナちゃんを守るためについていくんだから。
わたしにとってこの仕事はエロールちゃんの仕事の依頼を受けたアルドラちゃんたちを護衛する仕事。
『桶屋が吹けば風が儲かる』くらい遠い仕事よ♪
だから安心しておねえさんにたよってねん♪」
ディアナちゃん(ボケているのかマジなのかさっぱり読めないわ・・)

ディアナちゃんの苦悩をよそにアルドラちゃんは感動のあまり涙ぐんでいました。
アルドラちゃん「ありがとう二人とも。俺・・俺・・!」
ディアナちゃん「今は泣いていては駄目よ」
アディリスちゃん「そうそう。泣くのは全てが終わったあと!
そのときが来たらおねえさんが熱い抱擁の後、玄人裸足の緊縛プレイで・・・ふふふ」
アルドラちゃん「それは遠慮しとく。力の限り」
エロールちゃん「こほん」
遠慮がちなエロールちゃんの咳払いが響きました。
エロールちゃん「お話は決まりましたか?」
アルドラちゃん「あ、ああすまない。受けるよ、この仕事」
エロールちゃん「ありがとうございます。では準備金としてこれをお受け取りください。
2000ジュエル入っています」
そう言ってエロールちゃんは麻袋をアルドラちゃんに差し出しました。
アディリスちゃん「oh!ぶるじょわじー」
アルドラちゃん「そんなに・・いいのか?」
エロールちゃんは慈愛に満ちた笑顔で頷きました。
エロールちゃん「ええ。困難な仕事ですから」
アルドラちゃん「ありがとう。・・・正直言ってあんたはもっと嫌な奴じゃないかと思ってた」
ディアナちゃん「恥ずかしながら私も。あまりよい噂を耳にしなかったもので」
エロールちゃん「構いませんよ。選挙期間が近づくと情報は混沌状態になります。
中には誤情報を流して喜ぶような人もいますわ。
・・・とにかく引き受けてもらえてよかったですわ。
一応期限は設けていませんがなるべく早くにお願いします」
アルドラちゃん「わかった。全力を尽くす。二人とも行こう」
踵を返したアルドラちゃんとディアナちゃんでしたが
なぜかアディリスちゃんはその場を動きませんでした。
ディアナちゃん「アディリス?」
アディリスちゃん「あ、先行ってて。すぐ行くから」
怪訝な顔をしながらも二人は出て行きました。



アディリスちゃん「さてと、ど〜ゆ〜つもりかなその猫かぶりキャラは。
あまりの変わりぶりにおねえさん鳥肌が立っちゃたわよ?」
エロールちゃん「爬虫類が何をいってますの」
アディリスちゃん「それそれ!やっぱそうでなきゃ!
・・・で何を企んでるのかな〜。あの二人を陥れるつもりならおねえさん真面目に怒るわよ?」
エロールちゃん「失礼ですわね。何も企んではいませんわ!」
アディリスちゃん「アルドラちゃんを諦めたのは?」
エロールちゃん「無理強いは逆効果とエリスちゃんの件で知ったからですわ」
アディリスちゃん「やたらと羽振りがいいのは?」
エロールちゃん「確実に依頼を引き受けてもらうためですわ。
最初に断られると以後、受けてもらいにくくなりますもの」
アディリスちゃん「つまり今後も依頼をする、と?」
エロールちゃん「ええ。彼女は優秀ですもの。部下になってはもらえませんでしたが、
今後もビジネスライクな関係は続けていきたいと思っていますから」
アディリスちゃん「なるほどねぇ〜。じゃ、最後の質問。
なんでエロールちゃん自ら動かないの?今は一人でも多くの味方が欲しいんでしょ?
この件に関しては自分でやった方が早いんじゃないの?」
エロールちゃん「私が行くと角が立ちますので」
アディリスちゃん「・・・なにやったの?」
あくまで笑みを崩さず、エロールちゃんはこう言いました。

エロールちゃん「人間にしろ、とあまりに尊大に言うものですから
『それが人に物を頼む態度ですか?味噌汁で顔を洗って出直しなさい。下賎な蜥蜴さん』
と言ったんです。そうしたら襲い掛かってきたものですから、まぁ教育的指導を」
アディリスちゃん「6:3であんたが悪いね。ってエロールちゃんの使いでいったら襲い掛かってくるんじゃ?」
エロールちゃん「残りの1はどこにいったんですか?
・・私ならそのぐらいで怒ったりしませんが・・小人の心は度し難いものですから・・」
アディリスちゃん「はいはい、高確率で襲われるわけね。しょ〜がないおねぇさんががんばるか・・。
最後に一つ質問」
エロールちゃん「先ほども最後と聞きましたが」
アディリスちゃん「キニシナイ。・・・私の質問に対しすべて真実で答えましたか?
イエスかノーで答えてください」
エロールちゃん「もちろん、イエスですわ」
アディリスちゃん「うそつき」
エロールちゃん「あら酷い」

ふたりはにやりと笑みを浮かべました。
アディリスちゃん「じゃ、いってくるわん♪」
エロールちゃん「無事をお祈りしていますわ」



こうしてアルドラちゃんたちご一行は旅に出ることになりました。
その行き先がどこなのか、まだ彼女達自身も知りませんでした。



次回予告!!
ヘイトちゃん「はぁ〜〜〜〜〜〜〜い+*=〜#みんなのアイドゥル
へいとちゃんよほぉぉ.l@@-k,o3\/1*‘m。次回は私とストライフちゃんの温泉紀行!
湯煙の先にあるのは美少女の裸か!はげ親父の死体か!
次回のマルディアス学園は「秘湯!湯煙の奥に消えたアイスソード」
おたのしみにねぇぇぇ:−p。l。p@0−★
ぽろりもあrげふっ」
ストライフちゃん「いいからこっちにこい、な?」
ワイルちゃん「この次回予告はフィクションです。実際の次回、人物、団体とは一切関係ありません」


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