第14話「彼女達のお仕事」

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   7

――今度もエリザベス宮殿

兵士C「増援が到着しました!」
ネビル「うむ。・・生徒会長殿、敵の勢いが衰えた気がしませんか?」
エロールちゃん「ええ、力を分散させたことが原因でしょう」
ネビル「一気に殲滅するぞ!!」



――エリザベス宮殿二階

ジャミルくん「うひょ〜!お宝もモンスターも一杯だな!」
ミルザくん「ジャミル!海賊達はいないんだから宝は取っちゃ駄目だよ」
ジャミルくん「わかってないな〜。いいか、ミルザ――」
ダウドくん「またミルザ言いくるめられてるよ」
オイゲンくん「俺はもう突っ込まないからな」
眼前の敵を切り裂きつつ宣言しました。
ダウドくん「もぉ〜二人とも遊んでないで早く戦ってよぉ〜」
ミルザくん「わかった!孤児院設立のために僕も協力するよ!」
ジャミルくん「さすがミルザ。お前は本物の漢だなぁ〜」
オイゲンくん(処置なし、だな)



――メルビル市街地

メルビルの大階段前の広場に黒いもやが発生していました。
中からは続々と山おやじが出てきます。
クローディアちゃんたちは高台からそれを見ていました。
アル「壮観だな」
クローディアちゃん「どうするの?」
ジャン「ぶぉくが先陣を切りむぁしょうかぁ?」
エリスちゃん「私に考えがあるわ。ジャン、あなたは後方を警戒して。
       クローディア、あなたは私の指示に従って」
ジャン「りゅおうくわぃ!」
クローディアちゃん「わかったわ」
アル「俺は?」
エリスちゃん「そこに倒れている人達を回復してあげて」
アル「わかった」

エリスちゃん「クローディア、奴らの足を狙って」
クローディアちゃんは無言で頷くと、エリスちゃんとほぼ同時に矢を放ちました。
放たれた矢は山おやじの足に見事に突き刺さりました。
たむろしていた山おやじ達はそれを見てパニックに陥りました。
エリスちゃん「どんどん撃って。ただし、できるだけ殺さないように」
アル「随分と優しいな」
それには答えず、二人は矢を放ちつづけました。
やがて山おやじ達は傷ついたものを残し、みな物陰に隠れてしまいました。
クローディアちゃん「どうするの?」
エリスちゃん「ゆっくり待ちましょう」
しばらくすると物陰から傷ついた仲間を助けようと数匹の山おやじが飛び出しました。
エリスちゃんは冷静にそいつらを射抜きます。
エリスちゃん「餌で釣るのが狙撃の基本よ」
クローディアちゃん「なるほど」
アル「モンスターとはいえ酷くないか?」
またも聞き流しました。
エリスちゃん「あ、もやから出て来たのは一撃で殺してね」
クローディアちゃん「ええ」
しばらくすると助けに来ようとするものはいなくなりました。
エリスちゃん「じゃあ、うめいている奴をいたぶりましょうか」
傷つき倒れている山おやじ達に容赦なく矢を打ち込みます。
それに耐えられなくなった山おやじが飛び出し新たな犠牲者となります。
アル「いくらなんでもやりすぎだぞ」
無論聞き流します。
やがて物陰には鋼の心をもった山おやじが残りました。
もう飛び出してはきません。
しかし、エリスちゃんたちは撃つ手を休めません。
アル「俺の話を聞け」
当然聞き流します。
その時、物陰から木の板で身を隠しつつ仲間の救出に向かう個体が現れました。
クローディアちゃん「進化の過程を見ているようだわ・・・」
エリスちゃん「学習したのね・・・感慨深いわ」
アル「五分だけでもいい」
やっぱり聞き流します。
クローディアちゃん「撃たなくていいの?このままでは救出されてしまうわ」
エリスちゃん「ああ、いいのいいの。ほっといて」
とうとうその山おやじは仲間の救出に成功しました。
階下から歓声が上がります。
エリスちゃん「さて、これが上手くいくと考えた奴らは・・・」
しばらくの後、全方位から思い思いの物で身を隠した山おやじが一斉に飛び出してきました。
彼らにとっては長い道のりを経て、そして彼らは負傷者の山に辿り着きました。
エリスちゃん「はい、ご苦労様」
固まっていた山おやじ達に睡夢術を放ちました。
静寂が訪れました。
エリスちゃん「クローディア、もやから出て来たモンスターを仕留めておいて。
アルー、トドメ差しに行くわよー」
アル「・・・・・・・・・・・・・」
しかし、アルは背を向けたまま丸くなって答えません。
エリスちゃん「どうしたの?」
アル「・・・・・お前は俺の話を聞いてくれない」
エリスちゃん「ごめんごめん、だってアルはアムトちゃんの使い魔だけあってこういうやり方嫌うじゃない?
       でも、一刻を争う状況だったのよ。ごめん。マタタビ酒二本出すから!」
顔の前で両手を合わせてエリスちゃんは謝りました。
アル「・・・・・・三本だ」
エリスちゃん「オッケ!行きましょう」

その二人の前に突如怒り狂った山おやじが現れました。
アル・エリスちゃん「な!?」
不意であったため満足に対応出来ませんでした。
山おやじ「ぐぅぅるぁぁぁぁぁあああああああ、がふ!」
しかし、その拳が振り下ろされる前に山おやじは倒れました。
ジャン「ふぅ。あぁぶないとぅころでしたねぇ。お怪我はあーりませんくわぁ?」
きらりと光る歯をのぞかせて微笑むジャンの顔に拳が突き刺さりました。
ジャン「おふ!」
クローディアちゃん「あなたは仕事は何?棒立ちすること?それとも死?」
ジャン「ああ、ちぃがうんです、ただ唐突にいぃ詩をうぉもいつきましてぇ・・
ああ!ぃいたい、かぅおはぃやめてください!!くぅおれでも美形キャラでうぅってるんでぇす!」
クローディアちゃんは無表情でジャンの顔を殴打し続けます。
エリスちゃん「・・・行きましょう」
アル「・・・そうだな」



――やっぱりエリザベス宮殿

多くの敵を打ち倒したエロールちゃん達はついに黒いもやの前に辿り着きました。
しかし相手は実体の無いもや、武器も術も通用しませんでした。
ネビル「クッ、ここまできて打つ手なしか!」
エロールちゃん「やはりこれを生み出している者を直接叩くしかないようですね」
兵士A「おお!してそれを生み出している物はどこに?」
エロールちゃん「メルビルにいることは確かでしょう」
パトリック「となると・・・下水道が怪しいですな」
エロールちゃんはその言葉に頷き、指示を出し始めました。
エロールちゃん「この場はパトリック、貴方に任せます。
        兵を率いて戦線を維持してください。
        私はネビルと共に下水へ向かいます」
パトリック「お任せを」



――エリザベス宮殿二階

兵士B「伝令です!黒いもやの撃破は不可能。敵本体を叩いてください。
おそらくは下水に潜んでいると思われます。そちらへ向かってください!」
ジャミルくん「おう!頂くもんは大体頂いたし、ここはもういいだろ?」
ジャミルくんの体には高級そうな装飾品や武器が隠されています。
ミルザくん「ええ、敵の数もだいぶ減りましたし後は任せます」
ダウドくん「ええ〜まだやるの?おいらもう帰りたいよ・・・」
ミルザくん「駄目。後ひと踏ん張りだよ。メルビルの人たちのためにも頑張ろう!」
ダウドくん「他人のことよりおいらの事を優先したいんだけどなぁ」
小さくため息はきます。
オイゲンくん「ジャミル、お前まさかそのまま行く気か?」
歩くたびにガチャガチャと騒音を放つジャミルくんに声をかけました。
ジャミルくん「だめか?」
オイゲンくん「いや、お前がいいなら別に構わないが・・」
ジャミルくん「一度手に入れたお宝を手放すわけにはいかねぇ。これはもう俺のもんだ」
オイゲンくん(こいつ孤児院のことなんてかけらも覚えちゃいないんだろうな)
いまいちまとまらない四人組みも下水に向かいます。



――メルビル市街地

クローディアちゃん「下水に?」
兵士C「はっ!」
顔を見合わせた四人は頷き合うと下水の方に走り出しました。
アル「すまないがここを頼む」
振り向き様にアルが告げました。
兵士C「・・・・猫がしゃべった?」



――下水道

グレイ、ガラハド、ミリアムちゃんの三人はまさに屍山血河を築く勢いで前進しておりました。
ガラハド「ここは妙に敵が多いな」
ミリアム「それだけ核心に迫りつつあるのかもよ?」
グレイ「・・・・・・」
グレイの手にある古刀は数十を超えるモンスターを切り捨ててなおその切れ味を保っていました。
(まるで血を吸う妖刀だな)
グレイは刀に付着した血を振り払いました。
グレイ「・・・いくぞ」



――またまた下水道、秘密神殿

マックスは焦りを感じていました。
力を分散したために各個撃破され、大きな力を持った者達がここへ向かってくることを肌で感じたからです。
マックス「・・・・どの道逃げることなど考えていなかったからな。
     こうなればこちらの力が尽きるまで戦い抜いてやる・・・。
     黒き物よ・・・我が下へ帰れ!」
秘密神殿の祭壇の周りに黒いもやが集まってきました。
マックス「クックック、この黒き壁を越えられるか?
     英雄気取りの屑共がぁ!」
マックスはいまや破滅への道をひた走っていました。



――下水道

ガラハド「モンスターの数が減った?」
ミリアムちゃん「代わりに奥の方で瘴気が膨れ上がったよ」
グレイ「俺たちを招待するつもりらしいな」
扉の前に辿り着いたグレイ達のもとに、エロールちゃんを始め各地区へ散っていた勇士達が集いました。
ジャミルくん「役者はそろったってワケだ」
エロールちゃん「ええ、決着をつけます」
ジャン「さぁぁ!フィヌァァレといきましょぉう!」
ミルザくん「みんな!いこう!」
扉を蹴破った先にいたのは巨大な黒い壁と室内を埋め尽くすほどの量のモンスターでした。

エロールちゃん「おそらく黒幕はあの奥にいます!一人でも構いません、あの壁を越えてください!」
しかし圧倒的質量で押し寄せるモンスターに阻まれ思うように歩が進みません。
戦いは膠着状態に陥りました。



――物陰

ワイルちゃん「あーびっくりした。来た途端いきなり戦ってるとは思いませんでした」
『ゲート』により転移してきたワイルちゃんの目に最初に飛び込んできたのは激しい戦闘でした。
ワイルちゃん「どうも戦況は芳しくないようですね・・・・そうだ!」
ワイルちゃんは閃いた作戦とその結果の未来予想に悦に入りました。
ワイルちゃん「ふふふ、私って天才かも!あ、その前に『スペルエンハンス』!」
魔力を強化したワイルちゃんは『ゲート』を取り出しました。
ワイルちゃん「ゲートオープン!」



――祭壇

マックス「無駄な足掻きだな。貴様らにこの壁は越えられんよ」
突如背後の空間が歪みました。
マックス「な!?」
ワイルちゃん「ヘルファイア!!」
スペルエンハンスにより強化された熱線がマックスを焼き払いました。
マックス「があああああああぁぁあぁぁあぁ!」
絶叫をあげマックスは倒れました。
ワイルちゃん「やりました!エロールちゃんにも倒せなかった敵を
       サルーインちゃん様一の僕であるワイルが倒しました!
       これでメルビル寮の生徒の支持もうなぎのぼりです!」
その声を聞き闇に落ちかけていたマックスの意識が引き戻されました。
マックス「・・・・・・・・・か?」
ワイルちゃん「え?」
マックス「そ・か・・・・貴・・・ワイル・・・」
マックスは火傷を負った体を無理やり起こしました。
マックス「貴様は殺す!!」
闇の壁の一部を手元に戻し巨大な球体『アビス』を形成しました。
マックス「死ね!」
巨大な闇は避ける隙間が無いほどの質量でワイルちゃんに迫ります。
ワイルちゃん「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ワイルちゃんが立っていた場所は跡形も無くなっていました。
マックス「いい様だ、なっ?!」
マックスの血液が瞬時に凍結し、今度こそ意識が闇に落ちました。
ワイルちゃん「はぁ〜、結局3回全部使っちゃいましたよ」
『ゲート』で背後に回りこみ、ブラッドフリーズを放ったのです。
ワイルちゃん「え〜と、あの杖で闇を操作してたのかな?」
離れた場所に投げ出された杖を拾いに行きました。
その時、マックスの傍らに倒れていたゴブリンが動きだしました。
ゴブリンはその瞳を緑色に変え、瞬時にゴブリンセージに変わりました。
セージ「いや〜マックス君、君ってすごいねぇ!まさかここまでやるとは思わなかったよ。
    君の力をぜひ貸して欲しい。
    だけど僕には君を瞬時に連れて帰れるほどの力は無いんだ。だから――」
セージはマックスの体に『カモフラージュ』をかけました。
セージ「それでしばらく隠れておいてよ。全てが終わったら助けにくるから。
    ・・・それまで生きていたらね。」
そう呟くとゴブリンは再び糸が切れたように動かなくなりました。

ワイルちゃん「う〜ん、どうやったらとめられるのかな?」
悩むワイルちゃんに鋭い声が届きました。
グレイ「貴様が黒幕か」
マックスが闇の壁の一部を手元に戻した隙を突いてその歪から一気に中に飛び込んできたのです。
ワイルちゃん「ち、違います!怪しい者ではありません!」
ミリアムちゃん「そんな禍禍しい杖と胡散臭い赤ずくめの格好の奴が怪しくないわけ無いでしょ!」
赤ずくめに関しては異論がありましたが、杖に関しては申し開きできませんでした。
ワイルちゃん「だから違います!あの人が黒幕です!」
ワイルちゃんが指差した先には誰もいませんでした。
ガラハド「誰もいないではないか!」
ワイルちゃん「そ、そんなぁ。なんで?」
ガラハド「見苦しいぞ!その杖を渡せ!」
ワイルちゃん「駄目です!貴方みたいな術に疎そうな人には渡せません!」
ガラハド「殺してでもうばいとる」
ワイルちゃん「なにをするきさまらー」

さすがに三対一ではワイルちゃんもなす術がありませんでした。
ワイルちゃん「うう、しかしその技おぼえましたよぉ〜。グスン」
ガラハド「積年の何かが溶けたようだ!最高の気分だ!」
グレイ(クッ、この違和感はなんだ?)
ミリアムちゃん「すごくいけないことをした気分だわ・・・」
グレイ「まぁいい。ガラハド、その杖をどうやってとめる?」
ガラハド「簡単だ。こういうものは壊せば止まると相場が決まっている」
言うが早いかガラハドは杖を粉砕しました。
ミリアムちゃん「バカ!もっと慎重にやりなよ!」
しかし時遅く、杖はバラバラになりました。
その瞬間周囲を取り巻いていた闇の壁がモンスターを飲み込み始めました。
ガラハド「ほら見ろ、後片付けをしてくれているぞ」
グレイ「そこまで親切とは思えんが・・」
全てのモンスターを飲み込んだ闇は神殿の天井に溜まり、鳴動を始めました。
どう贔屓目に見ても解決とは思えません。
ミリアムちゃん「・・・おっさん」
ガラハド「・・・・・・・・・・」
そこにミルザくんたちが集まってきました。
ミルザくん「大丈夫ですか?!ってワイルちゃん、なんでこんなところに!?
      その傷は?ボロボロじゃないか!?」
グレイ「知り合いか?」
ミルザくん「ええ」
ワイルちゃん「サルーインちゃん様からの命を受けて援護に来たんです。
       特殊なアイテムを使って一気に敵の頭を叩いたところに、そこのハゲの人がきて私を無理やり・・・。
       その上、鍵となる杖を壊して暴走させちゃったんです・・・」
ミルザくん「なんて酷いことを・・・」
ジャミルくん「男の風上にも置けねぇ!」
クローディアちゃん「下衆ね」
アル「許せんな」
グレイ「全くだ」
ミリアムちゃん「女の敵ね!」
ネビル「貴様のような奴を生かしておいてはメルビルの女生徒に安寧は無い、覚悟しろ!」
ガラハド「なにをするきさまらー」

グレイ(うん、これでいい)
ミリアムちゃん「元鞘ってやつだね」
ガラハド「ま、まて。何故お前らまで殴る・・・・?」

エロールちゃん「遊びはここまでです。出てくるようですよ」
神殿の天井に溜まった闇を喰い破って、それは出てきました。
大きな翼を持った爬虫類『翼首竜』が。
それは喰った闇の量に比例した体躯を持っていました。
オイゲンくん「おいおい、通常の五倍はあるぞ」
ダウドくん「ああ〜、おいらの嫌な予感がやっぱり当たった〜」
ジャン「くぉくぉは穏便にすませようじゃないくぁ・・・haha、そうはいくぁないくぁ」
エリスちゃん「大空の巨竜、さしずめ『大空飛竜』ってところかしら?」
闇を喰らい尽くした大空飛竜は天井を破壊すると、メルビルの町の空に飛び立ちました。



――メルビル郊外の丘

フェル「なんだ、あの化け物は・・・。
    メルビルが危機にあるというのに私はなにをしているのだ・・!」
ソフィア「気を強くお持ちになってください。
     貴方がなすべきことはこの戦いの後のメルビル復興です」
フェル「倒せるのか・・・あの化け物を?」
ソフィア「ええ、生徒会長殿と彼女に見込まれた戦士達ならきっと・・・」
(エロールちゃん様御武運を)
ソフィアは小さく祈りました。



――メルビル港沖、西

コルネリオくん「メルビルでいったい何が起きているんだ?」
兵士a「やばいですって、今帰るのは!」
コルネリオくん「しかし帰らなければ僕の立場が危うい」
兵士b「出世より命ですよ!これ絶対」
コルネリオくん「・・・そうかな?」
兵士a・b「そうです!!」



メルビル港沖、北

シルバー「なるほど・・・あの女がねぇ・・・。」
ディアナちゃん「はい、会ってはもらえませんか?」
シルバー「確かに人間にはなりたいが、あの女の手駒になっちゃあ海賊が出来ないじゃないか」
アディリスちゃん「その辺の条件はエロールちゃんと話し合ってみて、おねーさんも力になるから」
シルバー「・・・そうだな。そうするか」
ディアナちゃん「ありがとうございます!」
ディアナちゃんの顔に安堵の表情が浮かびました。
アルドラちゃん「・・うう・・」
タイニィ「気付いたか」
ディアナちゃん「アルドラ、大丈夫?」
アディリスちゃん「いや〜ごめんね?信号が青かと思ってさ〜」
よくわからない言い訳をするアディリスちゃんの声はアルドラちゃんには届いていませんでした。
アルドラちゃん「大きな・・・竜?」
アディリスちゃん・ディアナちゃん「え?」

ホーク「なんだありゃあ?」
ゲラ=ハ「翼首竜ですね。サイズは規格外ですが」
シルバー「竜ってもとかげに近いけどね。ブレスも吐けないし」
ホークはしばし考え込みました。
ホーク「・・・・よーっし!おめぇら!あのとかげを退治しに行くぜぇ!」
海賊A「正気っすか?」
海賊B「なんでバファルを助けるんです?」
ホーク「今メルビルは危機にあるみてぇだ。
その危機を救ったとあっちゃあ、バファルも褒美を出さざるをえねぇだろ?
そうすりゃ俺たちのレイディU世が生まれる日も近づくってもんだ!」
海賊達『 『 『おおー!!さすがキャプテン!!』 』 』
ゲラ=ハ「いや、待ってください。どうやって倒すんですか?」
ホーク「ブッチャーが倍の数で喧嘩を吹っかけてきた時はどうした!?」
海賊C「一人当たり二人ぶちのめして勝ちやした!」
ホーク「バファルの足の速ぇ高速艇団に追いかけられたときはどうした!?」
海賊D「積荷を全部捨てて三倍のスピードで振り切りやした!」
ホーク「ゲラ=ハの手料理を食った時はどうした!?」
海賊E「四倍頑張って食いやした!」
ゲラ=ハ「嫌だったのですか・・・」
ホーク「あいつは普通の翼首竜の五倍でけぇ。
なら、五倍ブン殴りゃ倒せるだろうが!」
海賊達『 『 『う、うおおおおおお!!キャプテン天才だぜ!!』 』 』
シルバー「あはははははははははは!!あんた達ほんとに面白いねぇ!!
     あたしも力を貸すよ、背中に乗りな!」
ゲラ=ハ「止めても聞かないでしょう、私も行きます」
ホーク「俺たちの新たな船のために、いくぜぇ!!」
海賊A「俺たちゃ海賊!」
海賊B「俺たちゃ海賊!」
アディリスちゃん「俺たちゃ海賊!」
海賊C「俺たちゃ海賊!」
海賊D「俺たちゃ海賊!」
海賊E「俺たちゃ海賊!」
銀龍の背に乗り、ホークたちは飛び立ちました。

タイニィ「なんであいつまでついていってるんだ?」
アルドラちゃん・ディアナちゃん「さあ?」
タイニィ「とりあえず船の錨を下ろしてから我らも追うぞ」



――下水、秘密神殿跡

天井部が破壊され吹き抜けになった神殿跡地で戦士達は戦いが始まるのを固唾を飲んで待っていました。
ダウドくん「・・・・オイゲン、勝てるかな?」
怯えながらダウドくんが尋ねてきました。
オイゲンくん「・・・・でかいだけじゃなくて空も飛ぶからな。
       空に逃げられたら打つ手は無い。
       かなりおまけして勝利確率1%くらいじゃないか?」
ジャミルくん「奇跡でも起きなきゃ勝てそうもねぇな」
ダウドくん「そんなぁ」
ギン!!
硬質な音に振り返るとミルザくんが床にレフトハンドソードを突き立てていました。
ミルザくん「・・・奇跡を起こしてやろうじゃないか!」
剣を抜き様に剣閃を放ちます。

かくして戦いの幕は上がりました。


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